豆乳

〈エミ視点〉









相変わらずカオル先輩達の噂話は耳にするし…

先輩を好きだと自覚してからはやっぱり苦しく感じる





( ・・・・連絡先知らないんだよね… )





LINEも知らないし電話番号も知らなくて…

私がカオル先輩と話したのは片手で数える位だった…




次にいつ会えるのかも話せるのかも分からなくて

この片想いは楽しい事は正直あまり無い…





( ・・・・それでも… )





やり方は酷いけど…

初めて会った日も誰かに襲われる事はなかったし…

追いかけて来ていた男の子達を

怒ってくれてるのも嬉しかったし…





「・・・好きになっちゃうよね… 」





カオル先輩に惹かれていくのは…

仕方がない気がする…



カラオケ屋でのキスを思い出して

顔を手でパタパタと仰ぎニヤケそうになる頬を引き締めた




LINEの通知音が聞こえスマホをひらいて見ると

沙優ちゃんからで一緒に夕飯を作って食べないかときていた




亜香里ちゃんと里奈ちゃんはあのバイトを続けるみたいで

夜は一緒に遊ぶ回数が減ってしまった…




沙優ちゃんに、いいよと返信をして

変わった信号を渡ろうとすると

「渡るな!!」と後ろから声がして振り返ると

コンビニからコウ先輩が走って来た





「コウ先輩…お疲れ様です…」





一対一で会う事も話す事も初めてで

様子を伺う様に挨拶をすれば

「お疲れ様って」と笑いながら

コンビニの袋に手を入れて

あのイチゴの豆乳を取り出した






コウ「ほら、沢山飲むんだぞ?笑」





「・・・・ありがとうございます…」





本当に皆んな知っているんだと思い

どんな表情で受け取っていいのか分からず

ボソボソとお礼を伝えると





コウ「いや、コンビニから笑実ちゃん見えたから

  コレ買ってやらなきゃなって思ってな!笑」





「・・・・・・」





コウ「せめて…Cいや…Bにはなれよ?笑」





「・・・・…もん…」





コウ「ん??何??」





「・・・・Bだもん…」





そう言うと目をパチパチとさせた後

自分の足を数回叩きながら腰を曲げて笑った後に

「じゃー目指せCだな?笑」と全然信じてなさげに言い

手を振って「またな」と行こうとするから引き止めた







「あの…あの日…お店の前で…」





コウ「店?」





「酷い事言って…すみませんでした…」





コウ「・・・・酷い事?俺に??」






コウ先輩はどの事か全く分かってなく

「だから…あの…」と説明すると

また目を見開いて笑っていた…





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