〈エミ視点〉










カオル「・・・・・・」






「・・・・・・」





カオル「・・・・楽しい?笑」






カオル先輩と手を繋いだまま散歩をしていると

急に笑いながら聞いてきたから「えっ?」と言って

先輩の方へと顔を向けると






カオル「いや、話さないままずっと歩いてるだけで…笑」






シュウ先輩のアパートの周りは

アパートやマンションや民家が密集している地帯で

あまり話などをすると近所迷惑なのかと思い

話しかけない様にしていた






「えっ、あっ!すみません…

  カオル先輩と二人で歩くの初めてですし…

  なんて言うか…その……私は楽しいです…」





そもそもデートなんてした事もなく

会話がなくてもカオル先輩と並んで歩くだけで

私としては大満足だったけど…






( ・・・・退屈だったかな… )






カオル「笑実ちゃんはホント変わってるね?笑」




「・・・・すみません…」




カオル「ふふ…褒めてるんだよ?笑」






先輩が私をかまってくれるのは珍しいからだって

なんとなくは分かっている…




前に週に一度は会いたいタイプと言っていた様に

いつも遊んでいるお姉さん達とは違って

田舎ぽい私で気分転換をしているんだろう…





( 飽きたら…もう会ってくれなくなるのかな… )





カオル「笑実ちゃんが気にしてる事もなんとなく分かってるよ」





カオル先輩の言葉に「え?」と小さく呟いて顔を向けると

手を引かれて民家の並びにある石垣の前で足を止めて

体がふわっと浮く感覚がするとその上に座らされた





カオル「声を気にしてるんでしょ?笑」





小声でそう問いかけてくるカオル先輩の顔は

石垣の高さもあり、いつもよりも近く感じる…






カオル「話は出来ないし…

  歩いてばっかりじゃ足も疲れるからね…」





「・・・・・・」






顔を近づけながら「じゃあ、どうしようか?」と

囁くカオル先輩の顔は意地悪で…

私の唇を指で撫でながらもう一度

「どうする?」と問いかけてきた…





「・・・・カオル先輩は…イジワルです…」





カオル「イジワルが好きって言ってなかった?笑」





「・・・・・・」





何も言わずに先輩を見つめていると

「歩く?」とまた意地悪な事を言うから

「キス…したいです…」と呟いた…





カオル「ホントにお利口さんだよね…笑」





その言葉の後

私は外だと言うことも忘れて

カオル先輩のくれる甘いキスにひたすら溺れていた…





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