〈シュウ視点〉








家でゆっくりしていると

少し前の飲み会で知り合った子から会わないかと誘われ

特にする事もないから了承の返事を送り

相手の家に向かっていると笑実ちゃんを見つけた




何処に行くんですかなんて聞かれたら面倒だしなと思い

見なかった事にして一本先の信号を渡ろうかと考えたが

笑実ちゃんの顔は俯いていて

何かを考えている様に見えたから

「はぁ…」とタメ息を吐きながら信号を渡り肩を叩いた






シュウ「あの飲み会以来だな?バイト帰りか?」






「はい!シュウ先輩は…」






笑実ちゃんが周りに目を向けたから

また飲み会の帰りだとでも思っているんだと分かり

話をそらす為にカオルの名前をだした





「イジワルな先輩達です」と顔を赤くして言う

笑実ちゃんを見てるとヒョウの言っていた

チワワ呼びを思い出し吹き出して笑った





笑実ちゃんはカオルが「おいで」と呼べば駆け寄って行くし

相手をしてやれない時は煩い事も言わずに

大人しく待てをしている一途な子犬だ…






「夏休みで帰ってる人が多くて2階のお店にも

  手伝いで入ってたりしてたから…今日は特別です」





シュウ「あーあの店ね…」






合コンで使った店が

笑実ちゃん達のバイト先だったとは知らず

里奈ちゃん達から聞いた時は驚いたし

まさか見られていたとはな…




ジーっと顔を見上げてくる笑実ちゃんに気まずさを感じ

「子供は早く帰れ!」とシッシッと手でやりながら

帰らせたけど最初見かけた時の顔も気になり

笑実ちゃんの後を追ってカオルに電話をかけてやった






スマホを耳に当ててやると

笑実ちゃんの口元が少しムズッと動き

ニヤケそうなるのを必死に我慢しているのが分かり

フッと笑っていると笑実ちゃんは何も言わないまま

俺を見てきたから出なかったのかと思い画面を見ると

通話中になっていて耳にスマホを当てると

笑実ちゃんがどうして何も話さなかったのが分かった…





( 地元でも楽しく飲み会か?笑 )





奥から聞こえてくる声には女の声も混ざっていて

気を遣って話さなかったんだろう…





( 本当に待ての出来るペットだな… )





普段は他人のペットに構ってやったりはしないんだが

ここまで従順だとオモチャを買い与えてやりたくなり

電話を切ろうとするカオルに笑実ちゃんもいる事を伝え

電話を変わってやった…




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