彼女…

〈コウ視点〉








コウ「笑実ちゃん」





学校近くのファミレスでサトル達と話していると

窓の外に笑実ちゃんの姿を見つけ声をかけた





笑実ちゃんはコッチに気付いて

頭を下げると…

俺の隣にいるサトルを見て

少し眉を下げた…





サトル「相変わらず可愛くねぇガキだな…」





コウ「お前がそんな顔で睨むからだろうが…」






サトルは相変わらず

笑実ちゃんが気に入らないらしく

笑実ちゃんもサトルを得意としてないのは

俺たち皆んなが知っている






ユウト「下着買いに来た子だよね?

   俺話した事ないかも…呼んでよ」






ユウトの言葉にサトルはまた眉を釣り上げ

ブツブツと文句を言っているが…




ここには俺たち3人しかいなく

後から来るのもアキラだけで

笑実ちゃんには楽しくない席だろうなと思い 

呼ぶのを躊躇っていると…





サトル「はぁ…なんで連れてくんだよ…」






窓の外に目を向けると

笑実ちゃんが手に持っていた

紙袋を取り上げて

スタスタとコッチに歩いてくる

アキラの姿があった…





入り口から入ってくると

「もう頼んだか?」とサトルの隣りに腰を降ろして

メニュー表に手を伸ばすアキラを見て

笑実ちゃんはどうしたんだと思い

入り口に目を向けると

バックの肩紐を握りしめて

困った顔でコッチを見ていた





コウ「なんでお前らは笑実ちゃんを虐めるんだ?」






小学生かよと呆れながら笑実ちゃんから

取り上げた紙袋を渡すように

アキラに手を差し出すと

「別にイジメちゃいねーだろ」と言って

入り口にいる笑実ちゃんに顔を向けて

「さっさと来い」と呼び…




笑実ちゃんは周りに

キョロキョロと目を向けてから

小走りで俺たちのテーブルに来ると

「返してください」と小声で

アキラに文句を言っている





アキラ「お前ユウトの彼女ん所で

   世話になったんだろうが?」






アキラの言葉に「え?」と俺の隣りにいる

ユウトに目を向けて「あっ…」と言う顔をすると

「お世話になりました」と頭を下げていた






アキラ「お世話になりましたって…

   お前…サラリーマンかよ?笑」





コウ「・・・・・・」






アキラは笑いながらメニュー表を

笑実ちゃんの方へと向け

「座れ」と声をかけていて正直驚いた…






ユウト「初めましてだね

   カオルの…噂の彼女だね?笑」





「噂…ですか?」





ユウト「美保ちゃんからも聞いたし…

   まぁ…8割はサトルからだけど?笑」






笑実ちゃんはチラッとサトルに目を向けると

サトルは「なんだよ…」と

また突っかかるような言い方をしていて

「ハァ…」とまた呆れたタメ息を吐き

俺も笑実ちゃんに座る様に言い

自分の隣の席を少しあけた





ユウト「美保ちゃんが可愛い、可愛い言ってたからね

    会ってみたいって思ってたんだよ?笑」





サトル「女の可愛いは、可愛いじゃないからな…」






サトルの言葉に、(また…)と思いながら

笑実ちゃんに顔を向けると

笑実ちゃんは気に留める様子もなく

メニュー表を眺めていて

「ストロベリーアイスにします」と言って

店員を探す様に顔を動かしていると





店内にピンポン、ピンポンと

呼び出しボタンが連呼する音が響き

鳴らしている犯人であるサトルに顔を向けると

目を釣り上げながらボタンを連打していた…





店員が小走りで駆け寄ってきて

機械を触りながらオーダーを聞いていると






サトル「ペペロンチーノを一つ…

   ニンニク多めでお願いします!」





「・・・・・・」






サトルは笑実ちゃんに顔を向けると

ニヤニヤと笑って「俺の奢りだ」と言っていて

その隣りにいるアキラは目を細めて

少し引いたような顔で「まだ根に持ってんのか」

と呆れていた…






店員が離れて行き「アイスはいいのか?」と

笑実ちゃんに問いかけると

「パスタでお腹いっぱいになりますから」

と言って出されたお冷を飲んでいて

どっちが年上か分かんねーなと

またサトルに呆れていた






アキラ「で…本屋で何買ったんだ?」






アキラは取り上げた紙袋を勝手に開け出し

サトルも「また変な体操か?」と覗きこみ…

中身を見た二人は眉を寄せてから

笑実ちゃんに顔を向けた…





「・・・・英語の小テストに出るんです」





笑実ちゃんが本屋で買った物は

古風な料理本でも

胸を大きくする本でもなく…





ユウト「あぁ!アメリカの大統領のスピーチ本ね」





「スピーチから毎週小テストを出すみたいで」





サトル「そんなもんはネットで引っ張ってこいよ!

   なんでわざわざ買ってんだよ?」





何かしら笑実ちゃんに文句が言いたいサトルは

水を得た魚の様にペラペラと話し出し…






サトル「お前歴代大統領とかちゃんと分かってんのか?

   ワシントンの有名な言葉とか!」





「・・・・ワシントン…ですか?」





サトル「料理本だの変な色気付いた

  活動ばっかりしてねーでちゃんと勉強しろよな?」





「・・・・ワシントンの言葉ってなんです?」





笑実ちゃんはアキラから

紙袋に戻してもらった本を受け取りながら

サトルに問いかけるとサトルは「ハァ…」と

わざとらしいタメ息を吐きながら

「人民の人民による人民の為の…」と

教科書でよく目にする名言をドヤ顔で話していた…





アキラ「・・・・・・」





「・・・・私もその言葉好きです」





笑実ちゃんの言葉に「はぁ?」とまた

眉を釣り上げるサトルに笑実ちゃんは…





「リンカーン大統領の名言ですもんね…」





と言ってから店員が持ってきた

ニンニクたっぷりのペペロンチーノを

「いただきます」と言って食べ出した…




最初の頃の笑実ちゃんは

俺たちが声をかけるだけで

肩を揺らして驚き

目を泳がせながら話していたのに…






アキラ「カオルの彼女がいたについてきたな?笑」






俺も笑実ちゃんを見て

アキラと同じ事を思っていた…



 



( ちょっとだけ…カオルに似てきたな… )











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