7

教師も身を乗り出し、その輝きを見詰めている。


「白か。白魔法の素質があるが……弱すぎる」


「はい」


わかっていたので、うなずいて席に戻った。


残りの生徒も検査が済み、紙面に何か記入して、教師は石を片付けた。


「……よし。本日の予定は以上だ。明日から体力検査、武器検査などがある。必要なものは今日中にそろえるように。最後に」


教師は全員の顔を見返し、左手を胸に当てた。


「この学士で学び、力をつけられるのは全て、皇族のお陰だ。常に感謝を忘れぬよう過ごせ──皇国の繁栄のために!」


「繁栄のために!」


今度はなんとか、皆について口にできたが……洗脳されそうで怖い。


教師が部屋から退出すると、みんなそれぞれ動き出した。


ユーキは、寮に行かねばならない。


とりあえず、校舎から出たらレイに連絡を取ろうと決め、席から立ち上がると。


「セリアさん」


「どちらへ? 」


「一緒に……」


いきなり囲まれ、ユーキは硬直した。


女生徒も、男子生徒も、10人くらいに火照った顔と熱い眼差しで見つめられ、反応できない。


囲めなかった生徒達も遠巻きに注目している。


(なっ……なんだこれ!?)


本人は全く自覚がなかったが、光属性はすこぶる珍しい上に、サラサラの金髪と憂いある面差しと、金の瞳は美しく──しかも優しい雰囲気を醸し出していたので、誰もが惹かれていたのだ。


親しくなろうと、一斉に集まった生徒達に困っていると、教室の外から声がかかった。


「ユーキ!」


茶髪に淡い水色の瞳のレイが、大きな声で呼ぶ。


一瞬、皆の注目が彼に向いた隙に、ユーキは包囲網から抜け出した。


「ごめん、今日は時間ないから、また明日──」


そそくさと、レイの所へ避難する。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る