上書き

〈エミ視点〉








時計を見て「そろそろ帰ろうか」と

立ち上がるカオル先輩に腕を引かれ

片付けなくていいのかなと

テーブルに目を向けると…





シュウ「片付け位俺らで出来るから大丈夫だよ」





ヒカル「俺ら笑実ちゃんの2個上だよ?笑」





「・・・・・・」





この前カオル先輩の部屋で夕食を食べた時は

食器も下げずにゴロゴロとしていた

先輩達の張り切り用に変だなと思い

ジン先輩達に目を向けると

髪型を気にし出したり

サトル先輩はさっきまでしていなかった

腕時計やピアスをつけだしていた…





( ・・・・試験も終わったもんね… )





元々毎週のように合コンをしていた

先輩達がテスト期間中はしばらく大人しくしていたし

サトル先輩達との合コンは多分あの日以来だ…





「・・・・・・」





カオル先輩は私がいるから帰るんだと分かり

シュウ先輩達と仲良く飲みたいんじゃないかと

思いカオル先輩の顔を見ていると

私の視線に気付いて顔を傾けてながら「ん?」と

顔を覗きこんでくる先輩はやっぱりカッコ良くて…

なんで私と付き合ってくれているんだろうと

不思議に思った…






アキラ「早く帰って、カオルから胸揉んでもらえ」





コウ「お前な…」





アキラ先輩はやっぱり意地悪だと思いながら

シュウ先輩とアキラ先輩に目を向け

今から二人とも沙優ちゃんじゃない

誰かと楽しく過ごすんだと思ったら

どんな目で見ていいのか分からなくなり

パッと顔を逸らせた…





サトル「あんま夜更かしすると

   育つもんも育たねーぞ?笑」





「・・・・・・」





ヒョウ先輩達も意地悪で口が軽いけど…

アキラ先輩達はオブラートに包むなんて事を

するような人達ではなく…






( ・・・ヒョウ先輩達が優しく見える… )






「ご馳走様でした」とシュウ先輩の部屋を出て

カオル先輩と歩いて帰っていると

「眠い?」と問いかけてきた先輩に顔を向けて

「まだ大丈夫です」と答えると

カオル先輩は「なら良かった」と言って

ニッコリと笑うと手を引いて早足に歩き出した





「かっ…カオル先輩ッ…」





エレベーターに乗ると

コートのボタンとボタンの間から手を

滑り込ませると胸の下着ラインを撫でてきたから

驚いて先輩の手を掴もうと

コートの上から手で押さえると…





「・・ンッ…」





撫でていた先輩の掌は

私の胸元にギュッと押し当てられ

指先を動かして揉むように触ってくる…





カオル「もっと…ってことかな?笑」





「ちっ…違います!」





コートの上から掴んでいた手を離すと

先輩は私の1番敏感な部分を撫でだし

甘い刺激にトンッと壁に背中を預けて

逃げるように身体を捩らせると

ガクンとエレベーターが止まり

目的の階に到着した





先輩はコートの中から手を抜き取ると

また手を引いて歩いて行き

部屋に入ると脱衣室に連れて行かれ

先にシャワーを浴びろって事なのかと

先輩の顔を見上げると






カオル「胸…大きくなりたいの?」





「・・・・・・」





カオル「ん?笑」





「・・・・Cに…なりたい…です…」





カオル「ふふ…じゃー頑張らなきゃね?笑

   あんまり逃げちゃダメだよ」






そう言ってコートのリボンを解くと

カオル先輩の顔が近づいてきて

先輩の飲んでいたハイボールの味のする

ほんのり苦いキスに意識を集中させていると

あっという間にボタンは外されていて





カオル「せっかくだし一緒に入ろうか?」





先輩は浴室のドアを開けると

お湯はりのボタンを押してシャワーを出すと

自分のコートを脱いで

「寒いからおいで」と手を差し出している…





「・・・・服は…」





カオル「ふふ…おいで笑実ちゃん?笑」





コートだけを抜いでそのまま

先輩のいる浴室へと入り…



浴室に響く自分の淫らな声に

驚いて口に手を当てたけれど

先輩のくれる甘い囁きも

いつもよりも響いて聞こえ…

余計に淫らになっていった…





( ・・・・怖かった… )





シュウ先輩の部屋に行くのも…

ツカサ先輩の顔を見るのも…




あの日の事がフラッシュバックするんじゃないかと

不安で…怖くて…行きたくなかった…




でも、ツカサ先輩の顔を見ても…

あの日の映像が見えることはなかった…




ツカサ先輩に触れたれた部分は

あの日のうちにカオル先輩のくれた

甘い記憶に全て塗り換えられていたようで

ツカサ先輩の手や唇の感触は

私の身体からはすっかり

消えてしまっていたようだ…





( ・・・・そして…今日も… )





カオル先輩があの日…

この浴室で泣いていた私の記憶を

塗り替えてくれようとしてくれているのが

何となく分かり…




明るい浴室の中で恥ずかしさもあるけど

全部…カオル先輩の言う通りにした…





カオル「ホントに可愛いね…笑」







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