〈エミ視点〉








( ・・・・えっ… )





ヒョウ先輩の声が聞こえた気がして顔を向けると

先輩達が立ったままコッチを見ていて固まった…




何でココに?と驚いていると後ろから

「あらお客さん?」とママさんの声が聞こえ

私に「ちょっとだけ席離れるわね」と声をかけてから

先輩達の方へと行き何か話していた






男「笑実ちゃん飲み物がなくなってるから好きなの飲みな」





「えっ?さっきも頂きましたから大丈夫です」





男「ジュースでもなんでもいいぞ?

  コンビニのケーキ買って来てやろうか?笑」






皆んないい人達ばかりだけどママさんが

いないとやっぱり不安になり首を後ろに向けると

お店から出て行く先輩達が目に入り

カオル先輩と目が合った気がした…




( 怒ってるのかな? )





直ぐに戻って来たママさんにホッとしながら

カラオケを入れたり手拍子を叩いたりと…

前に見学をしたお店とは全く違う雰囲気で

こんなお仕事もあるんだなと思っていた




時計に目を向けると23時を過ぎていて

あっという間に時間が経ったんだなと思いながら

お手洗いへと行き少しヒールの高いブーツに目を向け

足が疲れてきたなと思いトイレから出ると…





ヒョウ「あっ!お疲れ!」





さっき座っていたお客さん達が帰り空いていた席には

帰ったはずの先輩達が座っていて驚きながら

「帰ったんじゃ?」と口にすると

「ずっと空くのを待ってたんだよ」

と笑うヒョウ先輩の奥に見えるカオル先輩の顔に

ドキッとして顔を下に下げた…





コウ「笑実ちゃんに水割り作ってもらおうかな?笑」





コウ先輩の言葉に「えっ?」と言うと

「ハイボールね!」とヒカル先輩達も

自分の飲み物を言い出し

「ビールしか分かりません」と言いながら

里奈ちゃん達の方を見ると違うお客さんについていて

どうしようかと思っていると「笑実ちゃん」と

カオル先輩の声が聞こえ顔を向けると手招きをしていた




カオル先輩の前に歩いて行くと

「氷と炭酸水持っておいで」と言われ

冷蔵庫から取り出して言われた物を持って行くと





カオル「まずは煩いヒョウのからだね?笑

  氷をグラスに入れてお酒はトゥーフィンガーだよ」





「トゥーフィンガー?」





カオル「指2本分の高さって事だよ

  水を注いだらマドラーで軽く混ぜて…そう!」






カオル先輩はカウンター越しにお酒の作り方を教えてくれて

その目は優しかったから私の頬も緩んでいった…

 



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