〈エミ視点〉





 





2限目の講義が終わり

ルーズリーフに顔を落として

皆んなが学食や売店に行くのを

ずっと待っていると

「笑実ちゃん」と

たいして話したこともない子達から

名前を呼ばれて顔を向けると

「ツカサ先輩とカオル先輩どっちが良かった?」と

クスクスと笑いながら問いかけられた…





「・・・・・・」





( ・・・・なんで… )





何でこんな事を

言われなくちゃいけないんだろうと思い

手を強く握りしめて

問いかけてきた子に顔を向けた…






女「笑実ちゃん…もしかして

  先輩達皆んなとそう言う事してるの?笑」






女「アキラ先輩とも仲良さげにしてたみたいだし…」






( ・・・・・・ )






どうしてカオル先輩を好きじゃない子達まで

私にこんな目を向けるのかが

何となく分かった…





皆んな…

アキラ先輩やヒョウ先輩に

向けている気持への妬きもちを

私にぶつけているんだ…





ユウト先輩とカオル先輩以外は

彼女を作らないまま飲み会に参加していて

少し前までそうだったカオルと付き合い出した

私が面白くないんだ…







( ・・・・平凡な私だから… )







リナ「・・・・カオル先輩はただ

   笑実ちゃんが珍しいだけだよ…」






「・・・・・・」






一度は教室から出て行ったはずの里奈ちゃんが

亜香里ちゃんと並んで立っていて

そんな事を言う為にわざわざ戻って来たのかなと

肩を落とした…






リナ「人と少し変わってるし…」





アカリ「なんか…ズレてるしね?笑」

   

  





( ・・・・変わってるのは…皆んなだよ… )







リナ「なんだっけ?

   笑実ちゃん家はクリスマスにチキンじゃなくて

   牛のお肉を食べるんだよね?笑」






女「なにそれ!?笑

   あれみたいじゃん何かの宗教!」






女「ヒンドゥー教?笑」






女「いや逆だから!ヒンドゥー教は

   牛の肉食べちゃダメだから!笑」






( ・・・・なんで… )





私だけじゃなくて

私の家や家族の事まで

なんで…こんな風に…






( ・・・・ただ…付き合っただけなのに… )







アカリ「どこが好きだって言われたの?」






「・・・・えっ…」





アカリ「カオル先輩が…

  笑実ちゃんのどこを好きになったか

   ちゃんと言われた事ある?」






( ・・・・どこが…好きか… )






カオル先輩からは「好き」という言葉は

貰えても亜香里ちゃんの言う様に

私のどこが好きだとは言われた事がなかった…






リナ「やっぱり…」






女「田舎っぽい所が珍しくて

  面白いだけなんだよ…」






「・・・・ツッ…」






絶対に泣いたりしないって

思っていたのに自分の鼻の奥がツンっとして

目が…ドンドン熱くなっていく…






カオル「・・・ほんとに…変な子だよね…」






カオル先輩の声が聞こえた気がして

ゆっくりと顔を向けると

教室の入り口にコッチをジッと見たまま

立っている先輩の姿があった…
















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