会いたくない

〈エミ視点〉










『胸を大きくしたいなら豆乳だよ!』





地元の友達がそう言っていたのを思い出し

目の前の棚に並んでいる豆乳の紙パックジュースを眺めた





( ・・・・大きく… )





私の胸は大きくないどころか…

標準のCもなくて…




色々な味が並んでいる中からイチゴ味の紙パックを

手に取り自分の胸にチラッと目線を落とし

あの日カオル先輩から触られたのを思い出し

「はぁ…」とタメ息をついた…





( ちっちゃいって思ったよね… )





コンビニの中で立ち尽くしながら

頭の中はあの日の事ばかりで…



沙優ちゃん達が車に戻って来たのは

あれから1時間以上経った後で

なんとなくお互い目を合わせられなく

シュウ先輩が運転する中

後部座席でカオル先輩と手を繋いだまま

ずっと顔を下げていた…





( 沙優ちゃんも何もいわないし… )





飲み会の日と同様お互い何があったのか…

何をしていたのかも話さないまま終わり

里奈ちゃん達にもあの日の事は話さないでいた






「・・・・これが大学生なのかな…」





ヒョウ「豆乳と大学生になんの関係があんの?笑」






急に耳元で聞こえた声に驚いて振り向くと

ヒョウ先輩が私の手にある豆乳を見ながら

「豆乳と大学生?」と顔をかかげている






「おっお疲れ様です…」





ヒョウ「お疲れ様?笑 変わってるねぇ」






カオル先輩達もいるのかと周りに目を向けると

「もう直ぐ来るよ」と言われ「え?」と顔をあげると

大きくて少し釣り上がった目が私を見下ろしながら

カオルでしょと問いかけてきた






ヒョウ「この前も仲良く過ごしたんでしょ?笑」





「・・・・皆んなで…夜景見ました…」





ヒョウ「へぇ?笑」






女子の方がお喋りなイメージだけど…

先輩達は全部ペラペラと話すのかなと思い

また最低な先輩達だなとショックを受けていると





コウ「だからアレしかないだろ?笑」





コウ先輩の声と一緒にガヤガヤと

数人の声が聞こえてきて

カオル先輩達が入って来たんだと分かり

手に持っていた豆乳をヒョウ先輩に渡し

先輩達に見つからない様に

反対側から小走りでコンビニの外へと出て行った





( 出来ればもう会いたくない… )



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