第26話 文化祭は色々と大変だ


一樹は朝の自宅ベッドでパッと目が覚めた。


一樹[……ッしゃぁ!!!キターーー!!!ついにこの日がキターーー!!!はッはッはッ(笑)]


目覚めるなり……いきなりテンションMAXであった。

一樹の母が部屋の外から叫ぶ。


一樹母[うるさいよ!!あんた何時だと思ってんの!]


……朝と言ってもまだ、午前3時半ごろの出来事であった。


朝のホームルーム。


先生[え~今日から2日間文化祭ですが、本校は毎年同様、2日間とも一般公開となりますので皆さん宜しくお願いします。あと、トラブル等ありましたら直ぐに先生へ報告するように。以上です。では、直ぐに準備の方に取り掛かってください。]


一樹[ッしゃ!!!よーやく文化祭本番だな!(笑)]

優斗[お前……朝からテンションたけーな……(笑)]


一樹がくるッと優斗の方を向き。


一樹[逆に!お前テンション上がんねーのか!?(笑)俺なんか前の日から楽しみ過ぎて朝の3時半には起きてたぞ!はッはッはッ]

優斗[……3時半って……早すぎだろ……]

一樹[そんな事より!早く取りかかるぞ!いや~楽しみだぁ~あははは~笑がとまんねーなぁ(笑)]

優斗[……ははは……]

一樹[そーだ!優斗君!私の完璧なチーム分けご説明しよう!]

優斗[いや、もう知ってるって……]


一樹が声を小さくして語る。


一樹[いやいや……僕には裏の計画がありまして……と言う事で説明するッ]

優斗[裏の?]

一樹[そお!まず、クラス全員をA、B、C、に分けました。最初のスタートは……Aチームはメイド&執事の格好で表部隊、そして、Bチームは飲み物や食べ物を作る裏部隊、そしてCチームは他の文化祭イベントを楽しむ部隊として自由に動ける。これを1日通りしてローテーションで回していく……ここまでは知ってるな ?]

優斗[あぁ…………で?]


真剣な顔になる一樹。


一樹[ここからだ…………1日目……俺があえて俺と優斗がCチーム、蒼ちゃんと由衣ちゃんAチームにした訳が分かるか?]

優斗[?いいや……なんで?]

一樹[はぁ~……これだからお前は分かってねーんだよ…………こんなもんパッパッと頭回るだろ!普通!]


熱くなる一樹に圧倒される優斗。


優斗[いえ…………全然……]

一樹[だ・か・ら!…………俺たちCチームの自由時間のうちに!客として蒼ちゃん達のメイド喫茶に行くんだよ!]

優斗[え!?何で!]

一樹[ホントバカですか!?アナタハ!?メイド喫茶のダ・イ・ゴ・ミ!と言ったら「お帰りなさいませ!ご主人様ッ」って言ってもらえる!プ・ラ・ス!頼んだ料理には「おしくな~れ!萌、萌、ハート」みたいな事をやってもらえるんだよ!蒼ちゃんと由衣ちゃんに!それも、普段絶対に見るとこが出来ないメイド服姿でだ!」

優斗[そ、そーなのか……]

一樹[そーだ!そーなのだ!コレがどれだけ凄い事か!想像してみろ!]


優斗は一樹に圧倒され言われるがままに、今、言われた事を想像してみた。

すると……優斗は徐々に顔が赤くなり始めた。


優斗[(…………た、確かに……蒼のメイド服姿……絶対的に似合うだろう……それに蒼が……「お帰りなさいませ!ご主人様ッ」って…………や、ヤバイだろ……)]


顔がニヤけかかる優斗。

そんな優斗の顔を見て一樹がニヤニヤしながら。


一樹[優斗く~ん、素直だな(笑)]

優斗[な、何が]

一樹[いや~顔は正直だなぁって(笑)まぁまぁ、お前も男だ仕方ない事だ、うんうん(笑)]


そう言うと一樹は笑ながら優斗の肩に手を乗せた。

苦笑いをする優斗。


優斗[……ははは……]

一樹[あ、因みに2日目は4人で行動出来るように一緒のチームだからな!(笑)(フッフッフ……そして、どうにか蒼ちゃんと2人っきりになって…………次こそ!)]

優斗[……(一樹のヤロー……ホントこういう時ばっか頭回りやがる……)]


優斗が周りを見渡すと由衣と一瞬目が合った……が、由衣は直ぐ様目を背けた。


優斗[…………(き、気まずい…何か……避けられた?………由衣はどう思ってんだ?……あの時のキス……ご褒美とか言ってたし……由衣の気まぐれ?……あ、そー言えば……あの後に何かを言い掛けたよーな?……それも、気になるし…………)]

由衣[(……うわ~~思わず目を背けちゃった~!…………うぅ~あたしのバカ~ますます気まずくなるじゃん!………………でも、ダメ……冷静に冷静に……気持ちを落ち着かせて……普通にしなきゃ…)]


そして、各チームごとに準備に取り掛かる。


一樹[いよいよだな!]

優斗[……あぁ]

一樹[おい!何でテンション低いんだよ!]

優斗[いや……別に(い、言えねーー昨日の出来事で由衣と気まずくなってるなんて……メイド服姿の蒼は見てみたいけど……正直今の状況で由衣の所に行きたくねーな……)]

一樹[ったく!緊張でもしてんのか?まぁ直ぐには行かねーけどな]

優斗[え?そーなのか?てっきりお前の事だからソッコー行くのかと思ってたけど……]

一樹[優斗君……分かってないな~いいか?始まったばかりだと、蒼ちゃん達も慣れてないだろうから、慣れた頃に行くんだよ(笑)]

優斗[……なるほど(まぁ俺も心の準備があるから助かるかな……)]

一樹[その間どっか見に行こうぜ!]

優斗[あぁそーだな]


優斗と一樹は丁度良い頃合いになるまで色々と見て回る事にした。

その頃、蒼と由衣は。


由衣[蒼~いよいよ始まるね~……]

蒼[うん]

由衣[蒼はどぉ?完璧?あの……お客さんが来た時のセリフとか……料理出した時のフリとか……(笑)]

蒼[う、うん……一応……で、でもアレは……やっぱり恥ずかしい……かも]


恥ずかしそうに顔を赤くする蒼。


由衣[だよね…………あたしもさすがに恥ずかしんだよね……(……でも、優斗が来る訳じゃないし、何とか乗り切らなきゃ………)って!明日は同じチームだから結局見られるじゃん!]

蒼[由衣?]

由衣[あ!ご、ごめんね!何でもないよ!あははは(笑)(やっば~声出てた……)]

蒼[由衣……あの……ちょっとだけ練習したいかも、一緒にやらない?……]

由衣[確かに……そーだよね……うん!やろ!]


蒼と由衣はお客さんが入ってくる前に二人向き合って練習を始めた。


蒼、由衣[せーの、お帰りなさいませ!ご主人様ッ]

由衣[あ……蒼……笑顔が……引きつってるよ……あははは……]

蒼[ゆ……由衣もだよ……あはは……]


見つめ合い苦笑いをする二人。


由衣[じゃぁ……もう一度………あ!そーだ!こういう時は、好きなひ……じゃなかった!好きな物とか思い浮かべてやった方が笑顔になれる気がする!だからイメージしてやってみない?]

蒼[好きな物……う、うん(好きな物……好きな物……う~ん……あたしは物じゃなくて優斗!)]

由衣[(あっぶな~い好きな人なんて言い掛けた……落ち着け~あたし……よし!優斗~)]

蒼、由衣[せーの!お帰りなさいませ~!ご主人様ッ]


二人は満面の笑顔だった。


蒼[由衣、笑顔が良かったよ!]

由衣[うん!うん!蒼もすっごい!良かった!笑顔が今まで以上に自然で可愛かったよ!]

蒼[ホント?ありがとう~由衣のお陰だよ~]


蒼はとても嬉しそうだった、優斗を思う事で笑顔が上手く出せたと言うことに。そして、少しテンションが上がっていた。


由衣[どーいたしまして!(笑)とろで、蒼は何をイメージしたの?]

蒼[あたしはね!好きな物とかじゃなくて!ゆう……]

女子A[お客さん来たよ~!!]

蒼[……の事を考えたんだ~!えへへ(笑)]

由衣[……え?]

蒼[……あ……]

女子B、C[お帰りなさいませ~!ご主人様~]


お客さんが来た事を教えるため、他の女子生徒が声を出したのと同時に蒼の声が被り、由衣には途中までしか聞こえていなかった……だったのだが……。


由衣[(あれ?今、蒼……何て言ったんだろ……?好きな物じゃなくて……ゆう?物じゃない……ゆう…………って…………もしかして……優…………)]

蒼[(……あたし舞い上がって優斗って言っちゃった…………由衣に聞こえちゃったかな…………もし…………優斗って言ってたの聞こえてたら……優斗に秘密にって言われてたのに…………)]

女子A[また来たよ~!]

由衣[あ、蒼!ほら一緒に行くよ!(後から蒼に聞こう……今は集中!)]

蒼[う、うん(今は頑張らなきゃ!)]





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