大好き…

〈エミ視点〉









「・・・・カオル先輩…前髪…」





カオル「今日は久しぶりのデートだからね

   ちょっとだけ雰囲気変えようと思ってね?笑」





カオル先輩はいつも

ワックスで前髪を少し上げて

セットしているけれど…





カオル「少し伸びてたし切ったんだけど」





サラサラの前髪を触りながら

「変かな?」と顔を寄せて聞いてくる先輩に

「可愛いです」と答えると

「そこはカッコいいがいいんだけど?」と

私の鼻をギュッと摘んで笑っていて…




私の目の前にあるカオル先輩の前髪は

サラサラとしたまま少し横に流されていて

いつもよりも柔らかい印象だった




カオル先輩は笑ったら

可愛いイメージだけど…

いつもの様に前髪をセットしたり

アクセサリーをつけたりすると

ワイルドな印象に変わって

少しだけ怖いイメージになる





カオル「行こうか?」





そう言って私の手を引くカオル先輩の腕には

指輪などのアクセサリーはついてなく

茶色の腕時計だけが見えていた





「・・・・(大好きです…)」




カオル先輩の背中を見ながら

そう思って繋いでる手を

甘える様に少しだけ強く握り返した





カオル「それで…

  少女漫画が大好きな詩織ちゃんの彼氏は   

   どんなヒーロー君なの?笑」


 



「テニスサークルの副部長さんで?

  詩織ちゃんは普通って言ってました」





カオル「普通?笑

   もっと他に情報はないの、探偵さん?」





エレベーターの中で

私の髪を耳にかけながら

そう問いかけてくるカオル先輩に

甘えたくて…





( ・・帰って来るまで…待てない… )





「・・・・カオル先輩…」





そう名前を呼んで先輩の腕を少し

引っ張りながら目を閉じると

唇に柔らかい感触がした…





カオル「明日も休みだし…

   今日は夜更かししなきゃね?」





唇を離してそう言うと

また私の髪を耳にかけてくる先輩に

もう一度「足りないです…」と

見上げながら伝えると

一階に着いて開いた

エレベーターの扉は直ぐに閉まり…





カオル先輩が〝閉〟のボタンを押したまま

片手で私を抱き寄せながらキスをしていた…





離れる唇を名残惜しく感じながらも

久しぶり会える詩織ちゃんに嬉しくて

カオル先輩と手を繋ぎながら

詩織ちゃん達との待ち合わせ場所に向かった





「あっ!あと…

  詩織ちゃんの買ってた

  どら焼きを勝手に食べたのが

  初めての喧嘩だって言ってました」





カオル「ふふ…

  笑実ちゃんもどら焼き好きだよね?」





「好きです!先輩も好きですか?」


 



カオル「久しぶりに食べたくなったね?笑」






この日…

詩織ちゃん達と一緒にお昼ご飯を食べて

4人で運動公園を歩きながら

近くに売っていたどら焼きを買って食べた





カオル「詩織ちゃんは…ちょっとだけ

  しっかりした笑実ちゃんだね?笑」




「はい!私よりも誕生日が1ヶ月早いんです!」





マンションに帰ってきてからも

笑いながら詩織ちゃん達の事を話してきた

先輩に嬉しく感じながらそう答えると

カオル先輩は目を見開いて更に笑い出した





カオル「ふふふ…今日は楽しかったね?笑」





何で笑っているのかイマイチ

分からなかったけれど

カオル先輩の言葉を聞いてまたキュンとした…





「私…いつもの前髪の上がってる先輩も

  今日の可愛い先輩も…

  朝の浮腫んだ顔の先輩も…全部大好きです」





私の言葉を聞いて先輩は「ホント…」と

笑って小さく呟くと私の腰に両腕を回して

ギュッと抱き寄せてきた…



 


カオル「・・・・一つ抜けてるね?笑」




「え??」




カオル「ベッドの中の意地悪な俺も大好きでしょ…」





耳に唇を寄せて

そう問いかけてくると…



「夜更かししようか?」と言って

顔を近づけてくる先輩に

「大好きです…」と言いながら目を閉じた…











  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る