〈エミ視点〉










数時間前まで今からカオル先輩とそうなるなんて

全く予想もしてなかったし、下着はつけてないし…

私の思い描いていた初体験ではなかったけれど

目の前にいるカオル先輩を見上げながら

この人がいいと思った…




何もかも準備なんて出来てないけれど

カオル先輩を好きな気持ちだけはきっと…

ずっと前から準備出来ていた気がしたから…




電話を切ったカオル先輩は私の顔をジッと見つめながら

「選びなよ」と言ってきた…



 



カオル「このまま奥の寝室に行って俺に優しく抱かれるか…」





「・・・・・・」





カオル「激しく抱かれるか?笑」

 





初めて会ったあの日…

先輩から差し出された2択にどっちも嫌だと感じていた私は

今回差し出された2択に小さく笑ってから

「中間がいいです」と答えると

カオル先輩もフッと笑って「難しい事言うね」と言いながら

私を抱き上げると寝室のある部屋に歩いて行った





「・・・・カオル先輩…」





私の問いかけに「ん?」と優しい声で

返事をするカオル先輩の顔を見て

カラオケボックスでキスをしながら

感じていた事を思い出していた…





( ・・・・好きになっちゃダメな人だった… )





最低で優しくない先輩に

何度も、何度も…好きになっちゃダメだと言い聞かせた…




だけど、どんなに壁を作ろうとしてもカオル先輩は

アッサリとその壁を飛び越えてきてしまって…

「好きなんだ」と実感した…

先輩の足の上に座らされ、抱きしめる様なキスをされて…

この人にする片想いは沢山泣いて傷付くだろうと…

そう覚悟をした…私の初めての恋だった…




カオル先輩は誰かのカオル先輩にはならなくて…

遊牧民族みたいな人で…

定住なんてさせられないんだと、ずっと思いながら

帰るカオル先輩の背中を見つめていた…





( ・・・・でも今は… )






「ふふ……カオル先輩…笑」






カオル「なに?笑」






( ・・・・私のカオル先輩になったんだ… )


 

 






♡第1章FIN♡





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