第2話 喉が苦しい

 自分が喉の皮を引っ張っていることに気づいた。

 論文を読んでいるとき、右手はマウスを握っている。左手は喉を引っ張っている。喉の皮を摘んで、もみほぐすように引っ張っている。手を離すと喉に違和感があった。

 喉が苦しい。

 風邪だろうかと思ったが治らない。喉に何かが詰まっているような感じだ。喉の筋肉がそこだけ倍になったように、息をするところを狭めている。しかし呼吸器内科に行っても喉に異常は見つからなかった。息苦しい。無意識に喉のあたりを引っ張る。こんなにも苦しいのに、異常が無いなんておかしい。苦しくて頭がおかしくなりそうだった。ずっと耳鳴りが続いている。息が苦しくて、耳がうるさくて、そんな病気は無いかとネットで探した。それだけでは見つからなかったが、もしかしたらと思って心療内科に行った。

「ヒステリー球ですね」

 喉が苦しくなるのはストレスのせいだと言われ、漢方薬をもらった。三ヶ月ほど飲み続けたが、効果は無かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る