ああ、

卵の殻が頭の中に浮かぶ。感情が二つに分かれている。中はとっくに怒りがさめているのに外側の怒りが収まらない。ほとぼりが冷めないというあれだ。

そういえば血糖値を急激に上げてしまうだろう、砂糖をどっぷりと使ったエナジードリンクを飲んだ気がする。人の怒りなんてそんなものだ。内側はますます醒める。激情が鳴りを潜めた。

だが自分という生き物はどうにも意地っ張りで覆水を盆に返そうとする。床に零したワインを舌で舐めとって飲もうとする。

こうなっちまうと手が付けられなくなって頭を壁にぶつけたり毛布を口元に持ってきて叫んだり大音量の音楽を聴きながら「うるせえ」と言っている。

破壊衝動なんて幻想。どいつも こいつも うるさい。

呼吸をするな、振動するな、動くな。動かすな。自分がこうしたまま動かなくなって親が部屋に入って来て心配されないかと思っているんだ。浅ましい。千切り殺してやろうか。


編集しようとしたという事は、ほとぼりが冷めたという事だ。

プツンと途切れると今度は動きたくなくなる。限界まで伸びた皮が戻らない。戻したくない。意味も解らない。

本当に何が面白いと思ってこんな事してるのか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

短編、掌編小説集 三船純人 @yanarai314

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る