下着

〈エミ視点〉







店「失礼します…Cの65ですね」





フィッティングルームで

メジャーを使って測ってもらうと

サイズが一つ上がっていて「ホントですか?」

と小声で店員さんに聞くと

少し年上のお姉さんが「ふふ…」と

微笑みながら「はい!」と答えてくれた






( ・・・・Cになったんだ… )





なんとなく…

胸が生理前みたいに

気持ち大きくなっているような気がして

来週から前期授業も始まるし

洋服を見にきたついでに

ランジェリーショップに入って測ってもらった





「・・・かっ…可愛い下着がほしくて…」





一度服を着て店員のお姉さんに

そう伝えるとまた「ふふ…」と笑いながら

私に似合いそうなデザインを探してくれて

どれにしようかと眺めていると…





ヒョウ「チワワぽいね…」





突然聞こえてきた声に固まっていると

後ろから手が伸びてきて「ピンクいいじゃん」と

私の肩を叩きながらヒョウ先輩が顔を覗かせてきた





「ひょっ…ヒョウ先輩… 」





顔を後ろに向けて他の先輩がいないか

確認をしていると「俺一人だよ」と言う

ヒョウ先輩の言葉に安堵のため息を吐いたけど…





目の前にいるヒョウ先輩の口の軽さを思い出し

ジッと目を細めて見上げると

「夏まであと3〜4ヶ月だけど大丈夫?」と

面白がっていてムッとしながら

「Cですもん…」と答えた





ヒョウ「・・・C?」





先輩は私の胸をジーっと見てきて

「えっ!?」と眉を寄せて

ウソでしょと言う顔をしている…





「・・・・測って…もらいましたもん…」





ヒョウ先輩は私の隣にいる店員さんに顔を向けて

「久しぶりだね」と言ってから

本当にCだったのかと尋ねていて…





「・・・・知り合いなんですか?」




ヒョウ「ユウトの彼女だよ?」




「・・・ゆう…と?」





誰だろうと首を傾げると

ヒョウ先輩も「会ってないっけ?」と首を傾けた…





ヒョウ「アキラ達といつも一緒って言っても…

   ユウトは飲み会来たり来なかったりだしね…」





アキラ先輩達と一緒にいると聞き

彼女であるお姉さんの前で飲み会の話なんてして

大丈夫なのかと心配していると

「大丈夫ですよ?」とニッコリと笑うお姉さんに

不思議に思うと…






ヒョウ「美保ちゃんとユウトはお互い分かった上で

   付き合ってるからいいんだよ」





「おっ…お互い??」





店「私も24歳だし…可愛いばっかりじゃね?笑」





ヒョウ「ユウト以外にもちゃんと年上の彼氏いるよ」





「・・・・そっ…そーなんですね…」






先輩達の周りの人達は…

大人というか…変わった人が多いいなと思い

ユウト先輩みたいに彼女いる先輩が他にも

いるのかなと考えていると…





ヒョウ「でッ!?チワワは本当にCあったの?」




店「ホントよ?笑」




「・・・・そんなに疑わなくても…」





店員のお姉さんの言葉を聞いても

「えー…」と言い続けるヒョウ先輩は

自分の知っているCとは違うと

ぶつぶつと文句を言っている…





店「ふふ…このお客様は

  身体が華奢でアンダーが小さいから

  ヒョウの知ってるCカップの子達とは違うかもね?笑」





ヒョウ「俺が知ってる子達も…太ってはないよ?」





店「だから、骨組みの話よ?笑

  この子はアンダー65でも

  1番奥で止めなきゃいけない位に細いから」





ヒョウ「骨?」





ヒョウ先輩は急に私の腕を掴んで持ち上げると

手首をモミモミと触ってきて

「あぁ…そーゆう事」と呟いてから下ろした





ヒョウ「身長といい…

   子供の時にちゃんと牛乳飲まなかったの?」





「・・・・・・」





ヒョウ「まっ!!CはCなわけだし?

   カオルの好きそうな下着選んであげるよ」





お姉さんは目を見開いて

「カオルの?」と驚いた顔で私を見てきて

「カオルの彼女だよ」とヒョウ先輩が

私の肩に手を置いて紹介をすると

さっきまでのニコニコ顔とは違って

口を開いて驚きながら笑っていた





店「カオルの彼女ちゃんだったんだ!

  じゃーサービスしてあげようかな?笑」





ヒョウ「他の女の子達にもこの店紹介するから

   ちょっと安くしてあげてよ」





店「はいはい…笑」





「どれにしようか?」と

さっきよりも砕けた話し方になって

腰を下げて聞いてきてくれるお姉さんに

緊張も取れていき「コレとか…」と

気になっていた下着を指さすと





ヒョウ「ダメ!!カオルは真っ赤な

   色気ある下着が好きって言ってたし

   せっかくCになったんなら

   セクシーなので攻めるべきだよ?」






そう言ってルナ先輩達がつけていそうな

赤いセクシーな下着を顔の前に突き出してきた…






店「はぁ…ヒョウはまだまだ子供ね…

  本音っていうのは中々他人には言わないものよ?

  カオルはきっと、この新作の砂糖菓子みたいな

  可愛いデザインの方が喜ぶわよ?」

   





ヒョウ先輩とお姉さんの声のボリュームは

段々と大きくなり…

ショップ前を歩く人達もチラチラと

コッチを見ながら歩いていく人もいて

二人から2歩ほど離れて眺めていた…








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