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『準クランは、魔力の強さだ。得意魔力は、ユーキは光だろ。クランは……Dにしとけ。そのクラス4の平均がおそらく、Dだ』


『わかった! ありがと』


頭の中で会話というのは、不思議なものだ。


入学日前に練習はしたが、耳の後ろ辺りに微妙に響くから少しくすぐったい。


ちょっとドキドキしながら自分の番がきて、ユーキはそっと立ち上がった。


「……ユーキ・セリアです。得意魔力は光。じ、準クランはD」


教師がじっと見てくるため、余計に緊張した。


何か、バレたんだろうか、と一瞬不安になる。


ユーキが席に座ると、ちょっとだけザワりとしたが、すぐに静まった。


光、とか、珍しい、とか呟かれる。


順調に自己紹介が全員済むと、教師は教台の上に、何かを設置した。


見覚えがある……小さな板の上に、卵形のグレーの石。色は透明じゃないが。


「魔力検査をします。順番に前に」


また1人ずつ。


生徒が触れる度に、石は様々な濃さと色の光を放った。


赤や青、緑や黄色。茶色や橙色。


光が強めな者は誇らしげに、弱い者は落ち込み気味に。


(こんなに属性があるんだ……面白い)


自分の番がきて、席を立つ。


何故か興味深々と注目されていて、内心冷や汗だ。


(大丈夫、大丈夫……)


ピアスのお陰で、本来の魔力量はだいぶ抑制されている。


そうっと石に触れると、淡く白い光が放たれた。


弱いけれど、優しい暖かい光。


ほうっと何人かのため息が聞こえた。



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