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〈エミ視点〉
カオル「笑実ちゃん一口ちょうだい」
「・・・・どうぞ…」
私の頼んだカルボナーラを頂戴と言うカオル先輩に
スプーンとフォークを置いてお皿を差し出すと
「普通はあーんなんだけど?笑」と言って
私の使っていたフォークでパスタをクルクルと絡めて
食べる姿を見ながら、カルボナーラ好きなのかな
と思っていると「出たよカオルの一口ちょうだい」と
カオル先輩の隣りに座っているコウ先輩が
私の方に顔を向けて「気をつけないと全部食べられるよ」
と笑ってきた…
ヒョウ「完食はしないけどチョイ食いが好きなんだよね?笑」
カオル「全部はなんか飽きるじゃん?」
「・・・・・・」
うちのお婆ちゃんがよく…
男の人はご飯の食べ方をみれば
だいたいその人の人となりが分かると言っていた…
なんとなくカオル先輩の摘み喰いの癖は
女の子達に対する態度の様に思えてきて
机の下でさりげなく、くっつけてきている足を
そっと離し距離をとった…
ヒョウ「見てたら食べたくなってきた…
カオル次は俺にもちょうだい?」
コウ「俺もちょっと欲しいかも」
シュウ「笑実ちゃんのが無くなるだろうが?笑」
「大丈夫です、お腹いっぱいになりましたから」
先輩達が摘み喰いをした
あのカルボナーラが自分の元に返ってくるのが
何だか嫌だと思い
烏龍茶の入ったコップを手に取りストローを吸った
カオル「デザート頼んだらいいよ
甘いやつなら誰も食べたりしないから?笑」
「そうします…」
沙優ちゃんはカフェアフォガードにするといい
私はパスタもあまり食べれなかったから
ストロベリーパフェにして
先輩達の話に相槌をうっていると
さっきカオル先輩達が怖い顔を向けていた
あの男の子達が来て
「そろそろ食事終わりましたか?」と聞いてきた
シュウ「デザート頼んで終わりだから
その伝票持って行ったら帰っていいぞ?」
男「はい…」
ヒョウ「本人達にも謝らなきゃね?怖い思いさせたんだから」
男の子達が顔をコッチに向けてきて
思わずカオル先輩の背中に体を寄せると
髪からあのいい匂いがした…
男の子達は「すみませんでした」と頭を下げて
ちょうど席に届けられた伝票を手に持ち
お会計へと歩いて行ったけど…
「・・・・あの伝票…」
私と沙優ちゃんの分を合わせても
3,000円もいかないはずなのに
伝票には10000円台の数字が見えていた…
カオル「はい、笑実ちゃんだけのパフェがきたよ?笑」
「・・・先輩達もしかしてずっといたんですか?」
コウ「夕飯食ってたらシュウのスマホに電話がきたんだよ
最初は何事かと思ったけど追っかけ回してるのが
後輩達だって分かった時はちょっと笑ったよ?笑」
サユ「私達は笑えませんよ…」
沙優ちゃんと全く同じ意見で
この先輩達はやっぱり最低な人達のように思えだし
あの高い伝票を持って行った男の子達に
ほんの少し同情をしていると
ヒョウ「でもカオル達は笑ってなかったよ?笑」
サユ「えっ?」
ヒョウ「怖い顔して
入り口に残ってた奴らの所に歩いて行ったからね?」
カオル「俺は怖い顔とかしないから!笑」
カオル先輩は「優しい先輩だからね?」と笑っているけど
駐車場で見たあの顔を思い出しながら
「はい」と先輩から差し出されたスプーンを
受け取りパフェを一口食べた
カオル「笑実ちゃんが食べてるの見ると
なんでか欲しくなるね?笑」
そう言って容器から予備のスプーンを手に取り
「美味しそうだね」と言うから…
「・・・・ちょっとなら…いいですよ」
とテッペンの生クリームを
スプーンで掬いながら言うと
カオル「じゃぁ…ちょっとだけ貰おうかな?笑」
と言って側面のストロベリーアイスを
スプーンで掬って食べだしていた…
( ・・・・ちょっとだけなら… )
そう思いながら
またくっついている足をそのままにした…
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