第9話 言葉が聞き取れない
普通の会話で齟齬を起こすことが増えた。もともと聞き取る能力があまり高くない。唇を読まないと聞き間違いをするタイプだ。それにしたってこれは、と思うほどに、会話が成り立たなくなってきた。
聞き間違いも増えた。どうしてそこにそんな単語が、いや、話が繋がっていない、聞き間違えてそのまま、何を喋れば。
「聞いてる?」
聞いていると返事をする。実際、聞こえてはいる。内容がわからないだけだ。体温は三十七度三分。まだ微熱の範囲内だが、二ヶ月は続いている。これのせいかと薄ぼんやり思う。熱が引けばまた元に戻るのか。かかりつけの内科に行き、眠り薬がわりの風邪薬をもらう。ついでに今の体温と状況を報告する。医者にも何が何だかわからないようだった。もしかしたら、正気で喋っているつもりでも、こちらの言うことが支離滅裂で、伝わらなかったのかもしれなかった。薬代を支払いながら、お金が減っていくな、どうしようか、と考えていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます