第6話 TRPG初心者、探索する

――ええと。そうですね。

 現在シュバルツたちは、Bの部屋の前で降参したゴブリンメイジと一緒にいる状態です。


シュバルツ(A)「よし。とりあえずゴブリンたちが出てきた部屋を探索しよう」

ヘルディン(GM)「ちょ、ちょ。ちょっとまって! その前に、体力を回復しておかない?」

シュバルツ「あ、そっか。治癒ポーションごくごく~♪ 【ダイスロール:3】 はい全快」

ヘルディン「……体力がないと、安上がりでいいわね。私もポーションを飲んで、体力と精神力を上限まで回復しておいたわ」

シュバルツ「よし。それじゃあ部屋を……」

ヘルディン「あ! あと、このゴブリンメイジも、念のため拘束しておかないと!」

シュバルツ「そっか。それじゃあ”冒険者セット”にあったロープで縛ろう」


――はい。それでは、シュバルツとヘルディンは、ゴブリンメイジを縛り付けて廊下に転がしておきます。なおその際、降参したゴブリンメイジから、鉄の鍵と奪うことができるでしょう。


A「鍵?」


――はい。鍵を使いたい場合は、使用を宣言してください。


A「はいはい。……それはちょっぴり、メモっときませんと……」


――(まあメモるまでもなく、すぐ使うんだけど)。

 その後、Bの部屋を探索する、と。それでよろしいですか。


A「おっけー、でーす……」


――はい。では、Bの部屋に向かいます。Bの部屋は、恐らくゴブリンたちが普段暮らしているであろう空間が広がっていて、簡素な藁の寝床が並んでいるようですね。

 ここでシュバルツは、行為判定。”知力”をお願いします。難易度は”普通”。出目7以上で成功するでしょう。


A「”知力”……苦手なやつだ。【ダイスロール:5】 はい、失敗と」


――ではシュバルツはなんとなく、『ゴブリンのくせに、けっこう綺麗な部屋に住んでるな』と思っただけです。


A「ぐぬ。成功したら何が起きていたんだろう」


――秘密です。


シュバルツ「ふむ……ここには他に何もなさそうだな。次の部屋にいこう」


――ではCの部屋。

 部屋の扉を開くと、その中央には鉄格子があって、気を失っているヒューマンの男性が一人、中で倒れていました。


シュバルツ「なに。これはいけない」

ヘルディン「助けないと!」


――二人は鉄格子の扉を開こうとしますが、頑丈な錠前に阻まれてできそうにありません。


A「錠前……これはさっき手に入れた鍵の出番では!?」


――鍵は合いませんね。どうやら別の場所の鍵のようです。


A「ちがうんかい!」


――はい。


シュバルツ「……むむむむむ。……よし。この錠前、ぶっ壊そう」


――それでは、行為判定”筋力”。難易度は”ほぼ不可能”。とはいえ、マッチョなシュバルツなら出目7以上で成功するでしょう。


A「うおおおおおおおお! 【ダイスロール:2】 ……あ! ファンブルだあ!」


――それでは、シュバルツは錠前を壊そうとして、手をちょっと切ってしまいますね。体力に1点ダメージ。


シュバルツ「ぎゃあ! 死ぬ! 死ぬ!」

ヘルディン「あんたほんと、いとも簡単に死にかけるわねえ」

シュバルツ「くそ。このままじゃあ、この人を助けられそうにないな」

ヘルディン「たぶんこれ、ちゃんと鍵を手に入れないと開けられない奴だと思うの」

シュバルツ「なるほどな。……しかたない。簡単な書き置きと、治癒ポーションを牢屋のそばにおいておこう。鉄格子越しでも、飲むことはできるはずだ」


――承知しました。それでは”治癒ポーション”を一つ、失います。

 そのタイミングで、行為判定”五感”。難易度は”簡単”。

 ファンブル以外なら成功するでしょう。


シュバルツ「【ダイスロール:8】 ……ん? なんだなんだ?」


――それではシュバルツは、倒れている男が、うわごとのようにこう言っているのに気づくでしょう。『やつに……やつにだまされた! 誰か助けてくれ……むにゃむにゃ』、と。


シュバルツ「なんかこの男、ずいぶんはっきりとした寝言を言うなあ」

ヘルディン「そ、そうね。たしかに」

シュバルツ「どことなく、神様のご都合主義的な何かを感じる」

ヘルディン「そーいうことあんまり言うと、天罰がくだるかもよ」

シュバルツ「……そうだな。じゃ、最後の部屋に向かおう」


――ここでこれ以上の情報が得られないとわかったシュバルツたちは、この洞窟の最奥にある、Dの部屋に向かうことでしょう。Dの部屋は大部屋に繋がっているらしく、ひときわ立派な鉄扉に守られています。扉は施錠されているようですね。


A「んー? これひょっとして、今度こそ鉄の鍵、ですか?」


――シュバルツが鍵を鍵穴に差し込むと、カチリと音がして鍵が開くでしょう。

 そのまま、シュバルツたちは中に入りますか?


A「うーん。……ちょっとまった!」


――はい?


A「部屋に入る前に、”五感”で部屋の様子を伺うことはできますか?」


――ほう。なるほど。

 それでは、難易度”普通”で行為判定を。出目5以上で成功です。


A「【ダイスロール:5】 ギリギリ成功!」


――ではシュバルツは、扉の鍵穴から内部を覗き込むことができますね。

 ぱっと見たところ、中にいるのは、飼い慣らされた狼が二匹に、赤いローブを身に纏ったエルフの魔術師が一人、という感じのようです。魔術師は何やら、不気味な祭壇のようなものに向かって、呪文を詠唱しているようでした。


シュバルツ「ん……? ちょっとまって。ゴブリンの巣にエルフがいるって、おかしくないか? あいつら一応、ヒューマンの味方だろ?」

ヘルヴィン「そうね。……でも、エルフも人それぞれだから。なんにせよ、魔の者と同居しているエルフなんて、ろくなものじゃないわ」

シュバルツ「やつが黒幕ってことかな」

ヘルヴィン「そうね。やっつけましょう」

シュバルツ「それでは、……1、2の3で扉をばーん、と開ける! そのまま攻撃だ!」


――はい。それでは……シュバルツたちが派手に部屋の中に飛び込みます。

 そのまま、剣を構えて飛びかかりますが……、


魔術師「そこまでだ! 侵入者め!」


――それを待ち構えていたらしい、赤いローブの魔術師に呼び止められますね。


シュバルツ「……あれ? 奇襲したつもりだったんだが」

魔術師「いや、部屋の外であれだけごちゃごちゃしてたら気づくだろ、普通」


――武器庫に火を点けたり、廊下で戦闘したりしなかったら気づかれなかったかも。


シュバルツ「ぐぬぬ」


――それでは、戦闘開始です!


【To Be Continued】

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る