LINE

〈エミ視点〉







「・・・・・・」





カオル「笑実ちゃん?」





亜香里ちゃんから届いた

グループLINEを見ていると

後ろからカオル先輩の声が聞こえ

思わずスマホを胸に当てて隠した…





カオル「・・・・・・」





「夕飯…もう直ぐできますから…」





スマホをエプロンのポケットに入れてから

お鍋の中のスープをお玉でかき混ぜていると

カオル先輩がゆっくりと近づいて来て

私のポケットの中に手を入れ

スマホを取りだした…





「・・・・あの… 」





先輩は自分の手の中にある

スマホをジッと見下ろした後に

スッと私の方に顔を向け…





カオル「・・・・見せて?笑」





とニッコリと微笑んできて

明らかに機嫌の悪い先輩に

亜香里ちゃんからのLINEを

見せるわけにはいかず…





「・・・・めっ…迷惑メールですよ?」





カオル「ブロック設定してあげるから」





そう言ってスマホを私に差し出してきて

画面に表示されているパスワードを

解除するように言ってきている…


  

 

お鍋の火を止めて

カオル先輩の手にある自分のスマホを

手に取りパスワードを解除して

普通のメールフォルダを開いて

数分前に届いていた迷惑メールをタップして

カオル先輩に差し出した





先輩は迷惑メールを真顔で見下ろしていると

親指を動かしだして何かを操作しているのが分かり

一歩近づいて画面を覗くと

さっき見ていたグループLINEが表示されていて

固まっているとピコンッと新しい

トークが入ってきて

里奈ちゃんから返事の催促が来ていた






カオル「・・・・返事待ってるみたいだよ」






笑っていない先輩の声に

顔を上げれずに固まっていると

先輩の親指がまた動きだし

画面には〈行くよ〉と先輩が勝手に入力した

LINEがグループトークにピコンッと入った…






「・・・・・・」





カオル「・・・・楽しんでおいで?」






カオル先輩はそう言うと

スマホをポケットに入れて私から離れると

奥の寝室へと入って行ってしまった…

















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