第12話 やっぱり


次の日の朝。


由衣[よーし!作るぞ~(バランスの取れた感じで~見た目も良く!野菜もたっぷり入れてやるか!優斗のやつどんな反応するかな(笑)喜んでくれるかな~?何か~新妻の気分(笑)フフッ)]


由衣は浮かれながら優斗のために、弁当を作っていた。


東條家では。


優斗[蒼、行くぞー]

蒼[うん]

優斗[あれ?俺の弁当は?]

蒼[……今日は由衣が優斗のお弁当作るって……]

優斗[へ?そーなの?なんで?]

蒼[あたしが……大変だからって……]

優斗[ふーん、そっか、まぁ食えれば何でもいっか(笑)]

蒼[…………]

優斗[ほら、行くぞ!]

蒼[……あ、うん…]


そして、昼休み優斗は一樹に蒼と住んでることを打ち明けようとしていた。


一樹[よーし飯だ!飯!]

優斗[……あ、あのさ、一樹…]

一樹[んー?どうした?]

優斗[……俺が今から言うこと…落ち着いて聞いてくれ…]

一樹[なんだよ、改まって?]

優斗[……いや、実はさ、お前に隠してた事があるんだ……まぁ隠してたって言うか…言いそびれてたと言うか……]

一樹[なんだよ~勿体ぶってないで、早く言えよ~(笑)]


優斗は少し深呼吸をしてから一樹に話し始めた。


優斗[実はさ、白鳥 蒼と俺は一緒の家に住んでるんだ、それで、理由があっ……]


優斗が理由の続きを話そうとした瞬間…一樹が大声で。


一樹[はぁーーーー!!?蒼ちゃんと一緒に住んでるーーー!!!]


クラス中がザワつく。


優斗[バッカ!!!声がでけーーよ!!!]

一樹[だって!!お前がいきなりそんな事を言うから!!ってかマジで言ってんの!!?え!?どういう事!!?]

優斗[だーー!かーー!ら!!今!その理由を言おうとしてた所だよ!!!落ち着け!!]


一樹がかなり興奮していた。


優斗[だから!白鳥蒼と俺は親戚で、それで、あいつの親が、今、海外に仕事に行ってて一人暮らしさせらんねーからウチの親が預かってるって事だよ……中々言い出せなくて悪かったと思ってるよ……]


頭の悪い一樹が両腕を組、脳をフル回転させて考えていた。そして。


一樹[……てことは……てことはだよ……]


小声になる一樹。


一樹[てことは……これは、チャンス到来じゃねーか!優斗!]

優斗[……は?な、なにが……だ]

一樹[だってさ、蒼ちゃんお前んちに住んでんだろ?てことは……お前んちに遊びに行けば蒼ちゃんに会えるってことじゃん!]


優斗は予想と違った反応に若干引いていた……。


優斗[…………はぁー……まぁー……(そっちに思考が回るって……)]

一樹[優斗!いや、優斗さん!これからも末永くお付き合いをどうか!あ、どうか!宜しくお願い申し上げまする!]

優斗[……ははは……]


引きぎみに呆れる優斗であった。


由衣[ちょっと、うるさいんだけどー]


由衣がこっちに来た。


由衣[……ほら……優斗、お弁当]

優斗[お、サンキュー、いいのか?]


由衣が少し頬を赤くして恥ずかしそうに。


由衣[だって毎日、蒼、作るの大変じゃない……それに!別に一人分作ろうが二人分作ろうが、別に変わらないし!…まあ…そう言うこと!じゃぁね!]


そう言って由衣はお弁当を食べに蒼の方へ行った。


優斗[(なんだ由衣のやつ?なんかいつもと違って変な感じだったな?まぁ、いっか)]

一樹[優斗くん?どー言うことかな?]

優斗[へ?なにが……]

一樹[今の会話だと……お前、毎日蒼ちゃんに弁当作ってもらってたってことだよな……しかも、由衣からも弁当作ってもらって…………]


優斗が少しビクつきながら……。


優斗[……いやぁ……あ、はい……そぉ……です…かね?…あは、ははは……]

一樹[優斗……てめーー!許さねーー!それよこせーー!]

優斗[悪かったーー!黙っててーー!]

一樹[問題はそこじゃねーーーーー!]


こうして、無事に一樹にそして、一樹が大声で話した(話してくれたお陰で)優斗と蒼の事は秘密にしなくても良くなったのであった。


そして、放課後。優斗は由衣に弁当を返しに行った。


優斗[由衣、ありがとな、旨かったよ]

由衣[本当?良かった~安心した(笑)よーし!じゃぁ、これで部活も頑張れるッ(笑)じゃぁね!優斗!]

優斗[おう!頑張れよ]


次の日の朝。


優斗[ん?今日も俺の弁当ないのか?]

蒼[……うん……由衣が作ってくるって……]

優斗[そか、了解]


そして、蒼が、優斗の弁当を、作らない日々が、しばらく続いていた。

昼休み。


優斗[ふぅー……]

一樹[優斗、どーした?浮かない顔して]

優斗[いや、別に……]


いつものように、由衣が優斗に弁当を持ってきた。


由衣[優斗!はい!お弁当ッ]

優斗[お、サンキューな]


由衣はニコッとして嬉しそうに戻っていった。


一樹[いいな~優斗は毎日弁当作ってもらえて!由衣だって蒼ちゃんと肩並べるくらいメッチャ可愛いしな~羨ましい限りだよ(笑)]

優斗[……まぁな……]


優斗は少し疲れていた。

ある日、優斗は由衣から買い物の誘いを受けていた。


優斗[はぁ?買い物?]

由衣[そぉ!次の日曜日、あたし部活休みだからちょっと付き合ってよ!]

優斗[なんでだよ~俺は日曜くらい、家でダラダラしてたいってのに]

由衣[あんた日曜じゃなくても家でダラダラしてるでしょ!たまには付き合いなさいよ!]

優斗[…………わーったよ]

由衣[本当!?やったぁー!!]


由衣はとても嬉しそうだった。そして、そんな由衣の嬉しそうな笑顔を見た優斗は、少し顔を赤くしてドキッとしたのだった。

そして、約束の日曜日。

優斗は先に待ち合わせの場所へと着いていた。

そこへ由衣から電話が入った。


由衣[もしもし、優斗?ごめーん少しだけ遅れる!]

優斗[あー大丈夫、別にいいよ、気を付けて来いよ]

由衣[うん、わかった!ごめんね!]


そして、それほど時間も経たない間に由衣が優斗の元に着いた。


由衣[ごめーーん優斗!お待たせしました!]

優斗[おう、別にそんな待ってねー…………よ]


優斗は由衣を見て固まった。


由衣[優斗?どうかした?]

優斗[い、いやどうもしない!い、行くぞ!]

由衣[あ、うん!]

優斗[(由衣のやつ!こんなに可愛いかったっけ!?そいやーいつも、ちゃんと見てねーしな……それに…今日はいつもと雰囲気が違うような…なんかいい香りするし、髪型もいつもと違って女っぽいし…まぁ元々美形ではあるが………てか普通の幼馴染みって感覚しか無かったから、あまり女として見てなかったってのもあるな……だから余計そう見えるのか!?何なんだ?何でこんなにドキドキしてんだ?俺は!?)

由衣[…ウト、優斗、優斗!]

優斗[…………っあ?うん?ごめんごめん、どうした?]

由衣[どうした?じゃないよ~何回も呼んでたのに!どうしたは、こっちのセリフだよ~まったく!]

優斗[わりーわりー……いや……なんか……その……由衣でも、ちゃんとすると可愛くなるんだな~って思ってな(笑)あはは……]


優斗は照れ隠しに、あえて冗談で言ったつもりだったが、由衣は頬を赤くして、少しうつ向いて。


由衣[あ、ありがとう、優斗にそう言ってもらえて嬉しいか…も]

優斗[!]

優斗[(え?!まじか!てか由衣のやつ…まじで可愛くないか…?)]


優斗も頬を少し赤くしながら。


優斗[そ、そうか!それは良かった!はは……]

由衣[…………い、行こっか]

優斗[……だな!]


その後はショッピング、ランチにカラオケ、ボーリングにゲーセンと色々なところに連れ回される優斗であった。

その頃。東條家では……蒼が。


母[蒼ちゃん!!どーしたの!!?]

蒼[んーー……なに…………]

母[なにじゃなくて!!?どうして、こんなことに!?]


蒼は……お菓子(クッキー)を大量に作っていた……それも、尋常じゃない数を……。


母[蒼ちゃん!お菓子屋さんでもやる気なの!?]

蒼[三咲……胸が……ずっと……苦しいの………でも、お菓子を作ってると苦しいのが忘れられるの……]

母[胸!?大丈夫!?]

蒼[……わからない……………でも………由衣が優斗のお弁当を作ることになって……あたしが優斗のお弁当を作らなくなってから……少しずつ……苦しくなってきたの…………今日……優斗が由衣と二人で買い物行くって、出ていってから余計に苦しくなってきたの…………三咲……あたし病気かな……?病院に行った方がいぃ?]


母はキョトンとした後……笑って蒼に言った。


母[そーね!病気ね!それは!(笑)]

蒼[やっぱり……]

母[でも、その病気は病院じゃ治せない病気ね!]

蒼[え…………じゃぁ……どうしたらいいの……?]

母[フフッ恋の病ね]

蒼[恋の病?]

母[あ、うぅん何でもない(笑)そーね、蒼ちゃんはさ優斗の事を、どう思ってる?]

蒼[優斗のことを………………わからない]


母は優しく語りかけた。


母[ゆっくりでいいから、よーく考えてみて]

蒼[………………優斗は…………大事…………優斗は大事な人…………優斗は…………大切…………大切な人…………優斗と一緒に学校に行きたい………優斗と一緒に帰ってきたい……優斗とお話したい……優斗にお弁当作ってあげたい、優斗に笑顔になって欲しい、優斗と一緒に居たい……]


蒼の心の奥の気持ちが、母の問(とい)で溢れだしてきた。

そして、蒼が泣き出しそうな顔をしだした所で母は蒼の言葉を止めてあげた。


母[うん!わかったわかった!良くできましたッ]


母が蒼にニコリと笑って頭を撫でてあげながら。


母[蒼ちゃんは優斗の事をとても大事に大切に思ってくれているのね。それならね、もっと優斗とお話ししなきゃ]

蒼[お話……?]

母[そぉ、もっと蒼ちゃんの、思ってる事とか気持ちとか、行動と言葉で伝えるの]

蒼[行動と言葉……]

母[うん、まずは、お話したいなら自分から動かなきゃね!待ってるだけじゃ、あいつは携帯ばっかイジって、話しかけてもくれないと思うし、それに…無頓着だから……相手から色々言われるまで気付かないこと多いしね…………後は……あいつも男だから…興味あることで気を引くとか(笑)(これは少し意地悪な課題だったかな(笑))。まぁ、だから、その胸の苦しいのを解決する1つとして……そう言う行動も必要だと思うの、だから、蒼ちゃんが思ってる気持ち素直に伝えてみたらどうかな?]

蒼[あたしの思ってること……気持ち……男……興味]

母[あ、最後の方の言ったことは気にしなくてもいいわよ!]


母は少し焦りながら言った。

が、蒼は全然聞いておらず。


蒼[あたしの気持ち、男、興味……]

母[(だめだ……聞いていない(苦笑)ごめんね優斗母が余計なこと言って変なことになったら……許せ息子よ(笑))]


蒼[うん、わかった!三咲、行動してみる]


そう言うと蒼は自分の部屋へと行った。


母[少し元気出たみたいね(笑)……にしても……このお菓子の量スゴいわね(笑)後で優斗に責任取ってもらわないとね]


そして、その後の優斗達はと言うと。


優斗[つ、疲れた……(普段こんなに動かないからマジでしんどいぞ!おまけにこの荷物の量……)おい、由衣この量、買いすぎじゃね?]

由衣[だって~普段部活で忙しくて中々服とか買い物出来ないし、それに今日は優斗が居てくれたしね!(笑)]

優斗[俺は荷物持ちか!始めッからそれ狙いだろ~]

由衣[バレたか(笑)]

優斗[おまえな~]

由衣[でもね……優斗と一緒に来たかったのは本当だよ]


そう言うと由衣は振り向いて、優斗に嬉しそうな笑顔を見せた。優斗は少し照れながら。


優斗[そ、そうか、まぁ俺も暇だったし、た、楽しかったよ俺も]

由衣[本当?嬉しい~良かった……]


そう言った後、由衣は。


由衣[優斗…… ]

優斗[ん?なんだ?]

由衣[……実はさ]


由衣は少し黙って。


由衣[お弁当……優斗に作るのちょっとお休みしよーかなって……]

優斗[……そ、そっか、まぁそーだな毎日作ってもらうのも悪いしな……はは]

由衣[ごめんね……ちょっと部活で忙しくてさ……!]

優斗[い、いや、気にすんなよ!全然大丈夫だから!]

由衣[……うん]

優斗[…………]

由衣[…………]


その後、優斗は由衣の荷物を持ち家まで送った、そして由衣の家の前で。


由衣[今日はありがとね!スゴく楽しかったよ]

優斗[おう、俺も久しぶりに由衣と遊べて楽しかったよ、小学生以来だったしな(笑)]

由衣[うん]

優斗[じゃ俺帰るわ]

由衣[……優斗!あ、あのさ、あたし…………]


由衣が何かを言い掛けたその時、優斗の携帯が鳴った。


優斗[ん?ごめん電話だ、もしもし、あぁ今帰るとこ、はいはい、わかったじゃぁ。ごめん母さんからだった]

由衣[そっか]

優斗[ん?何か言いかけなかったか?]

由衣[うぅん、な、なんでもない!また、明日ね!]

優斗[おう、また、明日!じゃぁな]


こうして、優斗は帰っていった。


由衣[はぁ~……また……言えなかった……]


そして、優斗が家に着く。


優斗[ただいま~]


優斗がリビングの戸を開けると。


母[おかえりー]

優斗[!!なっ何だこれ!どーしたの!?]

母[あんたのせいよ]

優斗[は?どういう事?]

母[さぁ~?あんたが無頓着だからじゃない?]

優斗[いや……理由になってないし……意味がわからん……これ……手作り?もしかして……蒼が作ったの?]

母[そうよ]

優斗[蒼は?]

母[部屋に行ったっきり]

優斗[なんで?で、どーすんのこれ……]

母[だから、あんたが悪いんだからあんたが食べてあげなさい]

優斗[いや、食べるけど……この量は……てか、そもそも、何で俺が悪いんだよー……]


その頃、蒼は由衣に借りていた雑誌を見ていた。


蒼[男の事は、これに載っているって由衣が言ってた…あたしも勉強しなきゃ]


蒼は何に対しても一生懸命なので、真面目に雑誌を見て勉強をしていた。

そして、雑誌を見ていた蒼に由衣から電話がかかってきた。


蒼[ん、由衣だ。はい、もしもし、うん、うん、わかった、今行くね]


由衣が外に来ていたと言うのだ。

蒼が、門の外に出ると由衣が待っていた。


由衣[ごめんね、蒼]

蒼[うぅん、大丈夫だよ、どうしたの?]

由衣[…………あのね、今日、優斗と買い物行ったんだけど……]

蒼[……うん、知ってる……]

由衣[…………あたしね、優斗にお弁当作るのお休みするって言ったの……]

蒼[……そーなんだ……どうして?]

由衣[……うん……ちょっと……部活忙しくてね……優斗にもそう言ったんだ……]

蒼[そっかー……]


由衣は少し悲しげな表情で笑ながら。


由衣[……でも、実は……それは言い訳だったんだぁー……。あたし……気付いてたの……優斗が無理して、あたしのお弁当食べてくれてたの…………優斗………あたしに気を遣って隠して捨ててたみたい……あたしゴミ捨て当番の時に気付いちゃって……袋には入ってたんだけど、あたしが作ったのだって分かっちゃってね………それ見たら自信無くしちゃって………ははは……]


そんな悲しげな表情で無理して笑ってる由衣を見た蒼は由衣に。


蒼[……由衣の料理は美味しいよ!いつもお昼の時交換しながら食べさせてもらってるから、あたし分かる!……ただ優斗は好き嫌い多いから……優斗は、野菜は細かくして色んな物に混ぜてあげれば食べてくれるし、他に食べれない物があれば、味付けとか変えてあげれば、食べてくれる……少し大変だけど、その辺ちょっと工夫すればきっと大丈夫だと思う!]


蒼が笑顔で由衣に優斗の事を教えてあげた。


由衣[……そぉ…なんだ…………。蒼はすごいね…………優斗の事なんでも分かってて…]

蒼[うぅん、全然わからないよ(笑)ただ……あたしは優斗に助けられてばかりだったから……何か出来ること無いかなって思ってて……あたしがしてあげれる事って言ったら料理ぐらいしかなくて……それでも……失敗ばかりで……自分なりに色々試したり考えたり……それで、ようやく食べてもらえるようになったの(笑)そんな感じだから……それ以外なんにも分かってない。だから今でも迷惑掛けてばっかりだよ]


そう言って蒼は優しく笑っていた。


由衣[……蒼はやっぱりすごいや……ちゃんと自分で努力して…そこまで出来るなんて……あたしなんか……ただダメだったから直ぐに諦めて……逃げて……………………蒼……しばらく優斗のお弁当作ってあげて……あたしも努力してみる、ちゃんと優斗があたしのお弁当残さず食べてもらえるように]


蒼[うん、わかった]


由衣に優斗のお弁当を作ってあげてと言われた蒼は本当に嬉しそうに笑顔を見せた。

その笑顔を見た由衣は。


由衣[…………(…………蒼って……)ねぇ蒼ってもしかして……優斗のこと……]


そう言い掛けた由衣であったが……。

その先を言うのを止めた。

聞くのが少し怖かったのだ。


蒼[優斗?なぁに?]

由衣[あ、うぅん、なんでもない!ありがとね!蒼と話したら元気になった!]

蒼[うん!良かった]

由衣[じゃぁまた、明日ね!]


そう言って由衣は帰っていった。

由衣は……優斗の話をする時の蒼の生き生きとした表情を見て感じていた。蒼は優斗の事が好きなのではないかと……。そして、もし、蒼自身の気持ちが、まだそれに気付いていなくて、それを聞いたことによって、蒼自身が優斗を好きだと言う気持ちに気付いてしまったら……そう考えたとき、怖くなってしまったのだ。優斗の事はもちろん好きだし、蒼の事も好きだから友情が壊れてしまうのではないかと……。だから、由衣はあえて言わなかった。今は……まだ。


蒼が家に戻りリビングへ行くと。


優斗[おい!蒼~これどーすんだよ~こんなに作って……]

蒼[あ、……ごめんなさい。あたし昼間……胸が苦しくて……作ってる時だけ落ち着いたから……作りすぎちゃって……]

優斗[胸が苦しくて?大丈夫なのか?]

蒼[うん、今は平気]

優斗[そっか、なら良いんだけど。…………でも、どーするんですか……蒼さん……この大量に作ったお菓子…………そして、母さんはとっとと部屋に逃げて行ったしよー……]

蒼[優斗食べて]

優斗[あー俺が食べれば解決ね……ははは……。って!こんなに食べれるかー!どんだけ量あると思ってるんだ!]

蒼[じゃあたしが食べさせてあげる?]


そう言われた優斗は……少し頬を赤くして。


優斗[い、いきなり何言ってんだよ!]

蒼[だって……本に書いてあった……そう言うの好きな男の人もいるって……優斗は好きじゃない?あたしに食べさせられるのは嫌?]

優斗[ッう、べ、別に…嫌じゃないけど…………そ、そう言うのは好きなもの同士でやる事……で……]

蒼[優斗はあたしの事好きじゃない……?嫌い…?]

優斗[……別に……き、嫌いじゃないよ]

蒼[じゃぁ食べて!]


蒼はお菓子を持って優斗の顔付近へと運んだ。優斗は横を向いていたが、恥ずかしそうに蒼の方を向いて渋々食べさせてもった。


蒼[どお?優斗?美味しい?]

優斗[あぁ、美味しいよ]


優斗は照れていた。

蒼は嬉しそうに笑顔で。


蒼[良かったッ]


そうした蒼の笑顔を見て優斗はまた、自分の胸のドキドキ感に動揺していた。


優斗[あ、あのさ、1つ考えがあるだけど、これさ旨いし大量にあるから、明日クラスの皆に配ったらどうかな?って……俺も配るの手伝うし…そしたら、もっと蒼クラスの皆と仲良くなれるんじゃないか?どうかな……]


蒼は優斗が蒼のために、そこまで考えてくれていたこと、それに、初めて優斗に自分の作ったものが(美味しい)と言ってもらえた事に蒼は心の底から嬉しいと実感していた。それと同時に胸がまた、苦しくなった。でも、頑張って笑顔で優斗に言葉を伝えた。


蒼[ありがと、優斗]

優斗[お、おう、…………後さ、明日からまた、弁当作ってくれねーかな……?やっぱり、蒼の弁当が1番しっくりくるんだよな!はは]


優斗は頭をかいて照れながら蒼に伝えた。

その瞬間……嬉しさの追い討ちを掛けられた蒼は……!

顔を真っ赤にして胸をおさえながら……しゃがんだ。


蒼[うッ]

優斗[!?おい蒼!大丈夫か!?]

蒼[優斗の……バカ]

優斗[へ?俺何かしたか?]

蒼[優斗のせい……]

優斗[俺のせいって…………今日は俺のせい俺のせいって皆して……俺は何もしてないぞ…………てか大丈夫かよ?立てるか?]

蒼[無理かも……優斗おんぶして……]

優斗[……ったくしょーがねーな……ほら……乗れよ部屋まで連れてってやるよ]


蒼は優斗の背中に乗せてもらい、今までで最高の幸せを感じ噛み締めていた。


蒼[(優斗、優斗)]

優斗[(……てか蒼の胸が…………し、仕方ないよなッ不可抗力だ……うん、これは不可抗力……)]


少し鼻の下を伸ばしていた……。優斗もまた、男であった……。


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