第29話 (2日目)文化祭は色々と大変だ【メイド&執事喫茶は修羅場】
文化祭2日目の朝を迎えた。
一樹[っしゃッ!!今日も頑張って行こうぜー!!(笑)]
由衣[そうだね!今日はいつものメンバーだし、動きやすいかもね!]
優斗[だりーな……今日は調理場からスタートか……]
蒼[頑張ろう、優斗]
由衣[そーだよ!このメンバーなら楽しく出来るでしょ(笑)]
優斗[楽しくね~(こき使われるの間違いじゃねーのか?……)]
一樹[そーだぞ!蒼ちゃんと由衣ちゃんの言う通り頑張ろうぜ!2人共じゃんじゃん指示してくれ!はッはッは(笑)]
一樹が優斗に耳打ちする。
一樹[あのな、これも俺の計画の1つなんだからなッ(笑)]
優斗[どの辺が?]
一樹[いや、初っぱな調理場からスタートは辛いかもしんねーけど、調理場→メイド&執事→自由時間、だぞ?その後ダブルデート出来るだろ?ははは(笑)楽しめるじゃん!感謝したまえ(笑)]
優斗[(ダブルデートって……)まぁその方が後から楽で良いかもな]
一樹[だろぉ?(笑)]
そして、スタートした文化祭2日目。なんとか調理場を終え、優斗達はメイド&執事の格好に着替え教室へ移動した。
優斗[…………やっぱ…………昨日も着たけど……この格好は落ち着かねーな……]
一樹[だははッ(笑)いや、意外と似合ってるって!優斗君(笑)]
優斗[……お前……バカにしてんだろ……]
蒼[優斗、カッコいい]
由衣[……そ、そうね!まぁまぁ似合ってるんじゃない?(う~もぉ~蒼ったら優斗に対して素直すぎる~)]
優斗[そ、そうか?]
照れる優斗。
一樹[お前~蒼ちゃんと由衣ちゃんに似合う言われて何照れてんだよ!てか!ずりーぞ!]
優斗[ずりーて何だよ……それに!べ、別に照れてねーし]
一樹[蒼ちゃん!由衣ちゃん俺は!俺は!?どぉ?(笑)]
蒼[一樹君も似合ってるよ]
由衣[うん、一樹もまぁまぁじゃない?]
一樹[ありがとう~!(笑)よし!気合い入った!頑張るぞ~だッはッはッは!]
優斗[…………]
由衣[てか、そろそろお客さん着ちゃうから、一樹静かにしてッ]
一樹[あ、はい]
そして、お客さんが入り始めた。
蒼と由衣がメイドとして居る時間帯が一番人気らしく、とても忙しくなっていた。
由衣[お帰りなさいませ!ご主人様ッ]
蒼[ご主人様、こちらへどーぞッ]
一樹[うぬぬぬッ]
優斗[(くそーこっち来ても忙しいじゃねーかよ……)おい一樹、こっち手伝えよ、そして……1人で騒いでんじゃねーよ]
一樹[だってよ~俺の蒼ちゃんが~他の男どもに~!]
優斗[しょーがねーだろ、仕事なんだから……]
一樹[お前は嫌じゃねーのかよ!蒼ちゃんや由衣ちゃんが他の男どもに、イヤらしい目で見られながら、ご主人様気取られてるの見てるの!]
優斗[……(そりゃ嫌だけど……)いや、そもそも、お前も同じ事をやってたろ……]
一樹[俺はいぃーの!ほんの少ししかイヤらしい目で見てねーもん!]
優斗[……(見てんじゃねーかよ)]
女子B[お帰りなさいませ~ご主人様…………あ、女性でした~(笑)だ、男子!お願い!]
優斗[ほら!一樹来たぞ!]
そう言うと優斗は急いで片付けに入る。
一樹[お、おう、お帰りなさいませ!お嬢様!あッアレ?陽葵ちゃんじゃ~ん!来てくれたのか!(笑)]
一樹の陽葵ちゃんと言う声に優斗反応しパッと入り口の方を見るの優斗。
優斗[陽葵?!(げッ……何で来てんだ!?アイツ……)]
陽葵[あ、はいッ……大丈夫ですか?]
一樹[全然!大丈夫!むしろ、来てくれてありがとね~!あはははッ(笑)あ……じゃなかった……んッうん!、お帰りなさいませッお嬢様!ご指名は優斗で宜しいでしょうか?(笑)]
一樹の一言に即反応する優斗。
優斗[!は!?何言ってんだよ一樹!]
陽葵[はい!優斗先輩でお願いします!エヘヘッ]
優斗[ちょッ、お前、一樹仕組んだろ!]
一樹[仕組んだなんて~人聞きの悪い~俺はただ~陽葵ちゃんに、俺らのクラスでメイド&執事喫茶やってるから来てみたら?って言っただけですが?]
陽葵[ですが~?(笑)]
優斗[くッ…………ってか大体!タイミング良すぎるだろ!俺らが執事やる時間帯にピッタリ来るとか!]
一樹[ん~~チョットナニイッテルカワカンナイ]
優斗[いや!わかるだろ!]
陽葵[あはは優斗先輩コントのツッコミ上手ですねぇ]
優斗[コントじゃねーわ!]
一樹[まぁまぁ優斗さん落ち着いて]
一樹が優斗の肩に手を乗せる。
優斗[だ・れ・の・せいだよ]
一樹[そもそも……今は陽葵ちゃんはお嬢様ですが?優斗さん(笑)周り見てみろよ~そんな態度で良いのかなぁ~?(笑)早くご案内しないと~]
そう言って一樹が悪い笑顔を見せる。
優斗[ッ……(一樹……覚えてろよ)]
一樹[優斗ッ笑顔!笑顔!(笑)]
優斗が引きつった顔で笑顔を見せて陽葵を席へと誘導した。
そのやり取りを気にしながら仕事をする蒼と由衣。即座に由衣が蒼に聞きに行く。
由衣[ねぇ蒼、あの子誰?知ってる?優斗とやけに親しげじゃない?……]
蒼[……あたしも知らない]
由衣[……一樹、知ってるみたいだったから、一樹に聞いてみよう]
蒼[……うん]
優斗[お嬢様ーこちらになりまーす]
陽葵[は~い、ありがとうございます!]
優斗[メニューをどーぞー]
陽葵[ありがとうございま~す。てか優斗先輩ボー読みってヒドイですよ~(笑)]
優斗[うるさい……]
陽葵[先輩、先輩、あたし今お嬢様です(笑)]
優斗[……ッく]
陽葵[う~んどうしよっかなぁ~]
じーッとメニュー 表を見る陽葵。
オムライスセット【通常コース】¥700
ウサちゃんパフェ【通常コース】¥700
オムライスセット【特別コース】¥1000
ウサちゃんパフェ【特別コース】¥1000
オムライスセット【超特別コース】¥1500
ウサちゃんパフェ【超特別コース】¥1500
陽葵が優斗にメニューの内容を聞く
陽葵[優斗先輩、この通常版とか特別版とかって何が違うんですか?]
優斗[お嬢様メニュー内容に関しては明かさない事になっておりますので通常版が宜しいかと]
そう言ってくる優斗をメニュー越しに、じっと見つめる陽葵。
目をそらす優斗。
優斗[(くッ……いいから早く通常版にしとけって……)]
と言うのも……昨日まで、男子【執事】は【通常コース】のメニューしか無かったのだが、実は……昨日の文化祭1日目を終えたホームルームで、女子から提案があり、男子【執事】も女子【メイド】と同じ事をすれば、人気が出るのではないかと提案され、やる事になったのだ。男子達は反発したが……圧倒的に執事の売上が悪かったため、渋々やることとなったのだった。そして、金額はリーズナブルにした方が女子にはウケるとの事で低料金になった。
優斗[(早く選べよ……)]
チラッと陽葵を見る優斗。
じーッと見ていた陽葵がニコッと笑った。
緊張する優斗。
陽葵[それじゃ……【通常……]
それを聞いた瞬間ホッとする優斗だった。
のも、つかの間。
陽葵[……じゃなくて!【超特別コース】のウサちゃんパフェで(笑)]
優斗[なッ!は!?なんで?……]
陽葵[え?どうしたんですか執事さん?動揺して?]
優斗[……ッ……あ、いや、つ、【通常コース】の方がお得だと思うですよね~……お……お嬢様……]
陽葵[はい、お得と言うか安いとは思いますが~だって……せっかく優斗先輩が執事やってくれてるんだから……ここは絶対に【超特別コース】にするに決まってるじゃないですか!(笑)]
優斗[……ッ……メ、メニュー内容分からなくても良いのか……ですか?]
陽葵[はい、だって~【超特別コース】って事は~何かサービスあるはずですよね?(笑)]
優斗[……ッ(鋭い……)]
陽葵[エヘヘッ(笑)なので、お願いします]
優斗[…………かしこまりましたー……前払いになります]
陽葵[了解でーす(笑)はい、お金です(笑)]
優斗[ありがとうーございまーす]
オーダーを伝えに行く優斗。
陽葵[(あ~楽しみ~何してくれるんだろ~優斗先輩ッ(笑))]
目を細めて一樹を睨む優斗。
睨まれた一樹は笑顔で親指を立てて返す。
優斗[(グーッっじゃねー!)]
そして、手の空いた由衣と蒼は一樹の元へと駆け寄って小声で質問した。
由衣[ちょっとッ]
一樹[わッ!え?何?]
由衣[優斗と親しげな、あのカ・ワ・イ・イ子は誰なの?]
一樹[可愛いよね~(笑)]
由衣[そーじゃなくて!あの子は優斗と、どんな関係なのって聞いてんの!]
蒼[うん……]
一樹[あーそー言うことか、あの子の事は、俺も昨日知ったんだけど、中学の時の後輩だったらしくて、名前は陽葵ちゃん!優斗と歩いてたら突然優斗「せんぱーい!」って声掛けてきて(笑)めっちゃ良い子なのに、優斗が避けてるみたいだったから~可哀想で見てらんなくて、つい助けたくなっちゃってさ(笑)だからココに来たら距離縮まるんじゃないかと思って俺が誘ったんだよね~へへへ(笑)]
由衣[ふ~~ん……そーなんだー……]
蒼[そっか……]
由衣[……仕事戻ろう蒼]
蒼[……うん]
そう言うと由衣は不満そうな目で一樹をチラッ見て仕事に戻った。
一樹[(え……?俺不味いことした……?あーッ!……ヤベッ由衣ちゃん優斗の事好きなんだった!……あーー……完全にヤラかした……)]
由衣[(ん~も~一樹のやつ余計な事して~!)]
蒼[……あの子、優斗の事好きなのかな?]
由衣[え?な、何言ってんの蒼……そんなわけ無いじゃん!]
蒼[だって……あの子さっきからずーっと優斗の事ニコニコしながら見てるから]
由衣[……し、知らない!久しぶりに会ったからじゃないのッ!気にしなくていいんじゃない!]
蒼[……うん]
由衣[(なんて言ったけど……要注意人物だわ……)]
そうこうしてるうちに、ウサちゃんパフェが出来上がり、優斗が陽葵の元へ持ってきた。
優斗[お嬢様お待たせ致しましたー「ウ・ザ」ちゃんパフェでございます]
陽葵[わ~美味しそうぉ~……で…先輩、今「ウ・ザ」ちゃんって言いませんでした?わざと……]
優斗がニコッと作り笑顔を見せて。
優斗[お嬢様その様な事は言っておりません]
陽葵[いや、絶対に言いましたよ~しかも強調して~……もぉ……そんなにあたしの事キライなんですか?……いくらあたしでも傷つきますよ……うッ……うぅッ]
陽葵が下を向き泣き出す。
周りがざわつきだす。そして、慌てる優斗。
優斗[お、おい、な、泣くなよ、嘘だよ冗談!ウザくねーから!悪かった……!]
それを聞いた陽葵はパッと顔を上げ笑顔で。
陽葵[ホントですか~!信じますよッ?あたしの事大好きだって!(笑)]
優斗[……ッ!そ、そこまで言ってねーし、それにおまえ!]
陽葵[おまえ?]
優斗[お、お嬢様……う、嘘泣きは宜しくないかと……]
陽葵[嘘じゃないです!心はちゃんと泣いてましたー!]
優斗[(あーーめんどくせー……一樹のやつマジで覚えてろよ……)]
陽葵[先輩、先輩、それより、何かあるんじゃないですか?]
優斗[何かって?何が?]
陽葵[え~だって……【超特別コース】なのにコレだけ……ですか?]
優斗[あッ(忘れてた……そうだった……陽葵のやつ【超特別コース】頼んだんだった……)]
陽葵[ねぇ先輩……]
優斗の袖の先を細い指先で掴み目をウルウルさせながら、上目遣いで見つめる陽葵。
優斗[……ッ!……(そんな目で見んなよ!………それよりも……マジでこのサービスをコイツにやんなきゃなんねーのかよ……あーもう)仕事だからな……]
陽葵[え?]
仕事と割りきった優斗は意を決して陽葵にサービス内容を伝え始めた。
優斗[では、【超特別コース】のお嬢様には俺か………私から、このウサちゃんパフェをお口にあ~ん、させて頂きます]
陽葵[え~!ホントですか?ちょ、ちょっと恥ずかしいですね(笑)]
優斗[お嬢様が嫌なのであれば、やらなくても宜しいのですよ?]
陽葵[やります!(笑)]
優斗[……(躊躇(ちゅうちょ)ねーな……)分かりました、では、失礼致します……あ~んしてください]
優斗はパフェをスプーンで取り、陽葵の口へと運んだ。
すると……今まで威勢が良かった陽葵だったが……恥ずかしくなったのか……頬を赤くさせながら小さく口を開き、パフェを口に入れてもらうのを待っていた。
優斗[(おい……そんなに小さく開いても入んねーよ)……お嬢様……それでは口に入りませんよ……]
陽葵[わ、わかりましたー!]
陽葵は先程よりも口を大きめに開けた。そして顔が更に赤くなっていた。
優斗[(陽葵のやつ耳まで赤くなってんじゃんか……こ、こっちまで恥ずかしくなるわ……)]
そんな様子を客として来てる生徒達やスタッフ皆が見とれてしまう。そして、意識しすぎた優斗には周りの声が鮮明に聞こえてくる。
客男子A[なんか~エロくない?(笑)]
客男子B[だよな~(笑)]
優斗[(うるせー……そんな目で陽葵の事、見てんじゃねーよ……ったく)]
メイド女子C[きゃ~何か美男美女の本当のカップルみたいッ]
メイド女子A[ホントだ~何かドラマみたいッ(笑)]
優斗[(やめろやめろ……余計な事周りで言ってんじゃねーよ……ったく)]
優斗は冷静なフリをしていたが、既に耳まで真っ赤になっていた。
陽葵も顔も耳も真っ赤にしながら、優斗からのパフェを何とか口に入れてもらい食べたのだった。
陽葵[ん~~おいひぃでふね~(笑)]
優斗[そりゃどーも……っじなかった…………それは何よりです(ハァ~……何とか1つ目クリア… ………………精神的にしんどいわ……)]
陽葵[……先輩]
優斗[ん?なんだー?……じゃなかった……何でしょ?お嬢様]
陽葵[……あたし……すごく……恥ずかしかったです……]
優斗[だろーな……俺も恥ずかしかったわ……]
陽葵[でも……]
優斗[でも?]
陽葵[…………あたし達……本当のカップルみたいって!言われたの嬉しかったですねッ!先輩ッ(笑)]
陽葵が満面の笑みで優斗に笑いかける。
優斗[べ、別に俺は嬉しくねーし!]
陽葵[まったまたぁ~!先輩も嬉しくて顔真っ赤にしてたくせに~(笑)]
優斗[ちげーわ!ただ恥ずかしくて暑かっただけだ……]
陽葵[はいはいッ(笑)]
そんなやり取りを気にしていた由衣と蒼はと言うと……。
由衣[ご主人様あーん……]
客男子C[ん!んんー!ちょ!つ、詰めふぎぃ~]
由衣[(優斗ったら!なに顔真っ赤にしちゃってんのよッ)]
蒼[…………ご主人様あーん……]
客男子D[わッ!ちょッ!こ、こっち見て!そ、そこ鼻!]
蒼[あ……ごめんなさいご主人様]
2人とも……客に集中出来ず、優斗と陽葵をずっと凝視していた……。
そして、パフェを食べ終えた陽葵。
陽葵[あ~美味しかった~ご馳走さまでしたッ]
優斗[……(よし……ようやく解放される……あとは知らんぷりして帰せば……)お嬢様、ご満足頂けたようで何よりです。では……出入口までご案内致します]
陽葵[……ちょと……執事さん]
優斗[はい……何か?]
陽葵[【超特別コース】ってコレだけですかぁ?]
優斗[そ、そーだよッほら、さっさと行くぞ……]
そこへ一樹が入ってきた。
一樹[あれ?写真撮んねーの?陽葵ちゃん【超特別コース】でしょ?]
陽葵[写真?]
優斗[(バカッ余計な事言いやがって……)]
一樹[そう!そう!【超特別コース】のお嬢様には、指名した執事と一緒に写真を撮れるサービスがあるんだよ(笑)]
陽葵[ゆーーと先輩……?]
陽葵が据わった目で優斗を見る。
あたふたする優斗。
優斗[あーーそーーだっけ?忘れてたわーーあはははは(笑)]
一樹[まったく(笑)忘れんなよッ!俺が気付いて良かったなッ!ははは(笑)]
優斗[ははははーだなーありがとな一樹ッ(笑)(コイツ……後で殴ってやろう……)]
陽葵[ふーん……まぁそう言う事にしておきましょう]
優斗[……あ……はい……]
陽葵[で、どんなポーズでも良いんですか?]
優斗[は?いいわけねー……]
一樹[うん、大丈夫だよ!]
優斗[ッて、おい!何かってに決めてんだよ!]
一樹[あれ?言ってなかったっけ?女性客限定で撮影のポーズは指定出来るって(笑)]
優斗[……聞いてねーよ……]
一樹[あら~言ってなかったか、ごめんごめん(笑)まぁ~お金もそれなりに払ってもらってるんだし、減るもんじゃねーじゃん!別に良いだろ(笑)ささッ!早く決めてもらえよ、俺が撮影してやるから(笑)]
優斗[……(一樹……後でまじで殴ろう)]
陽葵[え~ホントですかぁ(笑)じゃぁ……ハグしながら……お互い見つめ合って撮りましょう(笑)]
優斗[はぁ~!?お前何言っ……]
一樹[お~!大胆(笑)イイね~撮ろう!撮ろう!ほら優斗早くしろよッ!(笑)]
優斗[いッ、いや、まじで言ってんのかよ……]
陽葵[大マジです(こんなチャンス滅多に無いだから~これくらいイイよねッ(笑))]
陽葵はニコニコしながら[はやく~]と言わんばかりに両手を広げる。優斗は周りを見渡す。蒼と由衣は接客中で忙しく優斗たちの方には気付いていない様子だった。
優斗[(……今なら誰も見てねーな……蒼も忙しそうだし……あ~くそッ……ささッと終わらせるか……)]
優斗が決心して陽葵とハグをする。優斗は顔を赤くして、恥ずかしいのか陽葵から目を逸らしていた。
陽葵[優斗先輩、ちゃ、ちゃんと目合わせてくださいッ]
陽葵も少し恥ずかしそうに、顔を赤くしながら小声で優斗に言った。
優斗[……ッ……わ、わかったよ(……じ、自分で指示したくせに照れてんじゃねーよ……こっちも恥ずかしいつーの…)てかッくっつきすぎだろッ]
陽葵[イイからイイからッ(笑)(あ~優斗先輩~)]
優斗[(む、胸が当たってるって!)]
そして、目と目を合わせる優斗と陽葵。
一樹[おーー!!いぃね!いぃね~!!(笑)]
優斗[……早く撮れよ]
一樹が 大声で盛り上げる。すると……一樹のその声大きな声に反応した周りが、注目し始める。
男子客A[お~~何?何?(笑)]
男子客B[え~何!?羨ましいわ~]
女子客A[きゃ~!何あれ~イイね~]
女子B[え~あたしもやりた~い(笑)]
そんな注目を浴びてる優斗達に気付く蒼と由衣。
由衣[ちょッ!ちょっと!何やってんの!?あの2人!?]
蒼[……優斗]
急いで優斗達の方へ駆け寄る由衣と蒼。
一樹[あ~イイね~じゃぁ~撮るよ~【カシャッ】オッケー撮れた!はい、写真]
陽葵[ありがとうございますッ!]
優斗[ハァ……終わった]
由衣[ちょっと!何やってんの!]
蒼[……何で抱き合ってたの……優斗]
優斗[あ!いや、これは……【超特別コース】の特典で……写真撮影をしてて……]
焦る優斗。
由衣[ふーーーん…………で?どーーして!で抱き合ってたのッ]
蒼[そうどーして抱き合ってたの?]
由衣と蒼が少々怒り顔で、優斗に問い質す。
一樹[あはは(笑)いや~これは~……]
一樹が説明しようとしたのだが……。
由衣と蒼が同時に……。
由衣[一樹は黙ってて!]
蒼[一樹君は黙ってて]
一樹[はい!……]
一樹が2人の圧におされ黙る。
優斗[え……あ、いや、なんか……【超特別コース】は、お嬢様が好きなポーズ決めれるらしく……(由衣だって知ってたろ……)]
陽葵[あ、あたしが頼んだんですッ]
優斗[陽葵……]
陽葵[だから、優斗先輩を責めないでくださいッ]
由衣[……先輩ね~……それにしても、大胆すぎない?]
陽葵[大胆…………あ、あたし優斗先輩と同じ中学の後輩で佐野陽葵と言います。なので、後輩として優斗先輩とは仲良くさせてもらってます!]
優斗[……いや……仲良くはしてねーだろ……]
由衣[ふーん……そぉ……でも、いくら仲良くしてても、やって良いことと悪いことは有るんじゃないの?優斗だって何か嫌々そうだったけど?]
嫌な空気になり、流石の優斗も気を遣い……。
優斗[あ……まぁ……文化祭なんだし、もう、それくらいで良いんじゃないな?(笑)はは……]
由衣[文化祭だ・か・ら!あんなハレンチな行為ダメに決まってるでしょ!]
優斗[…………(ハレンチって……キスしたお前が言うか……)]
陽葵[……でも、あ、あたし、お金払いましたし!それに【超特別コース】は、お嬢様なら、どんなポーズでも良いって言ってましたよッ……]
睨みをきかせる由衣。
周りも静まり返る……。
その顔を見た陽葵は小声になる……。
陽葵[……そ……それに……今時ハグなんて写真撮る時、普通じゃないですか……皆やってますよ]
由衣[それは…………で、でも!それは女の子同士とかの話でしょ!男女でなんて…………って、優斗も何か言ったらいいじゃん!見るからに嫌々だったわよ!]
優斗[……あ……いや、まぁ……それは……]
優斗は陽葵をチラッと見た。
優斗[…………いや、もう止めようぜ由衣。せっかくの文化祭だろ?]
由衣[いや、でも……ねぇ!蒼、蒼も何か言ったらッ]
蒼[……う、うん……でも由衣……優斗の言う通り止めてあげたらどうかな……]
由衣[え~?蒼まで?]
蒼[だって……その子……泣きそうになってる……]
由衣[!]
由衣がパッと陽葵の方を見ると……陽葵は涙目になりながら、必死に涙を溢さないように耐えていた。
由衣[な、泣くことないじゃない!……べ、別に注意しただけでしょ!]
下を向き……表情を髪で隠す陽葵。
陽葵[………泣いてないです………………優斗先輩……迷惑を掛けてごめんなさい……]
そう言うと陽葵は駆け出し出ていってしまった。
優斗[お、おい!陽葵!]
周りがざわつき、小声でヒソヒソと声が聞こえてくる。
女子客A[何か今出ていった子、可哀想……]
女子客B[……う~ん今のは無いよね~……客として来てるんだし]
女子[まぁ~でも~あの子も調子乗りっぽかったし~別にいぃんじゃない?(笑)]
男子客A[俺もハグしてーー!(笑)]
男子客B[男の客は出来ねーからな(笑)]
由衣[…………全部あたしが悪いんだよね]
そう言うと由衣も駆け出し、出て行ってしまった。
優斗[おい!由衣!]
蒼[由衣!]
一樹[あ……えーと……]
優斗[あーーったく!……悪い一樹!俺ちょっと出てくるわ!蒼、わりーけど蒼は由衣を追ってくれ、俺は陽葵を追うから!]
蒼[う、うん……わかった]
優斗[と言うわけで、一樹この状況何とかしといてくれ!]
一樹[うぇ!?え?え?お、おい!まじかよ!]
優斗[わりー!後から埋め合わせしてやるから!]
そう言って優斗は陽葵を、そして、蒼は由衣を探しに出ていってしまった。
一樹[……だーー!いっつも俺!こんな役回りぃーー!]
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