●LED ZEPPELIN「LED ZEPPELIN II」(Atlantic)

ファースト・アルバムを紹介した以上、セカンドにも是非言及しておきたい。


1969年の末、ファーストから1年おかずに早ばやとリリースされたこのアルバムはアメリカ、本国イギリスのみならず日本でも、前作以上に大ヒットし、いまだにコンスタントに売れつづけているモンスター・アルバムでもある。


このアルバムにも、(クレジット上は彼らのオリジナルとなっているが)ブルースのスタンダードと言ってもよい2曲が収録されている。「ザ・レモン・ソング」と「ブリング・イット・オン・ホーム」である(推薦盤のページ参照)。


ともに、オリジナルの歌詞を加えたり、テンポ・チェンジをしたりで、原曲とは一味違った仕上がりになっているが、根幹の部分はシカゴ・ブルースそのものである。前者については、作曲者のハウリン・ウルフことチェスター・バーネットより盗作のかどで訴えられたものの、非公式に解決している。製造年度によっては、アルバムジャケットに「キリング・フロア」と記されているのがあるのも、そのためである。


さらには、アメリカでシングル・ヒットともなった「胸いっぱいの愛を」では、歌詞をウィリー・ディクスンの「ユー・ニード・ラブ」からまるごとパクっている。これも、近年のマキシ・シングルではメンバーの名とともにディクスンの名を併記することでトラブルを解決している。


黒人ブルースのやや単調な曲構成やリズムを、彼ら流の複雑で技巧的なものに置き換えながらも、ブルース本来の野趣を失わない(いいかえれば泥臭い)演奏・歌唱をしたことが、アメリカ人に大いにアピールしたといえそうだ。その意味では、ロバート・プラントはまさしくエルヴィス・プレスリーの正継なのである。

(2000.11、原文ママです)

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