8

レイは身長も高く、バッサリ切った茶髪は無造作で、日焼けして男らしい顔立ちだ。


なかなか格好いい容姿だろう。


そんな彼が、少し鋭い目付きで静かになってしまった教室内を見渡し、わざとユーキの背中に手を当てて、ニヤリと笑った。


無言で二人を見送ったクラス4の教室からは、何ともいえないざわめきが生まれていた。




「助かった、レイ」


「いや。この位はな、想定内ってゆーか」


校舎を出て、寮に向かう二人。


「想定内?」


レイは歩きながら、くっくっと肩を揺らす。


「ユーキの……美少女ぶりが」


ズルッとブーツが滑る。


「あぶ」


反射的にユーキの肘を掴み、ひょいと立たせるレイ。


「び、美少女とか言うなっ!」


「鏡、見てないのか?」


「見たくないっ」


「勿体ねーな」


仲睦まじく、プンプン怒るユーキの頭をポンポンしながら、レイは道を確認した。


「寮はこっちだ」


むーとしながらも案内についていけば、木立の中になかなか瀟洒しょうしゃな建物が見えてくる。


三階建ての横長の建物が三棟、学生寮だ。


レイは一番奥の建物に向かう。


新入生の寮は、一番奥らしい。


真ん中に1段段差があり、柱のついた出入り口のひさしに、彫刻がされている。



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