〈エミ視点〉







カオル「この服…可愛いね?笑」





そう言いながら首元にあるリボンに

手を伸ばし軽く指の先で掴むと

「ラッピングのリボンみたいだね?」と

笑って私の顔を見下ろしている





「沙優ちゃんが…選んでくれて…」





シュウ先輩達の事を伏せて言うと

カオル先輩はフッと笑って「シュウやヒカルは?笑」と

言ってきたから全部知っているんだと思った…





カオル「誕生日プレゼントなんでしょ?笑」





「・・・知ってたんですね…」





カオル「ヒカルが16日の笑実ちゃんは可愛いからって

  しきりに連呼してたからね?笑」






ヒカル先輩はやっぱり空気を読まないタイプなんだと

改めて認識していると「何がほしい?」と聞かれた…






カオル「誕生日プレゼント」





「もう、沢山もらいましたよ?」





カオル「沢山?笑」





「電話と…ケーキと甘いお酒も…」






「それプレゼント?笑」と笑いながら口付けてくると

シュッと音が聞こえカオル先輩がリボンを解いたのが

分かり目をギュッと瞑り心臓の音が耳に響いていた




電気の消された部屋の中で

カオル先輩の手の動く感触だけに全神経が集中している

みたいに反応してしまう…




「・・・ンッ…」




先輩の手が胸にあるのを感じ声が漏れて

恥ずかしくなっていく…




( ・・・・変だよね… )




恋人でもないカオル先輩と…

他人のベッドの上でこんな事をしていて

扉の向こう側には友達も知らない人も沢山いるのに…





( ・・・もっと…なんて思うなんて…変だ… )





カオル「・・・豆乳の効果あるみたいだね?笑」





先輩の言葉に目を開けると

「また買ってあげなきゃね」と言いながら

手を首元のボタンへと移動させて

一番上のボタンを外された瞬間

部屋の扉がバンッと開いた…





ツカサ「カオル先輩!次使いたいから早くって!笑」





ツカサ先輩の声に驚くとカオル先輩は

毛布をガバッと私にかけて「使うって誰が?」

といつもよりも少し低い声で話していた





ツカサ「あー…もうちょいかかるって伝えとこうか?」





カオル「・・・・・・」





ツカサ「ごゆっくりぃ…笑」





パタンとドアの閉まる音が聞こえ

いなくなったのかなと思い毛布から顔を出すと

扉の方を見ていたカオル先輩の顔がコッチに向き

「ビックリしたでしょ?ゴメンね」と言いながら

頭を撫でてきて手をまたボタンに伸ばしてきた





カオル「アキラ達いるからダメだね」





そう言って外したボタンを止めて

リボンを結ぶと私の顔を覗きこみ「また今度だね」

と笑うカオルに恥ずかしくなり顔を下に向けると

「下げちゃダメ」と聞こえてきて

顎を持ち上げられると…





カオル「キス出来ないでしょ?」





と言われチュッと触れるだけのキスをされた…

カオル先輩は「また来そうだから出よう」

とベッドから降りようとしているから

「あの…」と声をかけた





「誕生日プレゼント…欲しい物が…お願いがあります…」




カオル「フッ…いいよ、何でも聞いてあげるよ?笑」




「・・・・散歩がしたいです…」





カオル先輩は少し目を見開いて「散歩?」と問いかけてきて

前のワガママの時みたいにバカにして

笑われるかもと思ったけど…

あの部屋には戻りたくなかった…





「・・・その辺りをグルッと…歩きたくて…」




カオル「それがプレゼントなの?笑」




「・・・手も繋いで欲しいです…」





手に握っている毛布をグニグニとさせながら

そうお願いすると「ふふふ…」

とヤッパリ笑う声が聞こえてきた





カオル「いいよ、二人で散歩しようか?笑」





顔をパッとあげカオル先輩を見ると

「おいで」と笑いながら手を差し伸べてくれて

喜んで先輩の手を掴みベッドから降りて部屋からでた




先輩は奥の部屋に「散歩行くから部屋いいよ」と伝えると

アキラ先輩が出てきて「ベッドの次はお散歩か?」と

笑って声をかけてきた






アキラ「随分可愛がってるペットなんだな?」





カオル「そう…ご主人様大好きだからね?」





先輩達の会話を聞きながら

そう言う意味の散歩じゃないのにと少しだけ

ムッとしていると玄関の方へと手を引かれ

靴を履いて外に出ると「さてと…」と

重ねただけの手が指を交差して繋ぐ

恋人繋ぎに変えられた





カオル「じゃー初めてのデートに行こうか?笑」




「・・・はいッ!!笑」





私のお願いしたプレゼントが

「デート」だと気づいていたんだと分かり

手をギュッと握り返して

カオル先輩と初めて二人だけで出かけた




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