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〈エミ視点〉
部屋の中へと入ると一緒に来た友人達も
楽しそうに男の先輩達と話していて
ほんのりピンクに染まった頬を見ながら
アルコールを飲んでいるのかなと思った…
「ダメだよ!」なんて言うつもりはないが
大丈夫かなと心配になり二人を眺めていると
手を繋いだままの先輩が「何が飲みたい?」と
冷蔵庫を開けながら聞いてきた
「・・・・あの…勝手に…」
この部屋の主人でないカオル先輩に
勝手に冷蔵庫の中の物を頂いても大丈夫なのかなと思い
後ろで盛り上がっている真の主人に目を向けると
いい感じに酔っ払って私の友人の肩を抱いていた…
カオル「へーき、へーき!笑
さっ!どれにしようか?甘いやつかな?」
冷蔵庫の中にはコンビニやスーパーの
アルコール棚に並んでいるお酒があり
飲みかけの瓶も沢山あるからいつもこんな風に
飲んでいるんだろうなと思った…
棚の端に“ゼロカク”と書かれたノンアルコールの
缶が見えて「コレいいですか…」と手を伸ばすと
「飲んじゃった方が楽だと思うけど?」と
笑ってコッチを見ている先輩にまた少し肩が上がり
あとどれくらいでおひらきかなと時計に目を向けた
( 私だけでもしっかりしてないと… )
皆んなを家まで送った方がいいよねと思いながら
その冷えた缶を握っているとまた手を引かれて
皆んながいるテーブルへと行き座らされたが
座った斜め前にいる女の先輩と目が合い
思わず顔を下に下げて繋がれている手をパッと解いた…
目の合った先輩は私達がこのアパートに来た時に…
私の横に座っているこのカオル先輩とキスをしていて…
最初は恋人同士かと思ったけど
部屋の中に入り10分もしないうちに
そうではないと分かり
この集まりも普通の合コンではない事が分かった…
( ドラマや漫画で見て…憧れてた合コンと違う… )
もっとキラキラとして楽しい雰囲気かと思っていたけど
今私がいるこの部屋はタバコの煙りがこもっていて
テーブルにはお皿や缶やグラスが並び
柿の種やスナック菓子がアッチコッチに溢れている…
( ・・・・早く帰りたいな… )
そう思っていると腰や背中…お尻に何かが当たる気がして
チラッと見ると先輩が斜め前にいるさっきの先輩と話ながら
床に手をついてバランスを取っているけど
その手は私の方にあり
まるで腰に手を回しているかのように
密着してきている…
( ・・・ちっ近い… )
体を少しに前にして先輩から距離をとると
カオル先輩と話している女の先輩が「ノンアル?」と
声をかけてきたから「はい…」と俯きながら答えると
フッと鼻で笑ってお酒の入っているであろうグラスを
クイッと飲んでいる…
お酒も飲まないのにこんな所に来るなよって事かなと
場の雰囲気を盛り下げるんじゃないかと不安になりだし
更に帰りたくなりソーファーに座っている
友達に目を向けるけど県人会で知り合った男の先輩から
髪を撫でられながら楽しそうに笑っていた
ここで一人だけ「先に帰る」なんて事を言う度胸もなく
ただひたすら時が過ぎるのを待とうかなと思っていると
カオル先輩が他の人と話して笑いながら
私の肩に頭を乗せてきたから
なんだかテレビでよく見る
あざとい女子みたいだなと思った…
肩にあるカオル先輩の頭からほんのりといい匂いがして
ワックスかなと思いながら先輩とは反対の方へと顔を向け
飲みたくもないノンアルのカクテルをちびちびと口に運び
お開きになるのをひたすら待っていた
カオル先輩がトイレに行くと席を立ち
ホッとしていると斜め前に座っていた女の先輩も
「アタシも行こっと」と立ち上がって後を追ったのを見て
嫌な飲み会だなと思っていると
「あれカオルは?」とカッコイイ先輩が隣りに座ってきた
「・・・・お手…洗いに…」
ヒョウ「ルナと一緒に行ったから
しばらくは戻って来ないだろうね?笑」
知っていてなんで聞いてきたんだろうと思い少し距離を
取りながら「皆さん…元気ですね」といつになったら
解散するのかと遠回しに聞くと
その先輩は目をパチパチとさせて
「俺も元気だよ?笑」と肩に腕を回されて
一気に縮まる距離に息が止まりそうになった瞬間
カオル「俺の席だよ!笑」
と言う声の後に直ぐに肩にある腕が解かれて
数十分は帰って来ないかと思っていたカオル先輩が
「どけよ」と笑ってイケメンな先輩と話している
ヒョウ「ルナは?」
カオル「トイレでしょ?笑」
ヒョウ「てっきり戻って来ないかと思ってたから
俺が相手しようかと思ってたんだけど?笑」
コッチを見てそう言うイケメン先輩に
また肩を上げて少しだけ体を後ろに傾けると
クルッと振り向いたカオル先輩が私を数秒見た後に
「可愛いね?」と言ってきた…
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