〈シュウ視点〉








もう一度電話を耳に当ててやれば

「こんばんは」と照れ顔で話す笑実ちゃんを見て

今時珍しい子だよなと改めて思う






カオルとはそれなりに会って相手もされて…

俺たちが良い先輩じゃない事も分かってるはずなのに

電話で話すだけでこんなに嬉しい顔をする笑実ちゃんが

俺の目には不思議な子に見える






田舎出身だから中身も純朴なのかと思っていたけど

何も分かってないような子でもなく…





春過ぎの飲み会に来ていた頃の笑実ちゃんは

本当に田舎から出てきたばかりだだの子供に見えけど

あのハッスルの体験入店は真っ先に

断って一人で先に帰ろうとしてたみたいだし…

芯はしっかりとした子に思えた





「待ち歌…良い曲ですね?笑」





笑実ちゃんの言葉に、まだあの曲にしたままだったのかと

顔を小さく横にフリ呆れていると






「ふふ…笑 強くて明るい人気モノですよ!」






( ・・・・ん?? )






カオルが帰省する前日に飲み会の約束があり

集合時間までうちで時間を潰していると

カオルがある曲をかけだし

皆んなで「なんだ急に?」と笑い出した





ヒョウ「なになに!?笑

  夢の国に行きたいわけ?」





コウ「懐かしい曲だな?笑」





カオルが流し出した曲は世界的に有名な

アニメーション会社のイメージキャラクターの曲で…

誰しも必ず一度は耳にした事のあるマーチ曲だった






ヒョウ「はっ??待ち歌にすんの?笑」





カオル「皆んなにも聞かせて笑わせたいじゃん?笑」





ヒカル「いやいや、なんの罰ゲーム?ってなるぞ!笑」






てっきりいつもの悪ふざけで

待ち歌にしたのかと思っていたけど

嬉しそうに笑っている笑実ちゃんの顔を見て

カオルがあえて待ち歌にしたんだと分かった…





笑実ちゃんの誕生日の日に

カオルにお祝いの電話をかけてあげてほしいと

お願いに来た沙優ちゃんを送り届けている時に

笑実ちゃんが待ち歌にしていた洋楽は

カオルが好きだと言っていた曲だと

聞いた事を思いだした…





「シュウ先輩に変わります」

と早めに電話を切り上げようとして

俺にスマホを差し出してきた笑実ちゃんを見ながら

カオルが笑実ちゃんを女の子として

可愛がっているのかは微妙だが

この従順なペットを特別可愛がっている事は分かり

「いい曲だな?笑」と言ってやった





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