〈エミ視点〉







お店から一人で出て

コレでよかったんだよねと自分に問いかけていると

「あれ?」と聞き覚えのある声に

一瞬背中がヒヤッと嫌な感じがしながら振り返ると…






ヒカル「やっぱり!なんとかちゃんだよね??」





「・・・・・・」






顔を向けた先にはヒカル先輩達がいて…

その中にはカオル先輩もいた…





ヒョウ「・・・ハッスル……働くの??」





このお店から出てくるのを見ていたんだから

そう思われて当然かなと思いながら「違います」と

顔を俯かせながら答えて

早く帰ろうと駅の方面に体を向けると

腕をグイッと引っ張られた





カオル「どんな店か分かってんの?」





カオル先輩の顔は怖いと思ってしまうほどに真顔で

いつもの優しい声とは全く違い足が震えそうだった…





「・・・分かって…ます…」





そう答えると「あ゛ッ!?」と

掴まれてる腕がギリっと更に痛く握られ

「カオル!」とコウ先輩が止めに入ったけれど

腕は離される事はなく今も怖い顔で睨んでくる…






カオル「ここで何してたの?」





「・・・・・・」





皆んなで面接に来ました、なんて言えずに

俯いたままでいると「チッ」と舌打ちが聞こえ

あの駐車場で見たカオル先輩は

やっぱり見間違いなんかじゃなく

怒ったら凄く怖い人なんだろうと思った…






カオル「オヤジ達に触らせて楽して金稼ごうって?」





ヒョウ「バイトの中身は…いいんじゃない?」






カオル先輩が触ってきたのは拒んだのに

お金を貰えたら触らせるのかと怒っているんだと思い

体中が熱くなっていって視界が少しずつ滲みだしながら

「言われ…たくない…」と小さく呟いた…






「先輩達だって…

  楽して女の子達と遊びまくってるじゃないですか…

  そんな事してる…先輩に言われたくないですッ!」






そう言うと眉間にシワを寄せて

また小さく舌打ちをする先輩に怖いと感じ

「離してください」と言おうとすると

後ろから「笑実ちゃん、私も帰る」

と沙優ちゃんが出てきた…





シュウ「えっ??沙優ちゃん?」






沙優ちゃんはシュウ先輩達に気づいて固まったけれど

私が泣いている事にも気づき

「笑実ちゃん?」と駆け寄ってきて

カオル先輩は掴んでいた腕を離し…





先輩の腕が離れた瞬間沙優ちゃんの手を掴んで

「帰る」と言いながら一気に涙が溢れてきた…





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