第16話 いまさら……【夏休み編】
プールに行ってから数日が経ったある日。優斗はリビングのソファーに横になってバテていた。
優斗[(あーー……毎日毎日暑すぎだろ…………暑くて外には出れねーし……中に居ればエアコンでやられるし……)だりー……]
そこへ蒼がやってきた。
蒼[優斗、ナマケモノみたい]
優斗[ナマケモノ……ナマケモノって動物のか?]
蒼[うん、今の優斗みたいに、あんまり動かない動物(笑)]
優斗[フッ確かにな~ナマケモノだわ俺(笑)てか良く知ってたなナマケモノなんて]
蒼[うん、これで知った]
優斗[これって……携帯……まぁ調べれば普通に出てくるわな]
蒼[うん!そうなの!これって凄いんだよ!何でも検索すると出てくるの!凄いでしょ~]
蒼は自慢げに嬉しそうに携帯をかざして言った。
優斗[…………え?…………うん、知ってるよ……普通だろ……]
蒼[え……知ってたの?優斗のも検索とか出きるの?……]
優斗[…………うん……え?……いまさら?……てか、どんな携帯だって出きるよ……今まで知らなかったのか……逆に……]
蒼[うん……この前、由衣に教えてもらったの……だから優斗に教えて自慢したかったのに……]
蒼は少し残念そうだった。
優斗[そっか……母さん蒼に連絡取る以外の機能教えなかったんだな……はは……]
蒼[そっかー……優斗知ってたんだね……]
優斗[あぁ……まぁでも蒼も知れて良かったじゃん(笑)蒼の好きな料理とか沢山調べられるだろ?]
蒼[うん!そうなの!今まで本買わないと分かんなかったこととか、コレさえあれば買いに行かなくても調べられるの!嬉しくなっちゃって教えられてからずーっと見てる(笑)]
蒼は直ぐに笑顔を取り戻した。
優斗[(まるで興味津々な子供みたいだな(笑)……何か……カワイィな…………)]
蒼[優斗もずっと携帯見てるけど色々調べてるの?]
優斗[俺はゲームとかだよ、まぁそれ以外に色々と調べたりもするけど]
蒼[ふ~ん、色々って?]
優斗[色々って~色々だよ]
優斗が飲み物を口に入れた瞬間……蒼が即座に。
蒼[エッチなやつ?]
優斗が飲物を吹く!
優斗[ブーーー!!ゲホッゲホッ!な、何だよ!ゲホッ……いきなり……ティ、ティッシュくれ……ゲホッ]
蒼[ゴメン優斗!……はい、ティッシュ……大丈夫?]
優斗[……あぁ……大丈夫………ありがとう………久しぶりにむせたわ……ゲホッ]
蒼[ゴメンね……でも由衣が言ってたんだもん、男は大抵そう言うのばっかり調べてるって]
優斗[……言い掛かりだ…………(由衣のヤツ……蒼にどんな情報提供してんだよ……)]
蒼[じゃぁ優斗はそう言うの嫌いなの?]
優斗[(……まだ続くのか……無邪気な質問……破壊力ハンパねーわ……)べ、別に嫌いじゃねーけど……]
蒼[じゃぁ優斗、女と人に興味あるんだね?]
優斗[……まぁ……男……だからな……俺も……]
蒼[じゃぁ……優斗は由衣の事好き?]
優斗[な、何で、由衣が出て来るんだよ]
蒼[由衣カワイィから……]
優斗[……カワイィからって…………好きって……どう言う意味でだよ……友達としてって事?]
蒼[……んー……なんて言うか……女の人として?……んー……えーと……なんだっけ……んーと……付き合いたい!そう、付き合いたいと思う?]
優斗[…………そう言うのは今まで考えたことないな、由衣は幼馴染みで、それ以外深く考えた事ないし……付き合いたいとかは……意識したことない……(……だよな?由衣の事……全くそんな風に意識した事……無い……よな?そんな事………)ってかなんだよ……この質問?]
蒼[……ゴメン……じゃぁ……最後に1つだけ…………]
優斗[ん?なに?]
蒼[…………優斗は……あたし……の………………………………うぅん、やっぱり何でもない]
優斗[なんだよ、そこまで言って]
そこへ母が帰って来た。
母[ただいま~]
蒼[おかえり~三咲]
優斗[おかえりー]
母[あーー暑かったーー……外は本当に暑いわよ~……]
優斗[だろーね……俺は出たくねー]
母[……あんたは出な過ぎ……夏休み入ってプールに行ったっきり1日も外に出てないでしょ]
優斗[……出たわ飲物買いに行った時に]
母[それ以外出てないでしょ!出てないのと一緒でしょ!ちょっとは外に出た方が身体に良いんだから]
優斗[出るよ~今度の祭りの時(笑)]
母[…………ったく…………ん!あ!そうそう、お祭りで思い出したわ!蒼ちゃん浴衣買いに行きましょう!せっかくのお祭りなんだから浴衣着ないとね!]
蒼[浴衣?]
母[そう!浴衣よ!蒼ちゃん絶対に似合うと思うの~~あ~楽しみ!だから、蒼ちゃんお出掛けの準備してきて!]
蒼[う、うん、わかった]
蒼は部屋へと行った。
優斗[いつも突然だな……]
母[だって~母さん中々時間ないんだもん~行ける時に行っとかないと!]
優斗[いやいや、買い物じゃなくて、浴衣の件とか……別に普段着でも何でも良くね?]
母[……良くないわよ!あんた分かってないわね~女の子なんだから、こういう時しか着れない物を着るのは当然の事よ!それに……母さんの夢がまた、1つ叶ったわ~!女の子欲しかったし、浴衣着せてあげるの夢だったの~だから嬉しくて!]
そう言って母は微笑んだ。
優斗[……まぁ、そうなら、良いんじゃね]
母[……あんた相変わらずノリ悪いわね]
優斗[母親のくせにノリ悪いとか言うなよ……]
母[あんた見てなさいよ!蒼ちゃんめちゃくちゃ可愛くなると思うから!惚れ直すんじゃない?(笑)]
優斗[い、いや!いや!そもそも惚れてねーし!]
母[なに焦ってんのよ(笑)てか、惚れてないの?]
優斗[は?何で?]
母[母さん、てっきり蒼ちゃんの事、あんた好きなんだと思って応援してたのにー]
優斗[……なぜそうなる……]
母[だってあんた、いつもいつも蒼ちゃんの事、気にしてるでしょ?]
優斗[別に気にしてねーよ……]
母[え?あんた自分で気付いてないの?]
優斗[な、何が?]
母[あんた、いつもいつも、蒼~、蒼ドコだ~、蒼~俺の服知らねー?、蒼~腹減った何か作ってくれ~、蒼~どこか行くのか?蒼~って!いっつも蒼ちゃんの事探してたり、呼んだり、気にしてたり、してますけど]
優斗は顔を赤くして。
優斗[いや、いや、いや、いや、……え……嘘だ?]
母[本当よ、何なら蒼ちゃん本人に聞いてみる?]
優斗[いや!いぃって!(え……俺ってそんなに蒼の事、呼んだり、頼んだり、気にしたり……色々してたのかよ……自分で気付かなかった……)]
母[何、考え込んでんのよ!別に良いんじゃないの?]
優斗[え?]
母[だって蒼ちゃんも、あんたに頼まれたり、呼ばれたりてるの嬉しそうだし]
優斗[……そう……なの?]
母[見てれば分かるわよ、蒼ちゃんの表情、あんたと居る時生き生きしてるもの(笑)だから、早く結婚して孫見せて(笑)]
優斗[な!なに言ってんだよ!ぶっ飛び過ぎだろ!]
母[え?正直な気持ちを、ただ言ってるだけだけど]
優斗[…………(この人めちゃくちゃだ……)…………てか……そもそも……………………蒼は……………]
母[父さんじゃないわよ]
優斗[……!]
母[蒼ちゃんは蒼ちゃん!優斗も、もう分かってるでしょ?蒼ちゃんは父さんじゃなく全くの別人だって]
優斗[…………それは……まぁ]
母[だから!前にも言った通り蒼ちゃんを良く見てあげなさい、表面だけじゃなくて、蒼ちゃんの優しさ、内面を心を!そうすれば優斗が気にしてる事よりも、大事だと思える事が見えてくるはずだから]
優斗[大事だと思える事……………………]
母[あーーー!面倒くさ!(笑)]
優斗[!面倒くさって……]
母[まぁ!母が気にするなって言ってるんだから!あんたの素直な気持ちで蒼ちゃんを大事にしてあげてって事!誤魔化さないで自分の気持ちに嘘つくなって事!てか!母親にココまで言わせる?(笑)うわーー気持ち悪!(笑)]
優斗[…………(少し尊敬してやったのに……やっぱ最低な母親だわ……)]
そこへ準備を終えた蒼がやってきた。
蒼[ゴメンね三咲、お待たせしました~]
母[うぅん!全然!蒼ちゃん今日も可愛く決めたね!抱き締めてあげる~ギュゥ~]
蒼[三咲~苦しい~(笑)]
母[じゃ!出掛けてくるから!じゃーねー]
蒼[じゃぁ優斗行ってくるね]
優斗[あ、あぁ、気を付けてな]
蒼[うん!]
こうして、母の一言に優斗は蒼に対して、余計な感情や、改めて父とは別人なんだと考えるべきとだと少しだけ思わされたのであった。
優斗[……大事だと思える事ねぇ……]
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