ご飯

〈エミ視点〉








「・・・・うん、美味しい!」





あの料理本を見ながらずっと作って見たかった

サバ味噌を作って味見をしてみると

自分でも満足のいく出来栄えに「ふふ…」と

頬を緩ませて時計に目を向けた





「あと一時間位かな?」





お昼からシュウ先輩の家で課題をしている

カオル先輩から19時には帰るとLINEがきていて

鯖に味が染みていい感じになるかなと

思いながら洗い物を片付けていると

ピコンと通知音が聞こえ水道を止めて

スマホを覗くと【夕飯は何?】と

カオル先輩から届いていた





「・・・・珍しいな…」





カオル先輩の家にお邪魔しだしてから

2週間ちょっとは過ぎていて

私たちの試験は終わり

明日からはカオル先輩達の試験期間に入る…





初めて届くLINEの内容に少し首を傾げたけど

お腹空いているのかなと思い

サバ味噌だと返事をすると

そのまま何も返ってこなくなった…





「・・・・夜食もいるのかな?」





昨日の夜に

「明日からは先に寝てていいからね」

と言われていたからカオル先輩は

夜遅くまで試験勉強をするだろうと思い

先に炊きあがっている炊飯器の中のご飯を覗いて

焼きおにぎりを作り置きしておこうと思った





カオル先輩の部屋のキッチンは

リビングについていて

大きさも私の部屋のキッチンよりも

広くて料理がしやすかった





「いいなぁ…広いし温かいし…」





私や沙優ちゃんのキッチンは廊下にあり

夏は暑いし冬は寒いけれど

シュウ先輩やカオル先輩のキッチンは

リビングにあるから冷暖房完備だし

料理を全くしない先輩達には勿体ない気もする…





新しくお米を洗ってから

早炊きモードのスイッチを入れて

夜食用の焼きおにぎりを作りながら

明日は何にしようかなと新婚さん気分で

浮かれていた…






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