第19話 夏休み最終日 & 夏休み明け初日


優斗は、いつものようにソファーに横になり携帯をいじっていたら、いつの間にか寝ていた。ふと目を覚ました優斗。


優斗[(あー……いつの間にか寝てた…………夏休みも今日で終わりか…………)]


蒼がくれた風鈴が風と共に鳴る……チリーンッチリーンッ


優斗[(やっぱ良い音だ……そう言えば……今年はプールも行ったし、夏祭りも久しぶりに行ったし……何気に充実してたなぁ……でも、祭りのあの後は……大変だったな……はは……)]


優斗は夏祭りの日を振り返っていた。

あの後、優斗と蒼は皆と合流をした。一樹と由衣は優斗におぶられ、ボロボロの蒼を見て慌てていた……。一樹は自分のせいだと思い込み……泣きなが、らしばらく謝り続け……由衣は由衣で蒼の事が心配しすぎて、泣きながら抱き付き離れず……グタグタのカオス状態であった……。帰ってからも蒼を見た母が慌てすぎて、救急車を呼びそうになり……優斗が急いで止めに入ったりと……散々であった。


優斗[……ははは]


そこへリビングの戸を開け蒼が現れた。


蒼[優斗、1人で何笑ってるの?(笑)]


ビックリして起き上がりソファーに座り直す優斗。その隣へ座る蒼。


優斗[(笑ってたの……聞こえてたのか……)あ、い、いや、今年はプールに行って何気に楽しかったし、夏祭りも中々良かったな~って色んなハプニングはあったけど(笑)]

蒼[……ん~ハプニング……もしかして笑ってたのって……あたしの事?……]

優斗[いや~まぁ(笑)蒼のハプニングは中々だったけどな(笑)]


蒼が苦笑いしながら優斗に謝る。


蒼[うん……ごめんね……迷惑掛けたよね]

優斗[い、いやアレは!……別に……蒼が俺の為にしてくれた事だし、嬉しかったからいぃんだよ!それに……楽しかったし(笑)蒼も楽しくなかったか?]

蒼[う、うん!楽しかった!皆で一緒に色々な事が出来て(笑)それに……優斗が一緒にだったから楽しかったよ]


そう言って蒼は微笑んだ。

優斗は少し頬を赤くして。


優斗[な、なんだよ、いつもの事だろ一緒に居るのは(笑)]


蒼は少し恥ずかしそうに声が小さくなり。


蒼[そうなんだけど……優斗が……居てくれたから安心できて余計に楽しかったの]


それを聞いた優斗は照れながら。


優斗[ま、まぁ~蒼は、そそっかしいから、お、俺がいつでも、そばにいてやらねーとな…はは……(笑)(な、何言ってんの俺!恥ずかし事言ってるし!)]

蒼[うん、そーだね!いつもありがとう優斗!]


そう言って蒼はニコッと笑った。

優斗も照れながら嬉しそうだった。


蒼[あ、明日からも学校始まっちゃうね]

優斗[だな……あっという間だったわ~]

蒼[優斗は、ほとんど毎日寝てたけどね(笑)]

優斗[……はは、だな(笑)でも、そんなぐーたらな俺に毎日、飯用意して作ってくれた蒼に感謝でござる(笑)]

蒼[フフフッ(笑)なにそれ~ごさるって(笑)でも、確かに、毎日作ってあげたでござる(笑)]


優斗は少し顔を赤くして思った。


優斗[(前にもあったけど……俺の真似をする蒼がなんだか……可愛く思える……)]


2人は目を合わせて笑った。


蒼[フフフッ可笑しいね]

優斗[なんだこの会話(笑)]

蒼[優斗、何か飲み物飲む?持ってくるよ]

優斗[あぁじゃぁ適当に何でも良いから頼む]

蒼[うん、じゃぁ持ってくるね]


蒼はキッチンへ飲み物を取りに行った。


蒼[優斗~麦茶でも良い?]

優斗[あぁ]


そして、お盆に麦茶を乗せ優斗の方へと運んできた蒼だったが……

優斗が使っていたタオルが、いつの間にか床に落ちていた。それに気付かず踏んだ蒼は……。


蒼[はい、ゆー……あッ!]


優斗は蒼の方を見て……[ありがとう]と言おうした瞬間……。


優斗[ありが……!]


蒼はソファーに座ってる優斗目掛けて……おもいっきり転んだ…………と言うよりダイブした。


……次の日。学校の教室にて。


一樹[おっはよ~優斗!]

優斗[おはよー]

一樹[あれ?優斗風邪か?マスクなんかして]

優斗[……いや、風邪って訳じゃねーんだけど……]

一樹[ふーん、てか蒼ちゃんもマスクしてたな、やっぱ風邪じゃねーの?]

優斗[いや……ちょっと訳あって……]

一樹[ワケ?なんだよ、言えよ~気になるだろ~…………ん?てか!2人で風邪って!優斗!てめ~まさか蒼ちゃんと!]

優斗[そ、そう言う事別にしてねーよ!そもそも風邪じゃねーって言ってるだろ]

一樹[……そっか、風邪じゃねーとは……言ってたもんな……んじゃ何だよ~!気になるだろ~!]


その頃、蒼も。


由衣[おはよ~蒼]

蒼[おはよ、由衣]

由衣[あれ~?マスク?どうしたの?風邪?]

蒼[……ん~風邪じゃないんだけど……あはは……ちょっと腫れてて……]

由衣[腫れてる?大丈夫なの?どこ腫れてるの?]

蒼[……口……びる……]

由衣[え?ぶつけたの?]

蒼[んー……まぁそんな感じ……あはは……]

由衣[そっか~まぁあたしも、たまにやっちゃうけどね(笑)でも、気を付けなきゃダメだよ~蒼せっかく綺麗な顔してるんだから!]

蒼[う、うん、気を付けるね]


先生が教室しに入ってくる。


先生[皆~席に着け~ホームルーム始めるぞ]


皆、自分の席に戻る。

ふと、由衣が優斗の方を見る。


由衣[(ん?優斗もマスク?…………何で優斗も……)]


由衣は気になり、休み時間優斗の元へと行った。


由衣[ねぇ優斗]

優斗[ん?どうした由衣]

由衣[蒼が唇ぶつけて腫れてるって言っててマスク着けてるんだけど、優斗は何でマスク着けてるの?]

優斗[(!)……あ、……いや、俺は風邪……ぎみで……]


前の席に座ってる一樹が即座に振り向く。


一樹[はぁ?お前さっき風邪じゃないって言ってろ]

優斗[……(一樹のヤロ~こんな時ばっか反応が、はえーんだから……てか!なんて言う!?なんて言う!?あんな事がバレたら……事故とは言っても……)]


昨日、あの後の優斗と蒼はと言うと……。

ガシャン!!と言う音と共に優斗に倒れこんだ蒼は……優斗にキスをしてしまっていた。


優斗[!]

蒼[!]


2人はキスしてしまった驚きよりも先に……………口に手を抑え……もがいていた……。


優斗[……!んーーーー!]

蒼[……ん~~!ん~~!]


足をバタバタさせて、もがいていた2人は、しばらくして落ち着き、静かになっていた。そして、2人とも唇が腫れていた……。


優斗[…………]

蒼[…………]


呆然としながら見つめ合った2人は。

お互いの顔を見て爆笑していた。


優斗[……だはははは!何だよ蒼!その唇!あははは(笑)]

蒼[あははは!ゆ、優斗だって!あははは(笑)]

優斗[あはは!あ、蒼、口にタラコ付いてるぞ!(笑)]

蒼[あはは!優斗だって(笑)]


しばらく爆笑していた2人であったが、ふと冷静になる2人……。


優斗[……(あ……て言うか……冷静に考えたら蒼とキス……してたよな……)]

蒼[……(ど、どうしよう……あ、あたし……優斗にキスしちゃった…………あ、謝った方がいぃかな……い、嫌だったかな……)]


2人同時に。


優斗、蒼[あのッ]

優斗[あ、え、何だ蒼]

蒼[え、優斗からでいぃよ]

優斗[いや、蒼から言えよ]

蒼[う、うん……じゃ…………えっと……その……優斗は今の怒ってる……?]

優斗[え、いや別に怒ってないけど]

蒼[……じゃ……その、今の……嫌じゃなかった?]

優斗[今の?]

蒼[…………うん、その……キ……ス……しちゃった事……]


それを聞いた優斗は少しドキドキして。


優斗[(むしろ……それ俺が聞きたかったやつ……)い、いや、別に嫌とかそう言うのは無いけど……蒼こそ嫌じゃなかったのかよ]


蒼は少し顔を赤くして。


蒼[……あたしは……優斗の事……す、好き……だから……嫌じゃなかったけど……優斗は嫌だったかもと思って……]

優斗[……俺だって!…………(この先は……何て言えば……)……お、俺は……蒼の事…………だ、大事だと思ってるし、全然嫌だとか思わねーし……だから……気にするな!(だーーー何か言葉違う!もっとちゃんと心から伝える事があるだろー!俺!)]


蒼は少し……嬉しいような……少し切ないような……何とも言えない顔で笑って言った。


蒼[優斗は優しいねフフフッ]

優斗[……別に優しくねーよ(ぜって~選ぶ言葉間違えました……)]

蒼[あ~ぁ麦茶こぼしちゃった(笑)ごめんね、今拭くから]

優斗[あーいぃよ蒼、グラス割れてるし、危ねーから俺やるよ]

蒼[でも……]

優斗[大丈夫だって、蒼は何か袋持ってきてくれ]

蒼[うん、ありがとう優斗(そう言う所だよ優斗、優しくて……頼りになって……あたしが優斗の事好きなのは。だから……あたしも優斗の役に立ちたい)]


そして、現在……。


一樹[だから~何隠してんだよ~]

由衣[優斗、何で嘘ついてんの?蒼は唇腫れてるって言ってたよ、何か関係あるの?]

優斗[……いや、嘘とか関係とか……何と言いますか……(誰か助けてくれ……)]


そこに蒼が現れた。


蒼[(優斗が困ってる!今こそあたしが役に立つ番!)あの~……]

一樹[あ、蒼ちゃ~ん優斗何か隠してるよね?]

蒼[……それなんだけど……]

優斗[(お!蒼!何か良い言い訳言ってくれるのか!)]

蒼[昨日、あたしが麦茶運んでたら、優斗のタオル踏んじゃって……転んで……そのまま優斗にぶつかっちゃたの……だからあたしが悪いの……優斗は悪くないよ]

優斗[…………]

由衣[…………]

一樹[………………ん?て事は……]

優斗[…………(て事は…)]

一樹[て、事は!ぶつかって2人ともマスクしてるって事は……キス!!したのか!!?]

優斗[(声がデカイ!そして……て、事になりますよねーー!蒼ーー!おい!フォローになってねーよ!!)]


ざわつく教室。


女子A[え、優斗君と蒼ちゃんキスしたの?]

女子B[まじで~!あの2人できてたの?]

男子A[まじか~!]

男子B[俺ショックなんだけどー!]

優斗[……いや!だから!事故!事故だよ!そんなんじゃねーって!]

一樹[事故~?はぁ~?蒼ちゃんはさっき優斗のタオル踏んで転んだって言ってたぞ!だとしたらお前が悪いんだよな?]

優斗[ぐッ(何でこんな時ばっかり頭回るんだコイツは……)]

由衣[そーねぇ……それは優斗が……どーーー!考えても悪いよねぇ!]

優斗[(何で由衣まで、そんなに怒ってんだよ……そして、蒼何で……よし!フォローした!みたいな達成感ある顔してんだよ!マスク越しで見えねーけど……そんな目してるし……何かちっちゃくガッツポーズしてるし……)]

蒼[(よし!優斗の役に立った!)]

優斗[(立ってねーよ!蒼!むしろこの状況下を見ろ!感じろー!火に油を注いだよ!いや、むしろガソリン注いだよ!アンタ!)]

一樹[……蒼ちゃん……]

蒼[うん?なぁに?]

一樹[蒼ちゃん……もしかして、ファーストキスだったりする……?]

蒼[ファーストキス?って]

由衣[ファーストキスだよ!初めてキスする事!]

蒼[……あ……う、うん……初めて]

一樹[ぐッ……優斗……]

優斗[……はいッ]

一樹[お前もファーストキスか?]

優斗[……いや……]

由衣[違うもんねー!ね!優斗!]


由衣が笑顔になり。


由衣[優斗のファーストキスはあたしだもんね!(笑)]

一樹[……なに?それは本当か……優斗]

優斗[……はい、本当です……]

蒼[…………]

一樹[……へぇー]

優斗[いや!でも!幼稚園の時だぞ!なぁ!由衣!]

由衣[そーだけど!した事には変わりないでしょ!]

優斗[いや、だけど幼いと時の事だし……]


一樹が机をドンッと叩く。ビックッとする優斗。


一樹[幼稚園の時だろうが、今だろうが……優斗てめー…………]


ゴクりと唾を飲む優斗……。


一樹[何で……いつもいつも……美味しい所をお前1人で持ってくんだよ~!!美女2人のファーストキス奪っといて!スカしてんじゃねー!許さねーぞ!優斗~!]


一樹が優斗にヘッドロックを掛ける。


優斗[痛てててッ!悪かった!俺が悪かった!]

一樹[謝って済むなら警察は要らねーんだよ!]


休み時間の終わるチャイムが鳴り先生が入ってくる。


先生[ほら!早く席に着け!]


一樹[チッ命拾いしたな優斗]

優斗[(いや、もう半分死んでるわ…………あー今日は早く帰りてー……)]


蒼[(あれ?もしかして……あたし役に立って無かった……)]

由衣[(優斗、蒼とキスしたんだ…………でも、事故って言ってたし…………切り替え切り替え!ファーストキスはあたしなんだから!)]


この日、優斗は疲れすぎて……早めに寝床に着いたのであった。


母[あれ~蒼ちゃん、優斗は?]

蒼[あ……優斗なら寝ちゃった……]

母[えー?ずいぶん早いわね!まだ19時よ?]

蒼[う、うん何か疲れたみたい……あはは(あたしのせいでもあるよね……うぅ……ゴメンね優斗……今度はちゃんと役に立つから!)]





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