第28話 (1日目)文化祭は色々と大変だ【メイド&執事喫茶は疲れる】


一樹[優斗……準備はいいか……?]

優斗[あ、あぁ……俺は別にいつでも……]


一樹は教室の外から蒼達が、丁度、手が空くタイミングを見計らっていた。


一樹[よし!蒼ちゃんと由衣ちゃん2人共空いたみたいだ!行くぞ!優斗!]

優斗[お、おう……]

メイド女子A[あ!お客さん来たよ~!]

由衣[OK~!蒼行くよ~]

蒼[うん!]


だいぶ慣れて来ていた由衣と蒼は、スムーズに入り口へ向かい……。


由衣、蒼[お帰りなさいませ~!ご主人様~!]


満面の笑みで出迎えた。


一樹[いや~~照れるなぁ~(笑)てか!メッッッチャ可愛い~~じゃん!2人とも~!]

優斗[(確かに……)]

由衣、蒼[え!?]

由衣[えーー!!!]


優斗は片手を上げ気まずそうに、そして恥ずかしそうに挨拶をした。


優斗[よ、よぉ……はは……]

由衣[な、な、な、何でアンタ達来てんのよぉー!]

優斗[……まぁ……だよな……普通……]


由衣は顔を赤くして動揺していた。

蒼も顔を赤くして……小さな声で。


蒼[優斗……来てくれたんだ、ちょっと恥ずかしいけど……嬉しいかも]

由衣[ッ!(蒼……)]

一樹[へっへっへっ(笑)優斗誘って来ちゃいました~(笑)]

由衣[一樹ぃぃッ覚えてなさいよ……]

一樹[まぁ、まぁそんな怖い顔しないでよ~(笑)お金ちゃんと払うし~……それに2人ともマジで似合ってるし!ホント可愛いよ~!!なぁ?優斗!]


一樹がそう言って優斗に振ると、優斗はメイド服姿の2人に見とれボーッとしていた。


一樹[おい?優斗?]

優斗[!あ、あぁ……そーだな、2人とも、に、似合ってるな、ははは……]


一樹がニヤりと笑い。


一樹[今、完全に見とれてたよね~優斗く~ん2人に(笑)]


優斗が顔を赤くして。


優斗[べ!別に見とれてねーよ!]

一樹[ふーん(笑)でも、それはそれで失礼じゃないかなぁ?(笑)]

優斗[(一樹のやろ~……)あーそだよ想像以上に2人とも似合ってて驚いてた、コレでいいだろ?]

一樹[ったく、素直じゃないね~優斗君は(笑)]


蒼は直ぐ様、素直に優斗に向かって笑顔でお礼を言った。


蒼[嬉しい優斗、褒めてくれてありがとうッ]


由衣も照れ臭そうに顔を赤くしながら。


由衣[ま、まぁ優斗がそう言うなら]


そんな2人の反応に優斗は少し照れた。


優斗[お、おう]

一樹[蒼ちゃん!俺は?俺は?(笑)]

蒼[一樹君もありがとうッ]

一樹[どういたしまして~!へへッ(笑)]

由衣[(う~どうしよう~……何であたし緊張してんの~!)]

蒼[由衣?大丈夫?具合悪いの?]

由衣[あ、うぅん!大丈夫、ごめん何でもないよ(笑)(蒼に負けてられない!逃げないで頑張んなきゃ!……それに逆に優斗にアピールするチャンスって考えれば!よし……)優斗と一樹じゃぁコッチ来て~……じゃなかった!(笑)ご主人様~コチラヘどーぞッ(笑)]

一樹[はーーい!(笑)]

優斗[お、おぉ(良かったぁ……由衣普通だな、コレなら俺も普通に接していける)]


優斗と一樹は、案内された席へと着いた。


由衣[ご主人様、メニューは、いかがなさいますか?(ニコッ)]

優斗[う~ん……どれにしよーかな?つーか……何だ?このメニュー?2パターンのメニューしか無いのに……同じメニューで何でこんなに料金が違うんだ?……価格がふざけてる……なぁ一樹メニュー内容の違い分かる?]

一樹[悪い~メニューに関してはノータッチだったわ……俺とした事が……]

優斗[そっか、う~ん]


メニュー内容はこうだ。


オムライスセット【通常コース】¥700

ウサちゃんパフェ【通常コース】¥700

オムライスセット【特別コース】¥1400

ウサちゃんパフェ【特別コース】¥1400

オムライスセット【超特別コース】¥2800

ウサちゃんパフェ【超特別コース】¥2800


由衣[フフフッ説明しましょ!コレは料金によって受けれるサービスが違うからなんです!………]

優斗[………………で?]

由衣[で?]

優斗[いや……そーだとは思ってたけど……普通そこまで言ったらサービス内容教えるだろ?……]

一樹[うん………さすがに……俺もそう思うよ……ははは]

由衣[こ、これは女子達、皆で決めた事だも!内容明かさない方がワクワクするでしょ?ねぇーー蒼!]

優斗[そうなのか?]

蒼[うん、そうだよ]

優斗[うーーん…………じゃぁ俺はオムライスセット【通常コース】でいいかな]

由衣[え!……]

優斗[え?]

一樹[だーーーッ俺は…………(【超特別コース】が良いのにーー金がねぇーー……くっ……ここで優斗に金借りたら流石に蒼ちゃんに引かれるし……明日の【蒼ちゃんとのデート分の金】も残しておかなきゃだし……くそー)じゃ、じゃぁ俺はオムライスセット【特別コース】で、お願いします!]

由衣[ほら~せっかくだし~優斗もクラスの為にもう少し貢献してよ~]

優斗[え……(笑)いや~……だってさぁ……内容分かんないんじゃさぁ~(苦笑)]


由衣がしゅんとした顔をする。

その顔見た優斗は……。


優斗[……あーッも~分かったよ!じゃぁ俺はオムライスセット【超特別コース】で]

一樹[だーーーッずり……じゃなくて……そーか、そーかははは……やるね~優斗君(苦笑)(くそ~~俺だって頼みたかったのにぃ~)]


優斗が【超特別コース】を頼んでくれて由衣は一瞬で笑顔になった。


由衣[優斗~!ありがとう~!じゃなくて……ご主人様ッありがとうございますッ(笑)]


満面の笑みを見せる由衣。


優斗[…………お前ッ……調子いぃ……はぁ~……まぁいいわ(笑)]


由衣があまりにも嬉しそうなので、優斗は乗せられた事がどーでも良くなっていた。


由衣[エヘヘッ(笑)ところで~……2人ともご指名のメイドはどう致しますか?]

一樹[指名出来るの!?]

由衣[はい、そーでございます、ご主人様(笑)]


それを聞いた一樹が、すかさず!


一樹[はい!じゃ俺は蒼ちゃんで!(笑)]

蒼[あ……うん……じゃなくて……かしこまりました、ご主人様]

由衣[(よし!やっぱり、一樹の事だから直ぐに蒼って言うと思った~エヘヘッ、そーすると優斗は残ったあたしを選んでくれるはず…………だよね?あ……でも、優斗も蒼の事……選ぶかな……そしたら……どうしよう……)]


そんなマイナスな事を考え、暗くなっていた由衣だったが。


優斗[ふーん指名?じゃー由衣頼むわ]


こう言った事に何も知識もない優斗は、特に考えずに由衣を指名した。


由衣[え……]

優斗[え……?ダメだった?]

由衣[あ!うぅん!ダメじゃない!じゃなくて、かしこまりましたッご主人様~(笑)…………(う~ッ嬉しい~!)]

蒼[…………(優斗の……バカ……)]


蒼が少し不機嫌そうな表情を浮かべていたように見えた。


優斗[ん?(蒼?)]

由衣[それではご主人様少々お待ち下さいませ~]


由衣と蒼は一度裏へと行った。


一樹[あ~ッ早くッ来ないッかなぁッオムッライスッへへへッ(笑)]

優斗[そんなに食いたかったのか?]

一樹[バーカッ何言ってんの?そこがメインじゃねーよ!ほら、話したろ?メイド喫茶のダ・イ・ゴ・ミ(笑)指名したメイドさんにやって貰えるんだよ~(笑)まじでテンション上がるわ~!]

優斗[え!?…………指名ってそう言う事だったの?…………(あ……だから蒼……表情が……まじか)]

一樹[はぁ?それしかねーだろ(笑)まぁでも、お前も由衣ちゃんにやって貰えるんだから良かったじゃん!(笑)(由衣ちゃん優斗の事好きだし~俺も応援しなきゃな!)]

優斗[(……まじか……)]


そうこうしているうちに、由衣と蒼がオムライスセットを運んできた。


蒼[ご主人様、お待たせ致しました(一樹君……担当だけど……仕事だから一生懸命やらなきゃ)]

一樹[いえいえ!全然!お待たせされておりません(笑)]

由衣[ご主人様ッお待たせ致しました~]

優斗[あ……あぁ、ありがとう]


由衣と蒼は目を合わせて同時に。


由衣、蒼[では、ご主人様オムライスの方にケチャップを掛けさせて頂きますねッ]


2人はオムライスにハートの絵を描いた。


一樹[お~(笑)]

優斗[へー……]


そして、由衣と蒼は両手でハートを作りオムライスに向けてオマジナイを掛ける。


由衣、蒼[美味しくな~れッ美味しくな~れッモエモエッハートッ!(コレ優斗の前だと余計恥ずかしい~~)]


やり終えた由衣と蒼は顔を真っ赤にさせていた。

一樹は大興奮。


一樹[おーーッ!!最高っす!!(笑)ありがとうございます!!]


優斗も見てて恥ずかしくなったのか、顔を赤くさせていた。


優斗[はは…ど、どーも]


由衣[ほ、ほら蒼、やらないと]

蒼[う、うん……(本当は優斗にして上げたかったのに……)ご、ご主人様……あ~んして下さい]

一樹[え!!いいの!!?]

蒼[はい、ココまでが【特別コース】のサービスになります]

優斗[!]

一樹[まじか~~じゃぁお願いします!「あ~ん」]


蒼は顔を赤くしながら一樹にオムライスを取り食べさせて上げた。


蒼[ご主人様、お味はいかがでしょうか?]

一樹[ッ……うッッッまーーー!!!やべーー蒼ちゃんに食べさせて貰ったオムライスが世界一旨すぎて!幸せすぎて死にそう~~!!(笑)]

優斗[…………(へーーッ………じぁ死ね……って心狭いな俺も……)]


優斗の心情は色々な思いで複雑だった……。


由衣[それでは、ご主人様もッ]

優斗[あ、え、俺も!?]

由衣[そーですよツご主人様ツ(笑)はい、あ~んして下さいツ]

優斗[え、普通に食うよ~]

一樹[優斗!空気読めよ!由衣ちゃんに恥かかせる気か!?]

由衣[い、嫌なら無理にじゃないよ……あはは]


由衣がオムライスを取ったスプーンを片手に食べさせるのを止め、作り笑顔を見せた……のが優斗にも分かった……。


優斗[(そんな表情するなよ~あーーも~~)くれ!由衣ッあーん……]

由衣[はいッあ~んッ……どおでしょうか?ご主人様ツ]

優斗[んー、んまい……です(めっちゃ恥ずかしくねー!?コレ!…………)]

由衣[そっか、なら良かったですッご主人様~エヘヘ]


由衣はとても嬉しそうにしてた。が、蒼はと言うと……


優斗[(俺が食っただけで、そんなに喜ぶ事なのか?まぁ由衣が良いならいっか……)はは…………あ、ありがとなぁ……由衣]

由衣[いえッご主人様~]

優斗[(あッ…………蒼……)]


恐る恐る、優斗が蒼の方を見ると、蒼は顔を赤くして目をそらしていた。


優斗[!(あーー…やっぱ、こう言うのって嫌だよな……てか……この状況じゃどーにもならねーよぉ……)]


と、言う気持ちで蒼の方を見た優斗だったが……蒼はチラッと見た後プイッと横を向いてしまった。


優斗[…………(俺が悪いのか……)]


なんて事を思いながら取り敢えず、料理を全て食べ終えた優斗であったが……。


優斗[よし、食べ終えたし行くか]

一樹[あ~ず~っとここに居たいよ~]

優斗[ダダこねるな、行くぞ]

一樹[へーい]

由衣[ちょっと待って~ご主人様ッ]


優斗の袖を掴む由衣。


優斗[ん?何?]

由衣[ご主人様にはもう1つ特典がございますッ]

一樹[え!俺には?]

由衣[残念でございますが、コレは【超特別コース】のご主人様だけですので(笑)]

一樹[まぁじ!!?]

優斗[特典って?]

由衣[はいッそれは~指名したメイドと一緒にチェキで写真が撮れるサービスでございます(笑)]

優斗[は?そんなの普通に撮れば良くね?]

由衣[チッチッチッ(笑)ご主人様~ココは個人撮影禁止なんですよ~]

優斗[そーだったの?]

由衣[そーだったのです!教室の外にも貼り紙してましたけど?(笑)なので、コレは【超特別コース】のご主人様だけの特典になってますので、はい!早速撮りますよ~こっちこっち(笑)]

優斗[え?あ、あぁ]

蒼[…………]


優斗は言われるがまま、指名した由衣と記念撮影することとなった。


一樹[まじか~!まじか~!そんな事なら……俺も無理してでも【超特別版】にすれば良かった!くそ~]

由衣[ほら、ご主人様~笑って笑って~]

優斗[いや、お前近いよ~]

由衣[いいじゃん!メイドは近くに居るものでしょ(笑)]

優斗[(む、胸が当たってんだよッ)]


顔を赤くする優斗。


メイド女子B[撮るよ~]

由衣[はーい!お願いしま~すッ]


カシャッ。


由衣[はいッありがとうございましたッ]

メイド女子B[はい、写真]

由衣[うん、ありがとうッじゃ~ご主人様にお渡ししま~す(笑)]

メイド女子B[は~い]

由衣[はい、コレ、ご主人様ッ]

優斗[あぁ、ありがとう]

由衣[ねぇ……お願いがあるんだけど]

優斗[ん?何だ?]

由衣[コレ、チェキだから1枚しか無いじゃん?だから……その……あたしも欲しいくて……だからスマホでその写真撮らせてくれない?……ダメかなぁ?]

優斗[ん?なんだそんな事か(笑)深刻な顔してたからどーしたのかと思ったわ(笑)全然良いけど]

由衣[本当?ありがとう!ちょっと待ってて~今持ってくるからッ]

優斗[なんだ?アイツ(笑)]

一樹[(…………優斗って鈍感すぎね?)]


その後、由衣にスマホで写真を撮らせて、優斗と一樹はメイド&執事喫茶をあとにした。


優斗[いやーーメイド喫茶って疲れるな(笑)]

一樹[………………]


一樹が無言でプルプルと震えていた。


優斗[ん?どーした?一樹]

一樹[どーしたじゃねーー!]

優斗[わ!何だよ一樹!]


一樹がお得意のヘッドロックを優斗に掛ける。


一樹[俺が誘ったのに!やっぱ!お前ばっか良いトコ取りじゃねーか!くそー!]

優斗[イテーよ!離せ!]

一樹[離すかー!]

優斗[八つ当たりは止めろ!てか!だったらお前も【超特別コース】頼めば良かったじゃねーか!]

一樹[だって…………俺は…………金が無かったんだよーーー!蒼ちゃんと写真撮りたかったのにーー!]

優斗[知らねーよ!おい、てか……ソロソロローテーションの時間だから!離せ!]


一樹がヘッドロックを止める。


一樹[くそー!運の良いやつめ!フンッ!]

優斗[ったく……(運なんて良くねーだろこの状況……)]


その頃由衣と蒼は。


由衣[(あ~何だかんだで今日は良い日だッ(笑))ねぇ蒼、この後、あたし達、自由時間だから二人出回らない?]

蒼[う、うん、分かった、いいよ……]

由衣[やった~エヘヘッ]


蒼はモヤモヤとした気持ちになって静かだった。そんな蒼の表情や気持ちも察せれない程、由衣は浮かれていた。


由衣[よーし!交代の時間だ~ッ行くよッ蒼]

蒼[う、うん……]


その後、優斗達も何とか役割をやり終え、1日目の文化祭は無事に終了した。

そして、夜。


優斗[あ~~疲れた~~]


シャワーを浴び、ソファーで寛いでいた優斗。

そこへ、髪を濡らした蒼がやってきた。


優斗[お、蒼もシャワー浴びたのか?]

蒼[うん、今日、いっぱい汗かいちゃったから早めに浴びたくて]

優斗[だよな~調理場は暑くて地獄だったもんな(笑)]

蒼[うん……]


少し元気が無さそうな蒼に気付く優斗。


優斗[ん?どーした蒼?何か元気無くないか?]

蒼[……別に何でもない]

優斗[何だよ?だって元気無いじゃんか、何かあったなら言えよ?聞くから]


そんな、無頓着な優斗に蒼は目を横にそらしながら小声で。


蒼[……優斗の……バカ……]

優斗[え?…………俺?…………俺何か……したっけ?]

蒼[…………分からないならいぃ]

優斗[え、な、何だよ……(ってメイド喫茶の事かな……もしかして)]

蒼[……………………だって……今日……優斗……由衣とずっとイチャイチャしてた]

優斗[(やっぱり)あ、あれは、俺も内容分かんなかったし、流れ的にと言うか……]

蒼[……うん、だからもういぃ]

優斗[…………ッ…………ごめん、分からなかったとは言え……い、嫌だったよな……もし、俺が逆の立場だったら、すげー嫌な気持ちだったと思う……だけどさ……俺も蒼が一樹に食べさせてるの嫌だったんだからなッ……]

蒼[……あたしだって優斗に食べさせたかったけど……優斗指名してくれるの遅いから……一樹君になったんだもん……]

優斗[うッ……確かに……すみません]


優斗は素直に謝った。

すると蒼は横を向きながら。


蒼[……写真]

優斗[写真?]


蒼は、少し斜め下を見ていた。すると両手を合わせ、人差し指と中指を少し開き気味にしながら、その人差し指を唇に当てた。そして横目でチラッと優斗の方を見て言った。


蒼[明日……2人で一緒に写真撮ってくれたら……許してあげるッ]


そう言って蒼は顔を真っ赤にしながら恥ずかしかったのか、また直ぐに目をそらした。


優斗[!…………(か、可愛い…………顔真っ赤にさせながら頑張って強気に言ってきてる所とか、そして横目でチラッとか……)]

蒼[ゆ、優斗?聞いてる?]

優斗[あ、あぁ、うん、写真だな、一緒に撮らさせて頂きます。でも……そんな事で良いのか?]

蒼[う、うん!良いの!……撮ってくれるなら、許してあげる]

優斗[(可愛い…………抱きしめたい)あ、ありがとう…………あの……さぁ……蒼……こ、こっち来いよ]


蒼が少し黙り込んで考えていた。


優斗[蒼?]

蒼[今日はやだ]

優斗[え……]

蒼[だって優斗だけ、ズルいもんッ]

優斗[ず、ずるいって……]

蒼[まだ、明日の約束しただけだし、許すとは言ったけど……ちゃんと許したわけじゃないんだから]


そう言うと蒼はツンとして見せる。

優斗は苦笑いをして、蒼に見抜かれていた事に少し恥ずかしくなっていた。


優斗[は、はい……(ですよねぇ…………俺が悪いんだし……調子に乗りました……蒼……本当に以前と比べて、自己主張出来るようになってきた…………良いことではあるけど……)]

蒼[……でも]


蒼がそう言って優斗に近付き。


優斗[?]


優斗の頬っぺたにキスをした。


優斗[!]


顔を赤くする優斗。そんな優斗の表情を見て蒼の顔も赤くなる。


蒼[こ、これくらいはさせてもらうねッ…………だって……あたしも我慢してたから……ご褒美ちょっとぐらい欲しいもんッ、オ、オヤスミ!優斗!]


そう言って蒼は部屋へと戻っていった。


優斗[………蒼………(ご褒美って…………逆だろ…………俺が貰ってんじゃん!…………てかオヤスミって……まだ19時前だけど……そして晩飯は(笑)…………てか?何で写真何だ?……………あッ……今日、由衣と俺が撮ってたからか………………なるほどな……明日ちゃんと2人で撮ってやろう…………そして……腹減った……蒼に頼めねーし今日は……仕方ない……俺も、もう部屋に行こう……]


その後。暫くして落ち着いた蒼は。


蒼[……ふ~~、ようやく、落ちつて着た………グウ~……!]


蒼のお腹が鳴った。


蒼[…………お腹空いた……あ……あたし……興奮してて……優斗にご飯準備してなかった!]


蒼は直ぐに優斗の部屋に行った。ノックをする蒼。コンコンッ


蒼[優斗~ごめん晩御飯作ってなかった……]


優斗の反応がない。


蒼[優斗?開けるよ?]


優斗の部屋を開ける蒼。

すると優斗は疲れて、既に寝ていた。


蒼[優斗……疲れて寝ちゃったんだ……]


布団を掛け直してあげる蒼。


蒼[ごめんね優斗……ご飯作ってあげなくて……それに……意地悪なこと言っちゃって……オヤスミなさい優斗]


そう言って蒼は寝ている優斗に、そっとキスをした。


蒼[(優斗食べてないんだから、あたしも我慢して寝よう)]


その日、二人は夕食を食べずにそのまま就寝したのだった。

そして、次の日、文化祭2日目。






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