第10話 シンプルゥー


そして、当日。由衣は教えられた住所を携帯で調べて優斗の家の付近まで来ていた。


由衣[(この辺かな…?)]


そして、由衣は蒼に電話を掛けた。


由衣[あ、もしも~し蒼、たぶん…ここで合ってれば、家の前に来てるんだけど~…うん、そう、わかった待ってるね!]


蒼が迎えに出る。家の門を出ると由衣が居た。


由衣[ごめんね~お待たせしました!]

蒼[うぅん、大丈夫、入って]

由衣[てか、家ちょーおっきくて…ビックリしちゃった(笑)本当にここで…合ってる?って思ったよ(笑)]


二人は家に入り由衣は更に驚いた。


由衣[玄関、広ツ!リビング、広ツ!ついでにキッチンも広ツ!どんだけなのーー!(笑)蒼んちってこんなんだったのーー!ビックリだよ!今まで友達連れて来たとき、皆驚いてたでしょ!?]

蒼[………今まで、誰も家に連れて来たこと無い…]

由衣[え?そーなの?]

蒼[…うん…由衣が初めて]

由衣[…そっかーそうなんだ…でもなんで?]

蒼[……友達いなかったから…由衣が初めての友達…だから、嬉しかった……由衣があたしの家に来たいって言ってくれた時…それに沢山話し掛けてくれて。]

由衣[蒼………んーーーっもう!蒼ったら!あったりまえじゃん!あたしたち、もう親友なんだから!ね!]


由衣がたまらず、蒼を抱きしめてニコッと笑った。すると蒼もニコッと笑った。


由衣[さぁ!お菓子作りしよッ!]

蒼[うん!]

由衣[じゃぁまずは~……]


こうして、蒼と由衣の友情は、また深まっていった。

お菓子作りが中盤に入った所で。


由衣[よし!後はオーブンに入れて焼き上がるのを待とう!]

蒼[うん!]

由衣[ねぇ?蒼の部屋ってどんな感じなの?見てみたい!]

蒼[うん、いいよ]


由衣を蒼の部屋へ連れて行くことになった。


蒼[ここだよ]


部屋の戸を開けると。


由衣[へぇー!ここが蒼の部屋か~………………シンプルゥー……………………。てか!蒼!ベッドと机と本棚以外……何もないじゃん!]


由衣はとても衝撃を受けた!蒼の部屋は……シンプルと言うよりも……女の子の部屋とは思えないほど何も無い部屋だったからだ。


由衣[蒼って料理以外に何も興味無いの?料理の本はいっぱいあるけど……]

蒼[……うん]

由衣[……ははは]


由衣が苦笑いする。


由衣[……ってか!そんなんじゃダメだよー!え?クローゼットは?服とか?]

蒼[服?]


蒼がクローゼットを開けると…。

以前に三咲と買い物に行った時に買った服が数枚程度だった。


由衣[服も……これだけ?……蒼~!せっかく可愛いくて美人なんだから!もっとオシャレしないと!]

蒼[オシャレ?]

由衣[うん!そう!あたしね、料理の本以外にファッション誌とかも持ってきたから、これ貸して上げるから見てみて!]


そう言うと由衣は蒼にファッション誌を渡した。


蒼[ファッション誌?服とか載ってるやつ?]

由衣[そうだよ、これには服だけじゃなくて、今話題のコスメや小物とか流行りのスイーツだって載ってるんだよ!]

蒼[へーそーなんだ…]


蒼はキョトンとして由衣の話を聞いていた。


由衣[まじかー……蒼、料理以外に興味無さそうってのは感じてたけど……まさか、ここまでだったとは…………。蒼!今度、二人で買い物に行くよ!蒼の女子力上げないとね!]

蒼[あ、うん、由衣と買い物出来るなら行ってみたい]

由衣[あと、雑誌に恋愛系も載ってるから見てみなよ!蒼は男の事とか、もっと色々勉強して知っとかないとね~本当色んな意味で危ない気がするから……]

蒼[うん、わかった、ありがとう]


そんな会話をしているウチにお菓子が焼き上がった。


蒼[あ、由衣、焼き上がったかも]

由衣[あ!そーだね!見に行かないと]


二人はキッチンへと向かった。

そして、オーブンを開け。


蒼[由衣!いい感じ~!]

由衣[わぁ~うん!いい感じ!成功だね蒼!]

蒼[うん!]

由衣[あとは~トッピングして~そして!写真を撮る!]

蒼[写真を撮るの?]

由衣[撮るよ~せっかく蒼と二人で作ったんだから~蒼も撮りなよ!]

蒼[あ、うん、わかった]


二人は出来上がったお菓子を撮り始めた。


由衣[あと~お菓子を持って二人で撮ろ!]

蒼[うん]

由衣[じゃぁ撮るよ~(カシャ)]

由衣[うん!いい感じ~モレてる!モレてる!]

由衣[これ蒼にも送っとくね!]

蒼[うん!ありがとう]

由衣[あとこれ、インスタ載せてもいぃ?]

蒼[インスタ?]

由衣[え、蒼インスタしらないの?]

蒼[うん]

蒼[インスタントラーメン?]

由衣[違うよ~(笑)あははッインスタントラーメンって!!(笑)ヤバいツボッた!(笑)あははははッ……はぁはぁはぁ……涙出ちゃった~(笑)]


由衣は相当ツボに入ったらしく苦しそうに、お腹を抱えて笑っていた。ようやく落ち着き蒼に説明を始めた。


由衣[ごめんね~蒼~ちょっとツボに入ってしまった……はぁ疲れた(笑)インスタグラム、SNSだよ]

蒼[インスタグラム?SNS?]

由衣[うーんとね、携帯でネットに投稿するみたいな?とにかく写真を撮って、それを色んな人に見てもらうんだよ]

蒼[へーそうなんだーあたしそう言うの詳しくなくて……]

由衣[そっか~じゃぁ取り敢えず、今回はお菓子だけ載せとくね!今度ちゃんと説明して、蒼が理解してくれたら、二人の写真載せるから!ね!]

蒼[うん!ありがとう]

由衣[じゃぁ食べよっか!]

蒼[うん!食べよ!]


そして、二人は出来上がったお菓子を食べ始めた。


由衣[うん!美味しい~]

蒼[成功だね!嬉しい]

由衣[今日は本当に蒼の家にこれて良かったよ!蒼と今までより、もっと仲良くなれたし!]

蒼[うん、あたしも由衣に来てもらって良かった、すごく楽しかった!]


二人の仲は深まり、会話も弾みそして、作ったお菓子も食べ終わった。

その後……。

由衣が蒼にある話を切り出す。


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