プレゼント交換

〈エミ視点〉








もう直ぐ24時になりクリスマスも終わるなと

思いながら伝票が並ぶ台にある小さな置き時計に

目を向けてそんな事を考えていると

「笑実ちゃん」とカオル先輩に呼ばれ顔を向けた





( ・・・・? )





ヒカル先輩達は亜香里ちゃん達と話していて

カオル先輩だけはコッチを向いて何かを言っているけど

カラオケの音で声が聞き取れず「え?」と言うと

カウンターテーブルに体を少し乗り出してきたから

私もテーブルに手をついて先輩に顔を寄せた






カオル「クリスマスだからプレゼント交換しようか?」





( ・・・・プレゼント? )





カオル先輩は口の端を上げてコッチをジッと見ていて

冗談や揶揄っている感じはないから本気なんだろうけど…





「・・・・今ですか?」





カオル先輩の言うプレゼント交換が

私の思っている世間一般的なプレゼント交換なら…

無理だった…




カオル先輩への誕生日プレゼントは買ったまま

渡すタイミングも無くアパートの部屋に置いたままで…

今の私の手元にはカオル先輩に

プレゼント出来そうな物は何もなかったから…





カオル「そう、今!クリスマスは今日までだから…笑」





「・・・・でも…何も準備してなくて…」





そう伝えるとカオル先輩は目を細めて笑いながら

「あるよ」と言ってきてカウンターの下の方を指さしてきた




( ・・・・・?? )





先輩の言っている意味が分からず顔を先輩に向けると

「そこに置いてあるでしょ?」

と言いながらゴソゴソとポケットに手を入れて

スマホを取り出し私に差し出すようにテーブルに置いた





カオル「笑実ちゃんの番号が欲しいんだよ」





「・・・・・えっ…」





カオル「俺の番号をあげるから

  笑実ちゃんの番号も俺にプレゼントしてよ?笑」



 



クリスマスのプレゼント交換は…

小学生の頃から毎年、美香ちゃん達と3人でやっていて

可愛くラッピングされたプレゼントをあける瞬間は

いくつになってもワクワクしていた





( ・・・・でも今年は… )





カオル先輩から差し出されたプレゼントは

綺麗なラッピングもされてなく…

スマホの画面に並ぶ11桁の数字だけど…

今まで1番ドキドキしたプレゼント交換だった…




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