忘れた方が…

〈エミ視点〉







「・・・・・・」





学食で皆んなとご飯を食べていると

違う学科の子達がカオル先輩達の話をしていて

私と沙優ちゃんが連れて行ってもらった

あの夜景の場所にその子達も連れて行ってもらっていた…






リナ「先輩達って本当に凄いね…」





アカリ「確かにカッコいいけど…彼氏には…」






うちのクラスの子達も先輩達と

そういう風に遊んでいた子は多くて…

でも誰一人恋人みたいな

特別な関係に発展した子はいなかった…





亜香里ちゃんの言う通り

先輩達は“彼氏”はもちろん…

好きになんて、なってはいけない人達

なんだろうなと思った…





チラッと沙優ちゃんを見ると何も言わないまま

定食に箸を伸ばしていて…

その顔に笑顔はなく見える





電話をすればちゃんと助けてくれたし…

シュウ先輩から頭を撫でられ「同じ地元だからなぁ」と

言われている時の沙優ちゃんは、はにかんで笑っていて…





( とっても可愛かった… )





後ろから聞こえてくる話には

シュウ先輩の名前も…カオル先輩の名前もあって…

やっぱり最低な先輩達だと思った…





ミートボールを箸で突っつきながら

下を向いていると「あっ!」と亜香里ちゃんが声をあげて

バイトの体験入店に付き合ってくれないかと言ってきた







「体験入店?」





アカリ「夜のお店で時給もいいんだけど…

  初めてだし…ちょっと怖くて…」





リナ「夜?スナック??」





アカリ「よく分かんないんだけど…

  時給3000円だから体験入店してよかったら

  やってみようかなって?」





「3000円?」





夜のお仕事の時給が高いのは知ってたけど

コンビニの4倍近くなんだと驚いていると…





アカリ「ほら…夏休みもあるし…

  水着とか浴衣とか…買いたくてね」





リナ「確かに…学生生活も2年間だけだし

   旅行とかも行きたいね?笑」





サユ「旅行…」







ずっと黙ったままの沙優ちゃんが「行きたいね?笑」と

小さく笑ったから私も「いいね」と頷いた




きっと私も沙優ちゃんもバイトや旅行をして…

何か楽しいことをして早く忘れてしまった方がいい…





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