第6話 少しずつ…


朝、優斗が目を覚ます。


優斗[あー…もう朝かぁーだりー…………起きるか…]


優斗が顔を洗いに洗面所へ行く、チラッと時計を見る。


優斗[やべー!てか時間ねーじゃん]


急いで部屋に戻り着替えを済ませ部屋を出てリビングへ向かう。


優斗[母さん!なんで起こしてくれなかった…!]


リビングで1人、蒼がテーブルのイスに座っていた。


優斗(あ…そー言えば昨日母さん朝早いって言ってたんだった…)


蒼[優斗…おはよう]

優斗[………ぉぅ]

優斗[………]

蒼[優斗…朝ごはん…ある…食べる?]

優斗[……ぁぁ食べる…]


無言で食べる優斗。

蒼、少しうつ向いて両手を股の上に置き軽くギュッっとしながら、気を使う感じで…優斗に聞いた。


蒼[優斗…おいしい?]

優斗[……普通]

蒼[……そぅ]

優斗[………おまえ、食べたのかよ?]

蒼[…うん…あたしは食べた]

優斗[……そっ…てか時間ヤバい…行くぞ]

蒼[うん]

蒼[あ、優斗…お弁当]

優斗[ん?弁当あんのか(母さん朝早いって言ってたのに作って行ったのか)]


家を出る。少しして優斗が。


優斗[あ、そーだおまえ、少し離れて歩けよ。皆に一緒だと思われるから]

蒼[…うん…わかった]


蒼は優斗の後ろ10メートル程空け付いて行った。

校門で優斗に一樹が声をかけてきた。


一樹[よー!優斗おはようーッス!]

優斗[うぃーす…]

一樹[なんだー?朝からダルそうだな(笑)]

優斗[お前だけだよ、朝からそんなにテンションたけーの…(笑)]

一樹[そんなことねーよ!(笑)]

一樹[おッ!蒼ちゃんはっけーん!(嬉)蒼ちゃーん!おっはよー!1人で登校~?]


一樹が蒼の方へ駆け寄って行った。


蒼[…おはよう]


蒼はチラッと優斗の方を見た、優斗は座った目でチラッと見て目で合図を送った。

蒼は一樹にうなずいた


蒼[うん…1人]

一樹[そっかーまぁ転入して来たばっかだもんなッ]


そう言うと一樹が蒼にニコッとした。


チャイムが鳴る。


一樹[やっべッ!急ごう!]


皆、急いで教室へ向かった。


一樹[いや~ギリギリだったな~(笑)]

優斗[お前がヘラヘラ喋ってるからだよ…]

一樹[喋ってたんじゃなくて俺は!蒼ちゃんと!コミュニケーション取ってたんだよ!(笑)]

優斗[はいはい]


そんな感じで平凡に何事もなく1日が終わっていった。

それから、しばらく、こんな感じの日々が続いた。朝起きると、蒼が先に起きいて、朝ごはんがあると言ってくる、それを無言で食べる優斗。その後、弁当があると言われ持たされ。それから登校、相変わらず距離を空けながらだった。そんな日々がしばらく続いた…。

ある日の夜。

母が優斗に話しかける。

優斗は携帯をいじりながら、ソファーに横になっていた。


母[そう言えば、蒼ちゃん用のスマホ買ったから優斗登録しといてね]

優斗[…別に登録しなくてもいいし、母さんだけ知ってれば問題ないでしょ]

母[そんなこと言わないで、母さんだってずっと付きっきりじゃないんだから、いざと言うとき連絡取れないと困るでしょ]

優斗[……]

母[送っとくから登録しといてよ]


母が蒼の連絡先を優斗へ送った。

優斗のスマホが鳴る


優斗[……わかったよ、取り敢えず登録だけしとくよ]

母[ありがとね!]

母[ねぇ最近蒼ちゃん学校でどぉ?]

優斗[どお?って普通だけど…]

母[普通って…そーじゃなくて何か変わったなぁとか友達出来たとか、色々あるでしょ]

優斗[……………強いて言うなら…少し女子達と話すようにはなったんじゃね?(まぁどっちかって言うと話し掛けられてるって事だけど…)]

母[ふ~ん…ちゃんと蒼ちゃんのこと見てるんじゃないの~]


母が嬉しそうにニコッとした。


優斗[ちッちげーよ!ただ、あいつが変なこととか余計なこと言ってないか気にしてるだけだよ!]

母[ふ~ん~]

母[まぁいいわ、母さんはね、蒼ちゃん少しずつ……変わってきたと思うの、最近ね、夕食の準備とか一緒にしてる時、蒼ちゃんの方から話し掛けてくれるようになったよ。蒼ちゃん料理が好きだからか分かんないけど、何々の食材が欲しいとか、自分で調べて、この調味料があったらいいとか。そんな蒼ちゃん見てると母さん嬉しくてね!まぁ何となく…自分のためにって訳じゃない気がするけどね]


母が意味ありげにニヤッと笑う。


優斗[………は?]

母[うぅん、なんでもなーい(笑)]

母[じゃぁ蒼ちゃんにスマホ渡してこよーっとッ(笑)]


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る