・
〈エミ視点〉
シュウ先輩からは5分経っても折り返しがかかってこずに
不安になっていると後ろの車が凄いスピードで
横の車線に移動したから「ナニッ!?」と
沙優ちゃんの服の裾を掴むと
私たちの車を追い越して何処かに行ってしまった…
サユ「・・・・待ち…ぶせとかしないよね?」
「・・ライトは…遠くに行ったみたいだけど…」
本当にいなくなったのかは分からないけど
ずっと後をつけられる恐怖心からは解放され
二人でホッとしながらナビに従って
シュウ先輩のいる場所に向かうと…
「・・・曲がって…直ぐ…」
サユ「えっ…でも…」
ナビが案内した先はさっき来たファミレスで
顔を見合わせて駐車場に入ると
さっき追いかけてきていた車によく似た
黒い軽自動車が止まっていて
「沙優ちゃん」と呟いて肩に手を置くと
車の近くにはシュウ先輩の姿が見えた
駐車場の端に車を停めて様子を見ていると
さっき入り口にいた男の子達は顔を俯けて
皆んな頭を下げているようで…
「・・・しめるって…やつかな?」
よく部活なんかで耳にしていた
男子特有の縦社会なのかなと思いくちにすると
沙優ちゃんが「ぷっ」と笑い出し
サユ「笑実ちゃんの口からしめるってなんか…笑」
「えっ??変かな??」
二人で笑いながら見ていると「あっ!カオル先輩だ」と
沙優ちゃんが指を指して言い
私も口には出さなかったけどカオル先輩の姿に
気づき…驚いた…
サユ「・・・・あんな顔するんだ…」
「・・・・・・」
先輩の顔はあの飲み会で見た
フニャッとした笑顔でも少し意地悪な顔とも違い…
サユ「・・・カオル先輩って…実は…だったのかな…」
沙優ちゃんが濁した部分はなんとなく分かった…
カオル先輩の出身地域は…
なんていうか気性の激しい土地柄で…
ヤンキーというかそういう感じの人が多いイメージだった…
服に片手を入れて男の子達に何かを言い
前髪をかきあげて見えたその目は…鋭くて怖かった…
( ・・・・今日は…あざとくない… )
あの日見たカオル先輩は
ニコニコと笑っていて…なんて言うか可愛い感じだった…
先輩の目はそんなに大きくもなかったけれど
その瞳は少しキラキラとして見えて
ニコッと笑って細くなる目の奥は…輝いていた…
少し細い目に白い肌…
まるでお伽噺のヒロインの様にぽてっとした唇の先輩は…
カッコ良くて…キレイな男の人で…
あのあざとい感じの笑顔がなかったら…
( ・・・多分…凄く男の人だ… )
沙優ちゃんのスマホが鳴り出し
きっとシュウ先輩だろうと画面を見ると当たりで…
シュウ「もしもし?迷ってる?」
サユ「あっ…着いてます…」
そう言って沙優ちゃんだけ車から降りると
シュウ先輩が近づいて来て
泣いた顔の沙優ちゃんを見て
揶揄いながら頭を撫でだしたから
ジッと見ているのも変に感じ顔を下に向けていると
扉が開き「降りなよ」とカオル先輩の声がした
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます