〈コウ視点〉







5人分の席は空いてなく

23時からなら入れるとママに言われ

腕時計を見てもまだ21時前でどうすると

皆んなに顔を向ける…





カオル「赤ずきんの子は?」





ママ「笑実ちゃん?可愛い子でしょ??

  インフルエンザでスタッフが何人か休んじゃって

  今日だけお手伝いに来てくれてる子なんだけど

 うちにいないタイプだからお客さん達皆んな喜んでてね」





きっと里奈ちゃん達に頼まれたんだろうと分かり

断れない姿もなんとなく想像がつき顔を下げて笑っていると

「23時にまた来ます」とカオルの声が聞こえ

「えっ?」と顔を上げた





カオル「今日しか働かないなら

  あの可愛いサンタにお酒作ってもらいたいからね」





ヒョウ「それもそうだね?」






俺たちは席があくまで近くの

別のスナックへと行き時間を潰していたが

カオルの酒の進みはいつもよりもゆっくりで…

セーブしながら飲んでいるのが分かった





23時を過ぎてもう一度お店に行くと

お酒の作り方を知らないと言う笑実ちゃんに

優しく教えていて、その顔は明らかに

今までとは少し違っているように見える…






カオル「俺とシュウのは少し濃ゆくていいよ」





「3本……スリーフィンガー?ですか?」





カオル「ふふ…笑実ちゃんの指なら4本かな?笑」






そう言ってグラスに指を3本当てていた笑実ちゃんの

手に自分の手を重ねて「この辺かな」と言うと

笑実ちゃんは顔を真っ赤にさせて

「わ…かりま…した」とボソボソと言いながら

カオルを見るのが恥ずかしいのかずっとグラスだけを

真っ直ぐと見つめていてる






カオル「接客する時はお客様の顔も見なきゃね?」





「・・・・作ってる時は…ムリ…です…」





カオル「じゃー早く作り終えて相手してよ?笑」






頬杖をついて笑実ちゃんを見上げるカオルの目は

普段の合コンなんかで見る物とは全く違い…

笑実ちゃんがカオルにとって他とは違う存在だという事は

俺たちも皆んな気付いている…





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