〈コウ視点〉







ヒョウ「サバ味噌!?」





ヒョウの声に顔を向けると

カーペットの上にひっくり返って

スマホを覗いている姿が見えたが…





コウ「ヒョウ!それ…カオルのスマホか?」




ヒョウの手の中にあるスマホは

カオルのスマホカバーに似ていてそう問いかけると

慌ててスマホを机の下にパッと置いていた




ガチャッと扉の開く音と共に

トイレから戻ってきたカオルは時計に目を向けて

またシャーペンを手に握り課題を進めていき

ヒョウがしれっとしたまま「ねぇ?」と声をかけた





ヒョウ「チワワの料理って美味いの?」




カオル「急になんだよ?笑」




ヒョウ「前に本屋で買ってた

  あの古風な料理本の味はどうかなと思って?笑」





ヒョウの言葉に「あぁ!」と声をあげて

カオルは古風な料理本がどれか分かったようで

「アレね」と言いながら肘をついている手を

前髪に当てながら笑い出している





ヒョウ「美味しいの?」





ヒカル「俺は料理本よりも一緒に買ってた

   アッチの本の効果の方が聞きたいよ?笑」





ヒョウ「あぁ!おっぱい体操ね!

   ちょっとは成長したの?」





コウ「お前ら人の彼女に…」





そうは言いながらも俺も効果あったのか

興味がありカオルに顔を向けていると

カオルは「さぁね?」と笑い続けていて

答えようとはしない…





シュウ「つーか、あれ以来

  会ってねーしそろそろ連れて来いよな?笑」





ヒョウ「いや!この部屋はチワワにとってまだ微妙だから

   最初はカオルの家に行って向こうで会おう!」





ヒョウにしては珍しくまともな事を

言ってるなと驚いていると

カオルも少し考えて「そうだな」と

否定をしなかったから

俺も会うのは久しぶりだななんて

思いながら課題を進めた





19時手前になるとシャーペンの芯をトンっとしまい

帰る準備をしだすカオルを見て

何故か慌てて片付けだすヒョウに

「お前も帰るのか?」と尋ねると…





ヒョウ「チワワの夕飯を食べに行こうかと思って」





シュウ「夕飯??」





ヒョウ「今日はサバ味噌らしいからね!

   久々に食べたくなったから

   カオルの家に寄って帰えるよ」





カオル「サバ味噌?」





さっきカオルのスマホを触っていた事を思い出し

カオルのふりをしてLINEしたんだなと思った…





ヒカル「サバ味噌……食いたいかも…」





ヒョウ「でしょ?ファミレスにはないし…

   定食屋のとは違って…

   家庭的な味しそうだし…

   もう食べて帰らないと課題も進まないよ」





コウ「食べるって…二人分しかないだろ?」





ダダをこねる二人に呆れながら

あきらめるように促すが「一口でいいんだよ!」と

引く気の無いヒョウは荷造りをすませ

スクッと立ち上がってカオルに

ニコニコとした笑顔を向けている





ヒカル「笑実ちゃんは試験も終わったし

   もうそろそろ友達の彼女に挨拶していいだろ!」





シュウ「一口食ったら帰るんだぞ?」






何だかんだ言いながらシュウも勉強道具を片付けだし

一緒について行く気満々なようで

一口だけと言いながら課題道具をバックに

放り投げているから

おそらくカオルの部屋で課題をする気なんだろう…






カオル「・・・・はぁ…」





カオルはポケットに手を入れたまま

呆れたタメ息を吐くと「今回だけだよ」と

言って廊下に向かって歩きだした





カオル「手土産にあのジュース買ってやってよ」





ヒカル「体操だけじゃまだまだって事だな?笑」






笑いながら言うカオルの言葉に

俺も課題道具をリュックにしまい

皆んなでコンビニに寄ってから

カオルのマンションへと歩いて行った

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