第27話 文化祭は色々と大変だ【後輩】


そして……その頃、優斗と一樹はと言うと。


一樹[どーする?どこに行く]

優斗[ん~別に見たい所とか特に無いからなぁ……]

一樹[あ!じゃぁ明日のWデートの下見のために!取り敢えず全部見て回ろう!(笑)]

優斗[Wデートって…………まぁ時間あるし別にいいけど]

一樹[OKじゃー行くぞー!]


優斗と一樹は取り敢えず、全て見て回る事にした。


優斗[へー結構~皆気合い入れてガチでやってんだな~出店とか]

一樹[そりゃ~そーだろ!だって売り上げた金額の5割は、皆で何に使ってもいいって話だからな!]

優斗[へー、そなのか]

一樹[へーって!お前聞いてなかったのかよ!]

優斗[あ、あぁ……(笑)みたいだな、はは]

一樹[ははって……はぁ~コレだからボンボンは……良いよな~親が金持ちって~俺なんか~ちまちまバイトして小遣い稼いでるってのに]

優斗[いやいや、俺だって親から金なんて貰ってねーて]

一樹[はぁ?じゃぁお前、いつも金どーしてんだよ?俺とかに奢ったり?]

優斗[奢ったりって……何でそこメインなんだよ(笑)いや、だから俺は……(あれ?コレ言って良いんだっけ?まぁ一樹だから良いか)プログラミング作成とか、企業とかに頼まれる事あって時間ある時やって金貰ってるよ(まぁほとんど母さんからの案件だけど……コレは伏せておこう)]


そう、実は優斗は天才的な頭脳で、その辺のプロのプログラマーよりも効率良く短時間で尚且つ一切のミスもなく仕事をするので、企業から引っ張りだこなのである。


一樹[え!?お前そんな事やってんの!?すげーな!?……ってことは結構貰ってたりするわけ?]

優斗[んー……まぁ……それなりに……(やっぱ言わない方が良かったか……)]

一樹[ふ~ん……そっかそっか!(笑)じゃぁ~優斗さ~んこれからも仲良くしよーな!ははは(笑)]

優斗[…………お前なぁ~はぁ~……(絶対言わない方が良かったやつだ……)あ、一樹この事は他の奴らに言うな……]

後輩女子[あー!!優斗センパ~イ!!]


優斗が一樹にバイトの事を口止めしようとした時、突然、後ろの方から優斗を呼ぶ声が聞こえた。

優斗は一瞬チラッと振り向いたが……無視してそのまま立ち去ろうとした。


後輩女子[優斗先輩!ねぇ~優斗先輩ってば~!]

一樹[おい、何かメッチャ可愛い子がお前の事呼んでねーか?良いのか行かなくて?]

優斗[…………いや気のせいだろ……次行こうぜ]


そこへ、呼んでいた女の子が後ろから掛けよって優斗の腕を掴んだ。


優斗[わッ!何だ!?]

後輩女子[何だじゃないですよ!ヒドくないですか~!こんな可愛い後輩が何度も呼んでるのにシカトするなんて!]

一樹[ん!そーだぞ!こんな可愛い子どこで知り合った!]

優斗[……そこかよ……はぁ~]


優斗はタメ息を付いた後……もう一度顔を見て。


優斗[いや!人違いです!じゃぁ!]


そのまま振り払おうとしたが……。


後輩女子[そうでしたか…………って!行かせるか~!他人のフリしたままなんてヒドすぎますぅ~離さないですよ~!]

優斗[何でだよ~離せって~!]


このままじゃラチが明かないと思った優斗は観念した。


優斗[あーー分かったよ!分かった!で、何だよ陽葵【ひな】……]

陽葵[よーやく!観念しましたね!まったく!久し振りに会えたと思ったら~いきなりシカトだなんて!ヒドすぎます!どーしてシカトしたんですか!?]

一樹[そーだぞ!どーやって知り合ったんですか!?こんな可愛い子と!]

優斗[お前は……そればっかだな]

一樹[お前は……いつもいつも可愛い女の子の知り合いが多すぎるからだ!]

陽葵[……可愛い女の子の知り合いが多い……ふーーん]

優斗[…………]

一樹[……で、誰?この子?]

優斗[……コイツは……俺らと同じ中学だった1つ下の後輩だよ。名前は佐野陽葵【さのひな】……]

一樹[佐野陽葵……?ん~?こんな可愛い子居たっけ?俺、可愛い子なら大抵覚えてるんだけどな~?]

優斗[……中学までメガネ掛けてたし、地味だったもんなお前……]

陽葵[お前って誰ですか!?ちゃんと名前で呼んでください!]


怒って優斗の腕を自分の腕でギュッとする陽葵。


優斗[わーー!わかった!わかったから!胸!胸が当たってるつーの!]


顔が赤くなる優斗。


陽葵[わざとですぅ~!優斗先輩が意地悪するから!]


そんな状況を見ていた一樹は。


一樹[……優斗……てめ~またか?またなのか?]

優斗[はぁ?]

一樹[羨ましすぎじゃねーか!このヤロー!]

優斗[イテテッ!やめろって!ヘッドロックすんなよ!]


陽葵は据わった目で一樹を見て。


陽葵[……ちょっと……あ・た・し・の!先輩をイジメないで貰えますか?]

一樹[……え?……あ……はい……]

優斗[イテテ……あたしのって……]

陽葵[優斗センパ~イ大丈夫ですか?]

優斗[……いや、ただのじゃれ合いだから大丈夫だし……]

陽葵[と・こ・ろ・で!さっきの話の続きなんですが……どーして逃げようとしたんですか?]

優斗[……いや……お前と]

陽葵[お前?]

優斗[…………陽葵と関わると…………ろ、ろくな事起きねーからだよ]

陽葵[何でですか~ヒ~ドい!そんな事ないですよ~]

優斗[そんな事あるわ!……いいか?これまで陽葵と絡んで、どんだけ散々ヒドい目にあわされた事か……中学の時、陽葵が学校の備品壊してアタフタしてた前を、たまたま通り掛かった俺まで怒られたんだぞ……他には、急に学校の階段で俺に気付いて腕引っ張るから一緒に階段の下まで転げ落ちるは……調理実習で作ったからって持ってきた料理で2日も腹下すは……それ以外に数え切れないくらい俺は散々な目にあってんの!だ・か・ら!俺には関わるないいな!じゃーな]


そう言うと優斗はスタスタ行ってしまった。

下を向く陽葵。


一樹[……あ……ぁ…………ま……まぁ~落ち込むなよ……ははは……優斗のヤツ腹でも減ってイライラしてたんじゃねーか?……あんな事言ってたけどアイツは……そんな悪い奴じゃねーよ?……ははは……]

陽葵[そんな事……知ってます]

一樹[え…]

陽葵[優斗先輩は……とても優しい人です。さっきの話も全部事実ですが…………本当は学校の備品を壊してしまって……どうしたら良いか分からなくて1人で泣きそうになってた時、見ず知らずのあたしに声掛けてくれて……その後、先生が通り掛かって……あたしが壊したのに……俺がやったって……先輩が代わりに怒られてくれたり……。階段でも……あたしが先輩に気付いて声掛けた時……バランス崩しちゃって……転げ落ちて行くあたしを先輩がかばって……助けてくれて……そのせいで怪我させちゃって……自分の方が怪我してるのに人の心配して……「大丈夫か?」なんて言うんですよ……ホント……バカですよね……先輩………(笑)。まぁ調理実習の件は完全にあたしが悪いんでしょうけど……]

一樹[……だったら……何で優斗は?]

陽葵[……あたしが悪いんです……。先輩……後輩女子に人気あったから……先輩に付きまとってる……あたしの事が皆気に入らなくて……それで、あたしイジメられちゃって……たぶん、先輩は知らないですけど(笑)、でも、あたしはそれでも良かったんです。優斗先輩さえ居てくれれば……だけど、先輩は言葉にしなかっただけで……本当はあたしの事ウザかったんだと思います…………それから…………先輩に突き放されるようになりました。……イジメは……無くなりましたけど…………も、もちろん!今は高校入ってそう言ったイジメとか全然無いんですが(笑)]

一樹[…………ふーーーん…………優斗らしいな!(笑)]

陽葵[え?]

一樹[いや、俺もバカだけど、アイツも相当バカだから(笑)アイツはさ~頭切れるから自分が嫌われようが相手を最終的に丸く収まるように行動しちゃうんだよね(笑)まぁたぶん陽葵ちゃんに対しても、そーだと思うんだけど、だからアイツなりに陽葵ちゃんの事を思ってわざと遠ざけてんじゃねーのかな?(笑)わかねーけど、俺はそう思うけどな!ははは]

陽葵[……ですかね……]

一樹[つっても、そう言う事をしてやる相手は、アイツが大事にしてるヤツだけだと思うだよね~]

陽葵[大事に……?]

一樹[そぉ!優斗は口には出さないけど、親友の俺には分かる(笑)まぁ幼馴染みだったり家族だったり~何かしら縁があるヤツだったり自分が助けられた相手だったりとかかな?(笑)]

陽葵[……でも、あたしは……先輩に何もしてあげた事なんて……何もないです……。]

一樹[いいや!絶対何かあるんだよ!陽葵ちゃんが覚えてないだけで、優斗に何かしらしてやった事があるんだと思うだよね~じゃなきゃアイツが人を助けるはずが無いからなッ(笑)はっはっは(笑)…………まぁこんな言い方も失礼だとは思うけど(笑)……それに……]

陽葵[それに?]

一樹[それに、優斗のヤツひどい目にあわされたとか言っておきながら、陽葵ちゃんとの出来事全部覚えてたみたいじゃん(笑)それってさ、それだけ陽葵ちゃんを気に掛けてたからって事じゃないのかな?だから~……なんて言ったらいいかな~……う~ん……とにかく元気出せよ(笑)あはは]


陽葵[はい、ありがとうございます、少し元気になりました]


そう言うと陽葵は少し微笑んでペコッとお辞儀をした。


一樹[そっか良かった(笑)んじゃ~俺も行くわ!じゃ~ね陽葵ちゃん!(笑)]

陽葵[はい、ありがとうございました。……あ、優斗先輩には今の話……黙っててくださいね~それに、優斗先輩の前では、あたし明るく行こうと思うので!(笑)]

一樹[OK!OK!了解!(笑)……あ!そーだ!]

陽葵[はい?]


一樹がニヤリと笑って。


一樹[そーだ!陽葵ちゃん、時間あったらさぁ俺らのクラスに来なよ!俺たちメイド&執事喫茶やってるから~そしたら優斗のヤツ執事になって陽葵ちゃんの言う事聞くと思うぜ(笑)]

陽葵[!そーなんですか!?]

一樹[そぉそぉ(笑)]


小声で。


陽葵[優斗先輩が執事に…絶対……カッコイィ……]


目をキラキラさせる陽葵。


陽葵[はい!是非!行きたいです~!]

一樹[時間帯はこのプリントに書いてあるから]


そう言うと一樹はプリントを陽葵に渡した。


一樹[これ見れば俺らの居る時間分かるから、今日はCチームで明日がAチームだから]


陽葵[ありがとうございますッ絶対に行きますね!]


陽葵はとても嬉しそうに笑った。


一樹[優斗には黙っておくから~今日と明日やってるから来れる時来てね~じゃ~ね~!]

陽葵[はいッありがとうございま~す!]


そう言って一樹は優斗の所へ行った。

陽葵はプリントをギュッと抱き抱え。


陽葵[(優斗先輩に、これでまた会える)]


その後、一樹は優斗と合流した。一樹も多少気の使える男なので、あえて、陽葵との過去の事を聞いたりはしなかった。


一樹[大体下見出来たし~そろそろ~……お目当ての場所へ行きますか!へへへッ(笑)]

優斗[……あ、あぁ、だな(…………てかマジで……何か緊張してきた…………)]






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