第21話 女心と秋の空
転入生の神谷が転入して来てから2週間が経った頃。
昼休み、屋上で四人【優斗、一樹、蒼、由衣】一緒にお昼ご飯を食べていた。
一樹[てかさ~神谷ってどーなの?実際いい奴なのか?]
由衣[うーんまぁそーだねぇ~見てる限りでは、気配り上手だし~誰にでも優しいし~]
蒼[うん、あたしもこの前、職員室に持っていかなきゃいけないクラス皆のプリント、手伝うよって来てくれたよ~それにちょくちょく話し掛けてくれるかな?]
優斗[……話し掛けて……そもそも、そんな紙切れのプリントなんて1人で持てるし……そんなの、ただ蒼に付きまといたかっただけだろ]
一樹[あれ?優斗さんヤキモチ?]
優斗[は?別にそんなんじゃねーし]
由衣[…………]
一樹[が!でも確かに優斗の言うとおりだ!あの女ったらしめ!]
由衣[まぁ~……でも、カッコいいんじゃない?キレイな顔してるし、あ、あたしもこの前色々手伝ってもらったし~あたしにもちょくちょく声掛けてくるかなぁ?]
由衣がチラッと優斗の様子を伺う。
優斗[ふーーん由衣はあーゆーのが好みなんだ]
由衣の発言にも若干不機嫌そうな優斗。それを見た由衣は内心嬉しかった!のと同時にそんな事を言ってしまって、どう弁解すべきか焦っていた。
由衣[あ、あ、でもでも!あたしは好みでは無いかなぁ~あんまりキレイすぎる顔はちょっとね!あはは~……そ、それに、あたしは~優斗の方が好みって言うか~カッコいいと思うし~……あ……(ってーーー!あたし何言ってんの!バカ!バカ!バカ!)い、今のは!まだ優斗の方が100倍マシって言うか~何て言うか~あははは……(100倍も意味分かんないしー!……あーーあたし死んだぁ………)]
優斗[……ってかマシってなんだよ~それはそれで酷くねーか?(笑)]
由衣[あははは!だ、だよね(笑)(う~~どうにか誤魔化せたぁ~………………ってか誤魔化せて良かったけど……それはそれで反応無い優斗も優斗だよぉ……はぁ~……ちょっとは気付けよ!バカ優斗……)]
蒼[うん!優斗の方がカッコいい!(ニコッ)]
優斗[……え]
由衣[……え]
一樹[……え]
優斗[(あーバカ……やべー蒼のやつ一樹の前で余計な事言いそうだぁ……何か他の話題で誤魔化さねーと……)あ、蒼]
一樹[だーー!蒼ちゃん!そーーだよな!あんな奴に比べたら優斗の方が100倍カッコいいもんな!だははは!(笑)まぁ俺の方が1000倍カッコいいんだけど~あははは!(笑)]
優斗[(一樹……ナイス!お前のバカさに助けられたわ……)]
由衣[…………(蒼ってやっぱり……優斗の事……ダメだ……今度ちゃんと聞いてみよう……怖いけど…)]
それから、さらに2週間が経ち神谷が来てから丁度1ヶ月が経とうとしていた。
ある日の夜。
母[あーーやっぱりね~]
母はソファーに座りながらドラマを観ていた。
そこへ、のどが渇いた優斗が飲み物を求めてやって来た。
優斗[あー喉渇いたー死ぬ~麦茶あったよな~確か~]
母[あーごめん、今母さん全部飲み終えちゃったから奥にある炭酸でも飲んで~]
優斗[へーい了解]
母[あ、優斗]
優斗[んーー?プハァーー!あーーー生き返った~やっぱ炭酸良いな~~あ?そー言えば何?]
母[母さん今ドラマ観て思ったんだけど~あんた蒼ちゃんとは最近どーなの?(笑)]
優斗[はぁ?べ、別に普通だけど]
母[あんたさ~自分から何かアプローチ掛けないの~?]
優斗[な、何だよいきなり……アプローチって]
母[いや、蒼ちゃんがあんたの事好きなのは知ってるけど]
優斗[知ってんのかよ……]
母[そりゃ~行動見てれば分かるわよ~それに蒼ちゃんだけじゃなくて、たぶん由衣ち……(おっと……母の口が滑る所だったわ(笑)コレは蒼ちゃんが不利になるかもだから黙っとくか(笑))]
優斗[ゆいち……?]
母[いや、それは何でもない忘れて!そんな事より~さっきドラマでやってたシーン観て思ったんだけど、いくら好きだ好きだって女の人が好意を見せてても、女心ってのは移り変わりしちゃうものなのよ!ことわざでもあるじゃない。「女心と秋の空」って!]
優斗[……はあ……そぉ]
母[あんた理解してる?まぁトニカク!うかうかしてると優しいイケメン男子が現れて取られちゃうから気を付けなさいねってこと!以上!(笑)じゃー母さん寝るわじゃーねー]
そう言うと母は寝室へスタスタと行ってしまった。
優斗[…………考えすぎじゃねーの?だって蒼に限って……ないない!(笑)]
次の日。
休み時間、優斗が1人席に座っていると神谷が話し掛けてきた。
神谷[ねぇ東條君(ニコッ)]
優斗[ん?何?]
神谷[東條君ってさ~蒼ちゃんと付き合ってたりするの?]
優斗[!……は?何だよ突然]
神谷[いや~いつも一緒に帰ってるみたいだし、付き合ってるのかなぁ~?って(ニコッ)]
優斗[別に付き合ってはねーけど]
神谷[ふーん、じゃ由衣ちゃんとは?]
優斗[は?別に由衣とも付き合ってねーし、幼馴染みなだけだよ。てか、さっきから何だよその質問(ってか男は名字呼びで、女は下の名前でちゃん付けかよ……やっぱ女ったらしだな……)]
神谷[あ、ごめんね、いや付き合ってないなら良いだけど。僕、ちょっとあの二人が素敵だなぁ~と思って(ニコッ)]
優斗[…………ふーん……それで?]
神谷の表情が変わり、少し冷たいような笑みを浮かべて優斗に言った。
神谷[じゃぁ……さ、僕、特に蒼ちゃんの方が気になるんだよね……デートに誘っても問題ないよね?]
優斗[!…………は?何で俺にいちいち確認すんの?だから別に付き合ってねーって言ってんだろ]
優斗が少し苛立った表情で睨み返した。
神谷[そぉじゃぁ気兼ね無く誘ってくるね(ニコッ)]
優斗[……別に……]
神谷[そぉ]
そう言うと神谷は蒼の方へと行った。
優斗[……(蒼がオメーなんかのデートに乗るわけねーだろ)]
優斗はそう思いながらも、蒼と神谷が話してる姿を気にして見ていた。
しばらくすると、神谷が蒼の耳元に何か囁きでいた。その瞬間……蒼は顔を赤くしてコクリとうなずいていた……
優斗[(…何だよ……蒼のあの表情……何て言われてあんな顔してんだよ………………)]
優斗は自分の耳でも聞こえるくらい胸の鼓動が早く大きくなった……。ドッ!ドッ!ドッ!と言う心臓の音だけが聞こえ、周りの音が聞こえなくなり頭は真っ白になっていた。
そこへ話しを終えた神谷が優斗の元へ戻ってきて……こう言った。
神谷[蒼ちゃんとデートの約束してきたよ。明日の土曜日デートすることになったから、ありがとう……ユ・ウ・ト君(ニコッ)]
そう言って不適な笑みを浮かべ神谷は席に戻っていった。
優斗[…………え…………]
その日、優斗は頭が真っ白状態で何も考えられず……気付けば帰りになっていた。
その帰り道……優斗は神谷に何を言われて蒼がデートすることになったのか、又は神谷の話しが嘘だったのか……と言う問いを蒼に出来ないでいた。
蒼[……優斗?どうかした?]
優斗[…………]
蒼[ねぇ、優斗ってば]
優斗[…………え?あ、あぁ……わりーちょっと考え事してた……]
蒼[考え事?どんな?]
優斗[……(……お前の事だよバカ…………って言いてぇ……)…………ん~何て聞くべきか……]
蒼[何て聞くべきか?誰に?何を?]
優斗[……あ……(心の声漏れてるぅ……)いや何でもない……腹減った早く帰ろうぜ……]
蒼[う、うん……]
その日の夜……優斗は眠れずにいた……。
優斗[……う~ん…………寝れねー……何で……こんなになってんだよ俺………………クソッこーなったら神谷の事……とことん調べてやる……]
優斗はPCを起動させ神谷の事を調べ始めた。優斗の頭脳であれば、ちょっとしたハッカー程度の事は普通に出来るのだ。
優斗[俺に掛かれば簡単にはっはっはー………………(だっせぇ俺……)……………ん……これって…………]
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