魔法

〈コウ視点〉








朝目を覚ますと

ずっと姿の見えなかった

カオルがソファーの上にいて

その足に頭を乗せて寝ている

笑実ちゃんの姿があった…





( ・・・バイト終わって来たのか? )





コウ「・・・いつ来たんだ…」





カオルはペットボトルの炭酸水を飲みながら

「8時位だったかな」と小声で答え

笑実ちゃんにかけている自分のコートが

ズレているの見てなおしてやっていた…





コウ「・・・・8時?」





寝起きで頭が回らないのもあるが

カオルの言葉がいまいち理解出来ずに

シパシパする目を瞬きしていると





シュウ「バイトしないで来たんだとよ」





シュウが俺に「ほら」と二日酔いに効く

ドリンク剤を差し出してきて

受け取りながらもう一度笑実ちゃんを見て

「バイトしなかったって?」とカオルに問いかけた






カオル「・・・・帰ってきたみたいだね…」





シュウ「アパートの前で1時間位立ってた所を

     たまたま遅れてきた  

   アキラに入れてもらったんだとよ」





コウ「・・・・んっ?」





俺の声に反応して「うるせぇよ」と

体を起こしたアキラに顔を向けると

アキラはソファーにいる笑実ちゃんを見て

「ソファー占領しやがって」と舌打ち混じりに

言うと俺の手にあるドリンク剤を俺にもくれと

シュウに手を差し出していた





段々と冴えてきた頭に周りを見渡して

男達しかいない事に気付き

「女の子達は?」とカオルに聞くと

「さぁ?笑」と笑っていて

後ろからアキラの不機嫌なタメ息が聞こえてきた





アキラ「あいつらなら明け方前にゾロゾロと帰ったぞ」





コウ「明け方前に?」





アキラ「・・・魔法が溶ける前に帰るんだよ…」





コウ「はっ?」





シュウからドリンク剤を受け取ると

カキッと開けてゴクゴクと飲み

「あー頭イテェ…」と目を閉じてるアキラに

「魔法ってなんだ?」と問いかけると






アキラ「・・・メイクが剥げると顔が違うんだろ…」





コウ「結構可愛かったぞ?」





アキラ「だから…魔法がかかってるうちはな…」






アキラの言葉に顔を笑実ちゃんに向け

「魔法は溶けたか?」と寝顔を覗きこむと

いつもと変わらない顔に小さく笑うと…






アキラ「逆にいつ魔法にかかんだよ」






彼氏であるカオルの横で好き勝手に言っている

アキラを見て苦笑いを浮かべると

カオルは笑いながら「さぁ?」と言って

笑実ちゃんの頭を撫でていた
















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