キスの味
〈エミ視点〉
シュウ先輩の部屋のベランダで
角度を変えて何度も何度も…
カオル先輩の唇を感じた…
付き合い始めたあの日から
ある程度キスをすると寝室に
連れて行かれたり…
キスの先を求め出すけど…
唇を離して先輩の目を見上げると
また顔が近づいてきて
ひたすら続く甘い時間に久しぶりだなと思った
付き合う前はこんな風に
いつまでもキスをしていた事を思い出し
「久しぶりですね」とカオル先輩に言うと
「そうだね」とやっと
あの柔らかい笑顔を見せてくれた…
二日ぶりに見た笑顔が嬉しくて
「寒いです」と言って先輩に身体を寄せて
ギュッと抱きしめられながら
また甘いキスをもらっていると…
ジン「ホントに来たんだな」
急に聞こえてきたジン先輩の声に
驚いて顔を向けると「さみっ」と言いながら
さっきシュウ先輩がいた
場所に座ってタバコに火をつけだした
カオル「タバコ吸いに来たって事はダメだったわけ?笑」
ジン「そっちのダメじゃなくて口だよ」
カオル「くち?」
ジン「俺ダメなんだよ口臭キツイやつは…」
先輩達の会話にどう反応していいのか分からず
黙っているとジン先輩が「豆乳?」と
私の横に置いてある豆乳ジュースを見て
眉を寄せながら「どんな味だよ」と
カオル先輩に顔を向けていた
カオル「さぁね…笑」
ジン先輩はタバコを口に咥えたまま
豆乳ジュースに手を伸ばして
顔を近づけて「イチゴ味?」と
パッケージを見ながらそう呟くと
私の方をジッと見てきて
「甘ったるそーだな」と首を振りながら
お断りみたいな顔をしている…
「美味しいですもん…」
ジン「牛乳とか飲んだ後のキスは
なんかベタベタして嫌いなんだよ…」
「・・・・・・」
カオル先輩もそう思っているのかと
不安に思って先輩の顔を控えめに見ると
「ジンは変わり者なんだよ?笑」と
楽しそうに笑っている
カオル「どっちかって言うと
俺のガーリックソースとかの方がキツイでしょ?笑」
ジン「あぁー、ファミレスでよく食ってるやつな」
ジン先輩がまた私に顔を向けて
「臭いか?」と聞いてきたから
「美味しいです」と答えると
「そんなわけねーだろ」と
顔をブンブンと振っていた…
ジン「カオルのキスで一番臭かったのはいつだ」
カオル「なんの質問?笑」
ジン「貴重な体験談聞いてんだよ
こんな事他の女に聞けねーだろ?笑」
変な質問ばかりしてくるけど
カオル先輩と笑って話している
ジン先輩はいつもよりも怖く感じなかった
「・・・・一回…だけ…」
ジン「やっぱりあるじゃねーかよ」
「・・・・タバコ…」
カオル先輩を見上げながら
「先輩一度だけタバコの味がしました…」
そう言うと「あぁ…」と笑って
私の腰にある手にギュッと力が入って
「二度と吸わないよ」と顔を寄せてきた
ジン「カオルがタバコ?」
カオル「試験勉強の時に眠気覚ましになるって
シュウからもらったんだよ」
「・・・・臭いから…ヤです…」
私の「臭い」と言う発言に
ジン先輩は固まって自分の手にある
タバコを見つめると「チビ嗅いでみろ」と
タバコの煙りをコッチに手で向けてくるから
「サラリーマンのおじさんの匂いがします」
と顔を背けて正直に言うと
ジン先輩は「おじさんの匂い?」と
言って怒り出したけれど
女の子の口臭に文句を言うだけあって
「タバコ変えようかな」と
自分の口臭を気にしていた…
( ・・・変わり者だ… )
、
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