選んだ人

〈エミ視点〉







昨日アパートから持って帰ってきた

夏服を洗濯機で回しながら

スマホを取り出して

心配をしていた沙優ちゃんに

大丈夫だと連絡をいれた





( ・・・・・・ )





学科のグループLINEを見て

少し考え事をしていると手にあるスマホから

着信音が鳴り出し相手は詩織ちゃんだった






「もしもし…」





シオリ「やっと繋がった…」





昨日は連絡を返す気分になれず

詩織ちゃんにも返信していなかった事を謝ると

4日後のゴールデンウィークの話をされた





シオリ「彼氏はダメなの?」





「ダメっていうか…

  会った事もないのにイキナリ食事は…」





私と詩織ちゃんは友達だけれど

詩織ちゃんの彼氏には私も会った事がないし

彼氏さんとカオル先輩が

楽しくないんじゃないかと思った…


 



シオリ「あたしね…

   ダブルデートが一回してみたかったの!」





「・・・・ダブル…デート」





詩織ちゃんは少女漫画が大好きで

高校生くらいになると帰り道に公園や海に

私と美香ちゃんをよく連れて行き

「いつか彼氏と下校デートがしたい」と

毎日の様に言っていた事を思い出した




私のファーストキスへの憧れも

詩織ちゃんの影響が強かった…





シオリ「笑実が選んだ彼氏ならいい人だろうし

   あたしは4人でも全然平気だよ!笑」





「・・・・私の…選んだ…人…」





目の前でガタガタと動いている

洗濯機に目を向けた後に

まだ洋服が入っている紙袋達に目を向けた…




昨日、カオル先輩は私のクローゼットを開けると

「夏服は?」と言ってハンガーにかかっている

服を次々に後ろのベッドへと置いていき

「3着じゃ足りないでしょ?」と

紙袋4個分の洋服と夏用のサンダルやミュールも

このマンションに持って帰ってきた





カオル「また洋服を取りに帰って来た   

   笑実ちゃんを探し回るのはゴメンだよ?笑」





「・・・・たまには探してください…」





カオル「いいけど…探してる俺の顔を見たら

   笑実ちゃんきっと泣いて逃げちゃうよ?笑」





「それでも…見つけてください…」





そうカオル先輩に言うと先輩は

私の頬を軽くつまみながら

「アキラの言う通り甘やかし過ぎたかな?」

と言って優しく頬を撫でてくれた…





( ・・・・カオル先輩ならきっと… )












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