第35話 (2日目)文化祭は色々と大変だ【仲直り?】


優斗と一樹は使い終えた長テーブルを戻し、教室へと戻っていた。


一樹[あーーー……疲れたぁ~~]

優斗[だなぁ…………メチャクチャ混みやがって……]

一樹[しゃーねーよ……何せ……あの美女3人だぞ……混まねーわけがねーよ(笑)]

優斗[……(確かに……)]


優斗達5人が交代して喫茶店を開始し始めたのだが、美人メイド3人が居ると口コミで一気に広がり……最終まで混みに混んだのである、因みに売上げは、どのグループよりもダントツに高かったのであった。


由衣[つーかーれーたぁー……]

蒼[…うん……流石にね……]

陽葵[……(ふぅ…………疲れた……)]


ほとんどの客が美人3人組目当てだったため、かなり疲れきっていた3人。そんな中、陽葵だけは何も言わずに、端の方で1人、机に両手を付き黙っていた。そんな様子の陽葵に気付いた蒼は、陽葵に声を掛けた。


蒼[ありがとうね陽葵ちゃん(笑)陽葵ちゃん居なかったら本当に大変だったよ、本当にありがとうッ]


蒼は陽葵に笑顔でお礼を言った。


陽葵[あッ……いえ……そもそもッあたしのせいですから]

由衣[………あ…]


由衣も何かを陽葵に言おうとしたが……そこへ戻ってきた一樹達。


一樹[お疲れ~……疲れたねぇ(苦笑)]

蒼、由衣、陽葵[お疲れ様でーす]


優斗がまだ残っていたゴミを見つける。


優斗[げッ……一樹まだゴミあるぞ]

一樹[マジか……それじゃぁこのゴミ俺と優斗で出しに行くから~残りの教室の片付け頼んでていぃかなぁ~?]

蒼[あーうんッ!了解でーす]

一樹[ごめんね~じゃぁ優斗行こうぜ]

優斗[了解、んじゃ行ってくるわ]

由衣[お願いしま~す]


優斗と一樹はゴミを出しに教室を出た。


陽葵[あ……じゃぁ…残り……片付けちゃい…ます?…]

蒼[うんッそうだね、由衣、片付けよう]

由衣[う…うん]


蒼達は残りの片付けを始めた。

片付けている最中、由衣はチラッと陽葵の方を見た……陽葵は文句ひとつ言わず……疲れたとも言わず……一生懸命に机やイスを拭いていた。そんな様子を見て由衣は……。


由衣[(この子………1度も文句も疲れたとも言わずに……本当に一生懸命やってる…………なのに……あたしは……)]


由衣は拭いていたタオルを置き、ゆっくりと陽葵の所へと行った。


由衣[ちょっと…]


陽葵は由衣に声を掛けられ、少しビクッとする陽葵。


陽葵[は…はい……なんでしょう…]


由衣は少し目をそらしながら……。


由衣[……その…………あ…ありがとう…………あなたのお陰で……助かったわッ]

陽葵[え?……ぁ……い…いえッ……悪いのはあたしですし……]


またしても、「自分が悪いので」としか言わない陽葵に由衣は……。


由衣[……はぁ~~……]


タメ息をつく由衣。

その、タメ息にビクつく陽葵。


由衣[あなたねぇ……さっきから、「あたしが悪いのであたしが悪いので」、みたいなコトしか言ってないけど……あたしだって悪いんだからお互い様でしょ?]

陽葵[……ぁ……でも……]

由衣[でもじゃないッ…………だから……あたしも……あの時は言い方悪かったし……言い過ぎだと思ってるのッ…………だからッ…………あたしもごめんなさい]


そう言うと由衣は陽葵に頭を下げた。


陽葵[え……]


陽葵は由衣から謝れると思っていなかったので混乱して固まっていた。

そこで、蒼が笑顔で陽葵へと言葉を掛けた。


蒼[陽葵ちゃん、由衣はね、自分も悪かったと思って陽葵ちゃんに謝ってるの、だから……由衣のこと許してあげてッねッ?(笑)]


蒼からのその言葉でハッとする陽葵。


陽葵[あ……はいッ……あたしもごめんなさいッ]


そう言って陽葵も頭を下げた。


蒼[はい、じゃぁコレでお互い仲直りだね(笑)由衣も偉かったよ]


そう言って蒼は由衣の頭を撫でた。


由衣[ちょッ蒼~子供扱いしないでよぉ~]

蒼[だって~何だか嬉しかったんだもん(笑)]

由衣[な、なによ~]


蒼と由衣は、いつものように軽くじゃれ合いながら会話をしていた。

そんな2人に陽葵が。


陽葵[あ、あのッ……]

蒼[うん?どうかした?]

陽葵[あの…………お二人に……聞きたいことがあったのですが……]

蒼[なぁに?]

由衣[なに?何でも言いなさい(笑)]

陽葵[あ……のぉ……お二人は……もしかしてなんですが…………ゆ…………優斗先輩のコト…………好きなんでしょうかッ!?]


陽葵の、まさかの一言で2人の表情はいっきに固まる……。

そして……。


蒼[……ぁ……え……っと……]

由衣[…………あー…………]

陽葵[……やはり……そうでしたか……]

由衣[……な、なにが?]

陽葵[言わなくても分かりますよ……お二人の表情を見ていれば……(苦笑)]

由衣[……ッ……だ……だったらどうしたの?]

蒼[…………(ぇ……っと……どうしよぅ……)]

陽葵[……だとしたら……あたしも……伝えないといけない事があります……]

由衣[(まさかとは思ってたけど……)]

蒼[(コ……コレって……)]

陽葵[……実は………あたしも優斗先輩のコトが好きです]

由衣[……ッ(やっぱりぃ~~だと思ったよぉ!…まぁあれだけグイグイ行ってればそうか………てか、ただでさえ蒼が強敵なのにぃ~なんなの~次から次へと……)]

蒼[そ……そうだったんだ……でも、なんとなく分かってたけどね……アハハ(笑)]

陽葵[え…あ…はい…………お二人が…………優斗先輩の事が好きなのかな…と感じたのは……喫茶の時に……あたしが 優斗先輩とハグした時…………その……お二人が……必死に……優斗先輩に……「どうして抱き合ってたの!?」って……問いただしていたのを見てからです……]


蒼と由衣は、それを聞き……顔が赤くなっていた。


陽葵[……でも……お二人が……好きなのは……分かってしまっても……あたしは……やっぱり優斗先輩を諦めるコトなんて……出来ませんッ]


すると由衣は顔を赤くさせながら。


由衣[……ッ……あ……あたしだってッ優斗のコト好きだしッ諦める気なんてないんだからッ]


蒼も声小さめで……。


蒼[……ぁ……あたしも……優斗のコト好き……だから……]


蒼、由衣、陽葵[………………]


3人は少し沈黙した後。

一番最初に由衣が切り出した。


由衣[で……だからどうしたの?]

蒼[…………]

陽葵[……だから……お……お二人が……先輩を好きかもしれませんが……あたしも負けませんッ……それに……コ…コソコソと……お二人を陥れたりするの嫌なのでッ……正々堂々と勝負して優斗先輩にアピールしたいと思いまして!…………です……]

由衣[……くッ……い…意外と真面目か!]

蒼[…ぁ…はは……そ……そうだねぇ(苦笑)]

由衣[……で…でも、正々堂々となんて良い心がけねッ……それに……別に……人を好きになるのなんて……誰にだってあるコトだし……それを止める権利も誰にもないしねッ…………だ・か・ら………あたしも蒼も諦める気なんてないから!あなたになんて負けないからッ!ね!?蒼ッ]

蒼[……ぁ……うん(あたしの分も由衣が言っちゃうんだ……)(苦笑)]

陽葵[……(やっぱり由衣さんって人は強敵かも……可愛さで言ったから、蒼さんの方がリードしてるかもだし……こうなったら)……そ…そうですかッ…………でも……あたしだって負けてない事実がありますからッ……]

由衣[……な……なにがッ……?]

蒼[…………(な……なんだろぅ)]


由衣と蒼は、陽葵が次は何を言い出すのかとドキドキしていた……。


陽葵[あたし…………先程ッ……]


陽葵は何かを言い掛けた……そこへ優斗がタイミング良く?悪く?戻ってきたのだった……。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る