意地悪な先輩

〈エミ視点〉









沙優ちゃんが学校に来なくなって2週間が経ち

あと少しでテスト期間にも入ってしまう…






( 欠席回数は…多分大丈夫だし… )






沙優ちゃんが授業を休んでる姿は見ていなかったから

まだ大丈夫だろうと思いながら

その日の講義分のコピーを毎日ポストに入れに来ていた





「・・・・帰ろう…」





そう呟いて踵を返して帰ろうとすると

少し先にアキラ先輩が歩いている姿が見え

沙優ちゃんに会いに来たのかと思い足を止めた





アキラ先輩も私に気づいたようで

一度足を止めたけれど

直ぐにコッチに向かって歩いてきて

「何してんだ」と聞いてきたから

「散歩です」と答えた






アキラ「散歩ねぇ…」





「・・・・アキラ先輩は…

  お住まいこの辺りなんですか?」





アキラ「お住まい?笑

   お前は見た目ちんちくりんの癖に

   妙に礼儀正しいし…相変わらず地味だな」





「・・・・・・」

   





相変わらず失礼な先輩だなと眺めていると

アキラ先輩は笑いながら

「俺までカオルにチクるなよ」と言ってきたから

「え?」と何の事か分からず問いかけた






アキラ「お前ジンの事カオルに話しただろう?笑」





「・・・・ジン先輩……ぁっ!」






この前ジン先輩と会った後…

マンションに帰るとカオル先輩も帰っていて

「遅かったね?」と問いかけられ

沙優ちゃんにノートのコピーを届けに行ってきたと

言ってカオル先輩が怒らないかなと

少し不安になって口籠ると

先輩は何も言わないまま近づいてくると

私の髪をかきあげながら頭に顔を近づけてきたから

トンっと先輩を押して距離をとった…






カオル「・・・・・・」





「あの…汗かいて…ますし…」





7月に入ったばかりで暑い気温が続き

登下校中には薄っすらと汗もかいていて

カオル先輩に嗅がれるのが恥ずかしかった…




何も言わない先輩に少し不安になり

ゆっくりと顔を上げると

「汗?」と言ってニッコリと笑っているけど…






( ・・・・怒って…る? )






カオル「・・・・汗かいてるなら…流さなきゃね?」





「・・・・流す?」





カオル「・・・・そのタバコの臭いと一緒に」






タバコの臭いと言われ

何故カオル先輩が機嫌が悪いのかが分かり

「違います」と言って

コンビニでジン先輩に会って

タバコの臭いを嗅がされた話をした…






アキラ「カオルがニコニコと笑って

   コッチのクラスに来たから何かと思えば

   ジンの前に来て副流煙って知ってるかって

   口の端上げて聞いてたからな?笑」

   

   




「ふく…りゅえん?」



  



アキラ「お前変なとこは歳食ってるのに

   副流煙が分からねーのかよ…」






「・・・・すみません…」

   





アキラ先輩は笑ったかと思うと直ぐに

眉を寄せて不機嫌顔や呆れた顔をするから

忙しい人だなと思いながら

顔を見上げていると更に目を細めて

「また失礼な事思ってやがるな?」

と言ってきた…






アキラ「お前どーせシュウの所に行くんだろ?」





「えっ……はい…」





アキラ「俺も行くからさっさと歩け」





「アキラ先輩もですか?」





アキラ「人数足りねーからって呼ばれたんだよ」






何の人数なのかが分かり

また合コンなのかなと思い

アキラ先輩の後を小走りでついて行くと

「今日の飯はなんだよ」と聞かれた





「ゴーヤチャンプルです」





アキラ「何だ地味飯は卒業したか?笑」





「実家からそうめんが沢山送られてきたんですよ…」







地味飯と言われ

また意地悪と思い唇を尖らせて

そう答えると先輩は

「ゴーヤチャンプルにそうめん?」

と驚いていて…






アキラ「食ってみたいから飯だけ届けろよ」





「・・・・・・」





アキラ「生意気に無視かよ?」





「アキラ先輩がパシリに使いますって

  カオル先輩に言いつけます…」






合コンに行くアキラ先輩に

沙優ちゃんの事を聞きづらく…

どうしているんだろうと思っていると

「あんま生意気だとコッチがカオルに言うぞ」と

アキラ先輩が怖い顔で睨んでいた…




















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