バレンタイン

〈エミ視点〉







アカリ「急にゴメンね」





「ママさんは大丈夫なの?」





アカリ「腎盂炎みたいで

   一週間は入院になるらしいよ」





サユ「お客さんと話してたら

   中々トイレに行けないからね…」





早めにお店に行き

オープン準備を手伝っていると

お店のタバコを買いに行っていた

里奈ちゃんが帰ってきて

通りでシュウ先輩達に会ったと話し出した





アカリ「またお店に来てってお願いした?笑」





リナ「あぁ…今日は多分アレかな?笑」





里奈ちゃんの言葉に亜香里ちゃんは

チラッと沙優ちゃんの方を見て

「好きだねぇ…」と

呆れるように呟いた…





沙優ちゃんは表情を変えることなく

予約席にコースターを並べていているけど

本当は落ち込んでいるんだろうと思った…





カウンターの椅子を並べながら

先輩から連絡のないスマホに目を向け

小さく肩を落としていると





リナ「でも本当に仲良いよね?いつも5人でいるし」





「・・・・5人?」





リナ「うん、いつものメンバーだったよ

  誰か一人くらい彼女とか作りそうなのに…

  卒業まで遊び抜くのかな?笑」





里奈ちゃんの言葉を聞いて

カオル先輩も一緒にいたんだと分かり

顔を下に下げてテーブルに映っている

自分の情けない顔を見てタメ息をついた…





( ・・・・バカみたい… )





先輩からの連絡を待っている自分にも

今ここにいる自分にも…

バカみたいだなと思った…





今日はバレンタインで

恋人のイベント行事の一つでもあるはずなのに

カオル先輩は別の女の子達と

楽しく過ごしていて…





ヤッパリ飽きたら直ぐに

捨てられちゃうのかなと思いながら

俯いていると「あっ!」と

亜香里ちゃんが声をあげた





アカリ「木多さんって覚えてる?」





「きた…さん?」





誰だろうと首を傾けると

亜香里ちゃんは焼酎のボトルを棚から取って

「この人だよ!」と差し出してきて

クリスマスのお手伝いに来た時に

話したおじさんだと分かった






アカリ「今日、笑実ちゃん達もいるって話したら

   会社の若い20代のお兄さん達も

   連れて来てくれるって言ってて

   その中の一人を

   笑実ちゃんに紹介したいんだって!」





「紹介??」





なんの紹介だろうと不思議に思っていると

「彼女いないみたいだよ!」と

亜香里ちゃんは笑っていて

LINE交換をするように言われ…





( ・・・なんだか…まるで… )





まるで、恋人同士に発展する為の

紹介みたいだなと感じ戸惑っていると

沙優ちゃんが下着のホックが外れたから

止めてほしいと私をトイレに連れて行った





サユ「カオル先輩と何かあったの?」





沙優ちゃんはトイレに入ると

小声で問いかけてきて

さっきの里奈ちゃんの話を聞いて

何か思ったんだろうと思い

二日前の事を小声で話した…





「・・・・飽きちゃったのかな…」





サユ「飽きたっていうか…

  カオル先輩が怒るのも当然だよ?」





沙優ちゃんの言葉に「え?」と顔を上げると

沙優ちゃんはタメ息を吐きながら

「ここはスナックだよ?」と言ってきた





サユ「お客さんは男の人ばかりだし…

  そうゆうのが目的の人だっているんだから!」




「・・・・そうゆうの?」





サユ「さっきの木多さんが連れてくる人だよ!

  ある意味出会いの場なんだから

  男の人がお店の子を口説いたりもするんだよ?」





「・・・出会い…の場?」





私の頭の中にあった

スナックのイメージは

お酒を作ってカラオケの手拍子をして…

ただ話すだけのイメージだったけど…





サユ「ダイキ先輩にあんなに

  ヤキモチを妬いてたカオル先輩が

  絶対に平気なわけないよ?」





「・・・・・・」





カオル先輩がここに来るのを

よく思ってないのは分かっていたけど

相手はおじさんばかりで

沙優ちゃんや皆んなもいるから大丈夫だと

勝手に思っていたけど…




今カオル先輩が行っている集まりと

差ほど変わらない場所にいるんだと

改めて分かり「ぇ…」と小さく口を開いた…







   




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