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教師も身を乗り出し、その輝きを見詰めている。
「白か。白魔法の素質があるが……弱すぎる」
「はい」
わかっていたので、うなずいて席に戻った。
残りの生徒も検査が済み、紙面に何か記入して、教師は石を片付けた。
「……よし。本日の予定は以上だ。明日から体力検査、武器検査などがある。必要なものは今日中にそろえるように。最後に」
教師は全員の顔を見返し、左手を胸に当てた。
「この学士で学び、力をつけられるのは全て、皇族のお陰だ。常に感謝を忘れぬよう過ごせ──皇国の繁栄のために!」
「繁栄のために!」
今度はなんとか、皆について口にできたが……洗脳されそうで怖い。
教師が部屋から退出すると、みんなそれぞれ動き出した。
ユーキは、寮に行かねばならない。
とりあえず、校舎から出たらレイに連絡を取ろうと決め、席から立ち上がると。
「セリアさん」
「どちらへ? 」
「一緒に……」
いきなり囲まれ、ユーキは硬直した。
女生徒も、男子生徒も、10人くらいに火照った顔と熱い眼差しで見つめられ、反応できない。
囲めなかった生徒達も遠巻きに注目している。
(なっ……なんだこれ!?)
本人は全く自覚がなかったが、光属性はすこぶる珍しい上に、サラサラの金髪と憂いある面差しと、金の瞳は美しく──しかも優しい雰囲気を醸し出していたので、誰もが惹かれていたのだ。
親しくなろうと、一斉に集まった生徒達に困っていると、教室の外から声がかかった。
「ユーキ!」
茶髪に淡い水色の瞳のレイが、大きな声で呼ぶ。
一瞬、皆の注目が彼に向いた隙に、ユーキは包囲網から抜け出した。
「ごめん、今日は時間ないから、また明日──」
そそくさと、レイの所へ避難する。
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