〈エミ視点〉







山路を登って行き車のライトだけしかないその道は

前方こそは明るいけど横の窓から見えるのは暗闇だけで

怖いなと思っていると「怖い?」とカオル先輩が

声をかけてきて顔を向けた





カオル「怖いなら頭を下げてたらいいよ?笑」





「・・・・下げる??」






カオル先輩は手を離して私の肩にその手を置くと

グッと体を倒して視界がガクッと横向きになった…





( ・・・・これ… )





カオル「コレで見えないし怖くないでしょ?笑」






私の頭はカオル先輩の足に乗っていて

頭を撫でられる感触がしている…

私はジミン先輩に膝枕をしてもらっているんだろう…






シュウ「おい!笑 俺たちもいるんですけど?」





カオル「流石に膝枕だけだよ?笑」





「・・・・(だけって… )」






この先輩達はそう言う会話をオープンにするから

どう反応していいのか分からなくなる…






シュウ「沙優ちゃん、後ろ向いちゃダメだぞ?笑」





サユ「えっ!?」





シュウ「カオル先輩は直ぐスケベになるからなぁ?笑」





カオル「シュウ先輩も中々だからね?笑」






沙優ちゃんに気をつけてねと言いながら

頭を撫でていた手が少し下がり

耳元を優しく触ってきだし

くすぐったさから首を曲げると

「ふふ…」と上から笑い声が降ってきた…





シュウ「着いたぞ!」





シュウ先輩の声がするとやっとカオル先輩の手も止まり

上体をパッと起こすとコッチに顔を向けている

シュウ先輩が「大丈夫?笑」とニヤニヤとした顔で見ていた





「大丈夫…です…」





そう言うと「なら良かった」と笑いながら言い

皆んな車から降り出したから

私もドアを開けて車から降りて

直ぐに沙優ちゃんの腕を掴んで隣りを歩いた




先輩達の連れて来てくれた夜景は

本当に綺麗で他に人がいない事が少し不思議に感じていると






シュウ「大抵の奴らは○○山の方に行くから

  コッチはいつも空いてて貸切だよな?笑」





サユ「コッチよりも綺麗なんですか?」





シュウ「比べ物にならないかな

  アッチはちょっとした観光地で

  駐車場も広いし屋台や自販機とかも設置されてるよ」





カオル「でも人が多いからねぇ…

   俺はコッチの方が好きかな?笑」





シュウ「だよな?笑」






有名な方に連れて行ってくださいよと思いながら

何でコッチの方がいいと言っているのも分かり

沙優ちゃんの腕をギュッと握った…





沙優ちゃんがトイレに行きたいと

小声で言ってきたから一人じゃ怖いだろうと思い

「一緒に行くよ」と言うと…





シュウ「トイレに潜んでる奴とかいるから

    女の子だけじゃ危ないからな…」





と言って「俺も行きてぇから一緒に行くぞ」と

沙優ちゃんの手を引いてトイレ歩いていく

シュウ先輩の後ろ姿を見ながら

大丈夫かなと心配していると…





カオル「トイレ行かないなら先に車で待ってよっか?笑」





と車に向かって歩き出すカオル先輩の後を追い

5分もしないで戻ってくるだろうと

後部座席に乗り窓から少しだけ見える夜景を眺めていると

「笑実ちゃん」と呼ばれ「はい?」と振り向いた瞬間

カオル先輩の香りと共に唇に柔らかい感触がした





「ンッ…んっ!!…ツ…カオルせっ…ぱい…」





唇をどうにか離して沙優ちゃん達が戻って来ると言うと

「あぁ…笑」と笑ってまた唇を重ねてきて

「戻ってこないよ」と唇を離しながら囁いた






( ・・・やっぱり優しくない先輩達だ… )






カオル先輩の言う通り沙優ちゃん達は戻って来なくて

私は目をギュッと閉じて先輩からのキスを受けていた…





カオル先輩の手がまた耳元を撫でてきたから

擽ったくて「ンッ!」と身体を揺らすと

「気持ちいいの?」と問いかけられ

「擽ったいんです」と先輩の手から逃げる様に

首を反らすと「どう違うの?」と笑っている





カオル「ちょっとだけならいいんだよね?笑」





そう言いながら舌を絡めてくる先輩のキスに

苦しくなりひたすら目を固く閉じていると…





( ・・・!? )





「ダッ…ダメですッ!」





胸を触られた感触に腰回りがゾクっとして

両手でカオル先輩の手を下に降ろすと

トンっと額同士をくっつけてきて「ダメ?」と

可愛く聞いてくる先輩にドキッとしながらも

「ダメ…です…」と小さく呟いた





カオル「コレはちょっとには含まれないんだね?笑」





と笑って言っているカオル先輩に

もう一度ダメですと伝えると

くっついていた額は離れてジッと顔を覗きこんでくる…




その目は笑ってなく怒っている様にも見えないから

どう反応していいのか分からず顔を俯けた…







カオル「やっぱり笑実ちゃんは週1かな…」





「・・・・すみません…」






シラケさせたかと思い謝ると

顎を持ち上げられ…






カオル「キスはいいんだよね?笑」






私の「えっ?」と言う言葉は

先輩のキスによって消えていった…




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