〈エミ視点〉








( ・・・なんでこんな事に… )





真っ暗な後部座席でチュッとリップ音が聞こえ

あの日のベッドの中の様に

自分の心臓の音が耳に響いている…






サユ「夜景?」





シュウ「夜景スポット教えてやるから

  今度皆んなで見に行ったらいい!笑」





カオル「あそこは女の子だけじゃ危ないんじゃない?」





シュウ先輩と話しながら私の手を握ってきて

「男の子もいなきゃダメだよ」と笑いかけてくる…





( ・・・・・・ )




シュウ先輩やカオル先輩は

私や沙優ちゃんに対して特別好意があるわけではなく…

ルナ先輩達と自分達の人数では男子が少し余るから

コッチに来たんだと分かった…




( ・・・・やっぱり嫌な先輩達だな… )





いい先輩でもないし…

優しいけど優しくない…

お兄ちゃんみたいな感じでもないし…

ただの先輩でもない…




でもきっとカオル先輩達から見た私達は

ただの後輩…ただの都合のいい女の子なんだろう…





カオル先輩の顔を見ていると先輩が視線に気づいて

「ん?笑」とあざとい笑顔で首をかかげている





「・・・・(ルナ先輩達はいいんですか?)」





なんて事を言えば

まるでヤキモチを妬いているみたいだし

先輩に気があるみたいで言うのをやめた…





「遠いんですか?」





だから、当たり障りのない質問をして

雰囲気を壊さず夜景を見て早く帰ろうと思った






シュウ「1時間もかからないよ

  ただメジャーな方じゃないから…暗いかな?笑」





サユ「えっ!?怖いのはイヤです!!」





シュウ「俺らがいるから大丈夫だよ!笑」





カオル「沙優ちゃんはシュウが守ってあげるし

  笑実ちゃんの事は俺が守ってあげるよ?笑」





「・・・・ありがとうございます…」






先輩達が一番危険ですよと思いながら

そう口にするとシュウ先輩が

「カオル先輩やさしぃーいー!笑」と笑い出した






カオル「カオル先輩はやさしぃーいのぉー!!笑」






「・・・・・・」







カオル先輩は…

優しくて…優しくない先輩…



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