買い物

〈コウ視点〉









コウ「あっ!笑実ちゃん」





冬服を何着か新しく買おうかと思い

カオルと一緒に講義後に買い物に行くと

メンズショップから出て来た

笑実ちゃんを見つけて足を止めた





コウ「・・・・一人みたいだな?」




カオル「・・・・・・」





いつも沙優ちゃんと一緒にいるイメージが強いけど

今日の笑実ちゃんは一人の様で目当ての物がなかったのか

手には何も持ってなく直ぐ隣りにある

別のメンズショップをチラッと覗いて

入りにくいのか店の外にあるワゴンの前で

買う気もなさそうなニット帽を

手に取って置いてを繰り返している




カオルと近づいて行き「笑実ちゃん」と声をかけると

肩をビクッとさせてコッチを振り向き

カオルを見た瞬間手に握っていたニット帽を

パッと手から離してワゴンに戻していた





「おっ…お疲れ様です…」





前から思っていたが笑実ちゃんは変な所で照れる…

多分「こんにちは」や「久しぶり!」みたいな挨拶が

苦手で恥ずかしいんだろう…




( 特にカオルの前じゃ… )




前に沙優ちゃんが笑実ちゃんに

おめでとうと言ってあげてほしいとやって来て

その時の電話の向こうの笑実ちゃんは

緊張してますと言うのが声からでも伝わってきて

聞いているコッチも照れてきたのを思い出した





カオル「沙優ちゃんは一緒じゃないの?笑」





「さっ沙優ちゃんはバイト…じゃなくて用事がありまして…」





( 嘘も下手だからなぁ… )





さっき置いたニット帽をまた手に掴んでモジモジとする

笑実ちゃんに可笑しくなり「誰かへのプレゼント?」

と聞くと「あっ兄に…」と言う笑実ちゃんの下手くそな嘘に

笑いを必死に堪えながら「へぇ…」と言った




前に笑実ちゃんにお兄さんがいる話を里奈ちゃん達から

話のながれで聞いた事があったが年の離れたお兄さんで

確か30歳前後だったはずだ…




笑実ちゃんがさっき出て来た店も

今入りたがってる店も俺たちの世代がよく行く店で

30歳前後のサラリーマンには若すぎるだろう…笑




笑実ちゃんがプレゼントをあげたい相手は多分

隣りで面白そうな物を見る様な顔で笑っているカオルで…

本人も分かっている様だった





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